目指せ九州大学博士課程!中日2つの大学を卒業した研究職の挑戦
初めまして、シェン・クン(Sheng Kun)と申します。BlueMemeに所属して2年目ですが、今年から博士号を目指して研究生活に戻り、研究開発業務を始めます。
リープリーパーでこれからたくさんの記事を書いていくにあたり、自己紹介を兼ねて私の留学のきっかけと経歴を書いてみます。
2つの大学と日本語学習、アルバイト漬けの留学生活
私は日本に来てもう6年目です。とても充実した日々でしたが、振り返れば6年前の私は本当に大胆な決断をしました。私のこれまでの略歴は以下のとおりです。
- 中国山東大学(IoT専攻)
- 熊本大学(情報電子電気工学)
- 熊本大学大学院(情報電気工学専攻)
- BlueMemeに新卒として入社
大学はどこも、自由な環境でした。それまでの7年間の高圧的な勉強生活から解放されたこともあり、若いうちに新しい環境でいろいろな新しいことに挑戦したい気持ちがありました。
私は元々、日本のアニメが好きだったので、日本に憧れて、当初はただ旅行の計画を立てようと思っていました。そこで偶然、山東大学と熊本大学の留学プロジェクトを見つけたのです。それからは、留学に向けてたくさん準備をしました。独学で日本語を勉強したり、申込資料を用意し、先生に連絡しては、先輩に相談したり。そして2018年の秋、編入生として熊本大学に入学しました。
私が申し込んだ留学プロジェクトは、中国の山東大学で2年と日本の熊本大学で2年半勉強するという内容でした。卒業条件は二つあり、一つは両方の大学の卒業単位をすべて取得すること、もう一つは両方の大学の卒業研究をすべて完成させることでした。つまり、熊本大学での最初の1年半は、熊本大学のコースを受けながら同時に、山東大学の授業にもオンラインで参加する忙しさ。もちろん、日本語の勉強も必要でしたし、加えて、家計のためにアルバイトもしていました。
今思えば、本当に厳しい1年半でしたが、いろいろなスキルを身に着けました。スケジュールを立て、1週間前にやるべきことをリストアップし、複数のことが重ならないように時間に余裕を持つことを学びました。この経験は、自分の仕事の効率を向上させるのに役立ったと思います。そして、山東大学と熊本大学を相次いで卒業した後、大学院の推薦を得ることに成功しました。
深層学習とビッグデータなどの研究
大学時代、AIに深い関心を持ち、プログラミングの勉強を始めました。最初に触れたのは、コンピューターに画像や動画を理解させる、「コンピュータービジョン」という深層学習分野です。山東大学の卒論テーマは、「セマンティックセグメンテーション」でした。これは、画像全体や一部の検出ではなく、ピクセル単位で画像を認識してラベル付けしていく手法です。最も優れたパフォーマンスを持つ深層学習モデルを使って、横断歩道を検出することでした。
熊本大学の学部4年と大学院では、ビッグデータの研究室に所属しました。急激な雨で河川の流量が急に上がることがありますが、防災の観点から、時系列深層学習モデルを使って、熊本を流れる白川の流量の予測について研究しました。
以下は、2021年度電気・情報関係学会 九州支部連合大会 国際セッションで発表した論文です。
▼Transformerを用いた河川流量予測 – J-STAGE
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jceeek/2021/0/2021_362/_article/-char/ja/
院生の研究は、スマホや工場ロボットなど、エッジ側で使える軽量深層学習モデルです。普通の深層学習モデルは、精度向上のためにより複雑なモデルが主流です。しかし、電力やメモリ消費の観点から必ずしも効率が良いとは限りません。「軽量」を意識しながら、実行効率を向上させることが目的です。
卒業後も引き続き研究し、先輩の博士たちとIEEE Accessで発表した論文です。
単独で活動する研究者が認識した、チームとしての意義
コロナ禍の期間には、私も心境が変わり、人とのコミュニケーションがとても貴重なことに気付きました。研究は、ほとんど自分自身で問題を解決しなければなりません。それとは異なり、チームメンバーと同じ目標を目指して、他者と一緒に働くのはとても刺激的です。
BlueMemeには、企業文化とローコード技術に惹かれて入社しました。新しい環境と新しい挑戦はいつも私に刺激を与えてくれます。リープリーパーには、去年の12月に一度記事を書きました。
最初は、新しい技術に直面したとき、実際にやったことがなかったので、何から手をつけていいのかわからないことばかりでした。しかし、先輩の指導のもと、ようやく操作に慣れ始め、少しずつ作業をこなせるようになりました。バグを見つけてはデバッグする練習を重ねていくうちに、基本的な原理がだんだんとわかってきました。つまずきながらも業務に取り組んでいます。
九州大学博士課程を目指す、新しいチャレンジ
ネットワークの統計解析はまだ私が知らない深層学習領域ですが、詳しく調査したところとても興味深く、汎用性が高い領域です。今まで学んだことと研究した成果を活かしたいと考えています。未知の世界に挑戦するのは怖いですが、この刺激はモチベーションを高めてくれると思います。このような機会が訪れたなら、当然逃すわけにはいきません。また、新しい環境で新しいことに挑戦することに、とてもワクワクしています。
博士課程を目指すためにやるべきこと
- 生物学基礎知識の把握
研究室はシステム生命科学府に所属しており、生物学の知識が必要です。生物学は高校時代しか学んだことがないので、わずかな記憶しか残っていません。相関する基礎知識から覚えなければなりません。引き続き日本語の勉強もがんばりますが、大量の専門用語を覚える必要があります。 - 英語の能力の向上
日本語より英語の方がもっと難しいと感じています。しかし、論文を読んだり書いたりするには高度な英語力が必須。翻訳機能が非常に発達していますが、単語がはっきりしない場合もあり、自分の能力で調査して修正する必要があります。また、国際学会で発表するには、英語を話す・聞く能力が不可欠です。これからの研究生活の中で、英語の勉強もがんばりたいと思います。
今は入試の準備をしています。これまで学んできたことをフル活用して、その後の大学生活で、自分なりの価値を生み出したいと思っています。