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働き方

パソコンが使えない哲学科の僕がIT企業で何を果たすか?哲学的問い

にんじん

僕は大学で文学部に所属し、哲学を専攻していました。課題のほとんどがレポート課題だったのですが、レポートを作る時もスマホのメモを使って書いていたので、大学に在学中パソコンをほとんど使いませんでした。そのため、タイピングを両手の人差し指のみでやっていたほどです…冗談抜きで。

そんなパソコンすら上手く使えない学生が、なぜかIT企業に入社しました。それも、ソフトウェアでソフトウェアを開発する、ローコード・ノーコード開発プラットフォームを扱う会社です。『わからないことがわからない』…これは自分の身に巻き起こった哲学的な問いです。

タイピングすらできないIT人材という劣等感を原動力に

2022年の11月、BlueMemeの内定者インターンがあり、そこで初めてOutSystems Service Studio(以下、Service Studio)に触れました。期間は4日間で、内容はService Studioの操作方法を学び、アプリを開発して発表するというものでした。当日、僕以外の人たちはプログラミングや開発の経験がある人たちか、少なくともパソコンの操作に慣れている人たちばかりで、作業もスムーズに進んでいました。僕はと言えば、何が起こっているかわからないまま焦るばかりで、右往左往しているうちにインターンが終わってしまいました。

BlueMemeには、開発者志望で入社したわけではないので、本当はOutSystemsを使えるようにならなくてもいいのかもしれません。でも、会社が扱っているメインのコンテンツに対する理解は、全社員に共通して必要だと思いました。そんなことより、Service Studioに関しての理解以前に、パソコンの操作がおぼつかなく、自分が何もできないことを痛感しました。

僕は、こういった時にさまざまな言葉で自分を責め立てます。『事前にタイピングの練習ぐらいできただろ!』とか、『事前にService Studioの知識を入れておけただろ!』とか。自分をボコボコに殴ることでものすごい劣等感に苛まれます。すごく落ち込みます。でも、落ち込んでいると一周回って、逆に元気になるタイミングがあります。24年の人生の中で何回も繰り返していますが、開き直るっていうんですかね。そのモードに入ると、不思議とやるべきことが明確に見えはじめたり、普段よりも積極的に人に聞いたり調べたりできるようになります(最初からそうやれよ!って感じですが)。だから、今までそうやって自分の中で劣等感を強め、自分のモチベーションを高め、できないことを一つずつできるようにしてきました。

でも、そこまでやらないと自分のエンジンがかからないのは、何か苦しいですよね。

「モチベーションなんかに頼らない」仕事への向き合い方

BlueMemeの最終面接で、社長の松岡さんに仕事のモチベーションがない時どのように対策しているか質問しました。その際の答えは即答で、『そもそもモチベーションで仕事をやらない』という言葉でした。

大学生だった僕は、衝撃を受けました。当時の僕はと言えば、何か作業をする前に、まず自分の機嫌を取ってモチベーションを高めようとしていました。しかし、最優先事項は仕事を終わらせることで、自分の機嫌を取ってモチベーションを上げることは、仕事を終わらせるための前段階であり必須の条件ではありません。加えて、自分の機嫌を取れたからといって、自分に甘すぎる僕が、作業が思うように進められる保証はありません。

入社してから8ヶ月ほどが経過しましたが、ものすごくあっという間に感じています。毎日毎日できるようになることよりも、何十倍のできないことが出てきて、本当に吐きそうな気持ちになります(これはこれで新人としては健全な気もしないではないですが)。ただでさえ初めてのことや慣れていないことばかりで、作業を終わらせたり、納得がいくものを作ろうとしたら、時間がいくらあっても足りません。モチベーションをどうするかなんて、考えている暇もないです。まだ、しっかりと言語化できていないですが、「モチベーションで仕事をしない」という考えを、心の底から理解できそうな感じがしています。考える暇も余裕もないから、わざわざ不要なものを考える必要ないですもんね。

役に立たないと誤解されがちな哲学を、今の仕事に生かせること

しかし、今まで学んできたことが、現在の仕事に全く生かせないとは考えていません。冒頭でも述べましたが、僕は大学で哲学を学んでいました。哲学科で学んだこと、実践していたことの中には、現在の仕事に通じるものがあると思います。それは、相手の話していることの意図や示したい内容を汲み取ろうと意識すること、他者に自分の考えをきちんと伝えようと意識することの重要性です。

大学では論文や課題図書を読んで、議論するという形式の講義が多かったです。同じものを読んできたはずなのに意見が全く異なる場合も、往々にしてありました。特に、「善く生きるとは?」や「正義とは何か?」のような、議論の抽象度が高い時は、議論が平行線になってしまうこともありました。そもそも「善い」という言葉自体が抽象的で、人によって用いられ方は多種多様です。『ソクラテスの弁明』では、さまざまな人が各々の「善さ」を示しているように、人生で優先順位を高くつけているものも違うでしょう。

ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫) eBook : プラトン, 納富 信留

考え方は、その人の置かれた環境やそれまでの経験によって異なります。哲学にはいろいろな楽しみ方や学び方がありますが、あくまでも学問としての哲学は、ある程度の客観性を持っていなければなりません。そのため、多くの場合、自分以外の人に自分の認識や考えを伝える、もしくは、他人の意見を理解する必要がありますそういった経験もあり、普段から相手の話している内容や意図をきちんと理解すること、また、相手に自分の考えをできるだけしっかりと伝えることを意識しています。

結局、向き合うべきは人間

僕は今、開発者としてプロジェクトに関わっているのですが、仕様書に書かれていることだけではわからない部分はあります。また、複数人で作業していれば作業範囲が被ることもあり、一緒に作業している人がどのように開発しているかなどを、把握しておく必要があります。他の人が書いたロジックなどは、ものすごくわかりづらいものです。

仕事する際にコミュニケーションを取ることは必須で、社内の同僚や上司、お客様などさまざまな人と関わる機会に、相手の話している内容をより鮮明に理解することが重要です。もし、プロジェクトメンバーやお客様との間で認識の齟齬があるまま作業を続けてしまえば、最悪の場合、取り返しのつかないことになりかねません。ものすごく当たり前のことかもしれませんが、こういった相手の考えを少しでも理解しようとする意識は共通し、かつ、重要なことだと感じています。


現状、僕自身できないこともたくさんありますが、今までの経験で役に立てられるものもあります。それらの両方が、これから経験を重ねていく過程でたくさん出てくるんだろうなと思います。何だかこんな風に考えたら、マイナスに感じていたこともプラスに感じていることも、見方次第だと思えてきますね。

どのような働き方が自分に合っているか、どう作業すれば効率がいいのか等、まだまだ分からないことだらけです。毎日が驚きと失敗、歓喜の連続ですが、分からないことに対して怯えて何もできなくなってしまうのではなく、分からないことを楽しんでいけたらなと思います。 

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    四葉

    面白い話をありがとうございます。私自身は法学部ですが哲学にも興味があります。

    ふと思ったのですが、にんじんさんは何故IT業界を志望されたのでしょうか?私は哲学を学んでいたことから、物事を定義づける点で情報産業との親和性を感じたのではないかと仮説立てています。PCが苦手だったあなたがIT企業で働こうと考えた動機を教えていただけると幸いです。

    • にんじん
      にんじん

      四葉さん、コメントいただきありがとうございます。にんじんです。
      僕がこの会社この業界で働こうと考えた理由は、おおざっぱに言うと好奇心と将来性です。
      PCの操作ですらおぼつかない僕から見れば、日常で触れているWebサイトやアプリなどがどのように作成されているのか、どのような仕組みで動いているのか、どんな風に制御されているのか全く想像もつかず、完全に未知で魅力的に見えました。
      加えて、今までの経験でこの業界が今後僕たちの生活を大きく変えていくだろうという認識もあり最前線でその変化を目の当たりにしたいという気持ちもありローコード開発ツールを使用している今の会社に入社することを決めました。
      あくまで僕個人の感覚ですが、ご指摘いただいているように物事を定義づけるという部分で哲学とこの業界の親和性はあると思います。
      僕の場合、大学で学んでいた哲学では現実にアクセスできていない(議論が机上で終始している)と感じていました。
      現在は、アウトプットしたものをお客様に評価していただいたときはものすごい達成感があり、先に挙げた机上論みたいな虚しさを感じません。
      他の業種、業界でもこういったやりがいのようなものや自分が学んでいたものに近いものはあると思います。
      今の会社、この業界で働こうと考えた理由はこんな感じです。

      就活を始めた時にもともとこの業界志望していたわけではなく、いろいろな業界を見て個人的に先にあげたような印象を受けました。
      四葉さんが現在どのような環境に置かれているのかはわかりませんがこのコメントが何かお役に立てたら幸いです。
      僕が書いた記事を読んでくださりありがとうございました。

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にんじん
にんじん
2023年新卒一年目
好きなものは炭水化物と二度寝。苦手なものはタートルトークと早起き。
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