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働き方

重要なのは才能よりスキル!―書籍『アイデアのつくり方』に学ぶ

理人

あなたはアイデアを生み出すことに自信を持っていますか?もし自信がないと感じるなら、アイデアの発想力が才能ではなく、習得可能なスキルであると知ったら興味を持つでしょうか?

今回の記事では、誰もが利用できるアイデア発想のコツを、ジェームス・W・ヤングの著書『アイデアのつくり方』を元に、博士課程学生の私の体験を絡めて紹介します。

本の帯に書かれているように、この本は数時間で読み終えることができますが、その内容は一生役立つ知識を提供してくれます。

アイデアのつくり方 | ジェームス W.ヤング, 竹内 均, 今井 茂雄

私の体験談

私は、社会人として働きながら、博士課程でゲノム解析に関する研究に挑戦しています。研究とは、世界でまだ誰も達成していない成果を生み出し、それを世に問うことです。その過程で最も重要となるのは、アイデアの発想と閃きです。私の指導教員もよく『研究者が想像力を失ったら、終わりだ』と語っています。

しかし、博士課程に入るまで、私はアイデアの発想に対して漠然とした取り組みしかしておらず、『どうやったら、まだ誰も思いつかないような新しいアイデアを思いつけるのだろう?』と悩んでいました。

そんな時、私が出会ったのが先に触れた『アイデアのつくり方』という本でした。

アイデアを生み出すためのたった2つの原理

この本には、アイデアを生み出すための2つの基本原理が述べられています。

  1. アイデアは一つの新しい組み合わせである
  2. 新しい組み合わせを作り出す才能は、事物の関連性を見つけだす才能によって高められる

以上です。こんなシンプルな原理から、無数のアイデアを思いつくことができるのです。

アイデアを生み出すための5つのステップ

ただ2つの原理を知っているだけでは、具体的な方法がピンと来ないかもしれません。そこでこの本には、アイデアを具体化するための5つのステップが記載されています。以下では、それぞれのステップにおいて、研究活動でのアイデア発想に役立つ私の具体例を交えて解説します。

ステップ1.資料を収集する

最初のステップは「資料の収集」です。一見すると基本的な作業に思えるかもしれませんが、このステップの重要性はしばしば見過ごされがちです。この本では、考えている問題に直接関連する資料だけでなく、それとは関連しない資料も収集することの大切さを特に強調しています。これによって、アイデアを組み合わせて生み出すための豊かな土壌が作られます。

研究活動において、直接関連する資料を収集することは、自分の研究テーマに関する既存の研究論文を調査し、読み込むことに該当します。これにより、そのテーマの重要性、用いられている手法、直面している課題などの情報が得られます。一方で、関連しない資料を収集することは、研究テーマと異なる分野の論文を読んだり、他分野の研究者と議論を交わすことに相当します。私自身、研究テーマに関連する論文は徹底的に調査し、読み込むよう心がけています。また、学術会議や大学内で開催される研究発表会に積極的に参加し、異分野の研究者との議論にも積極的に取り組んでいます。

ステップ2.集めた資料を咀嚼する

第二のステップは、「集めた資料を咀嚼する」ことです。このプロセスでは、収集した情報をじっくりと反芻し、ジグソーパズルのピースを組み合わせるように、異なる角度から情報を見直します。例えば、上から見たときには円に見える円柱が、横から見ると四角に見えるように、情報や事実も異なる解釈によって全く異なる意味を持つことがあります。

研究活動においては、第一段階で収集した先行研究の論文を深く考察することに該当します。具体的には、採用されている研究手法の核心を理解したり、提起されている問題点の根本的な原因を探求することが求められます。私自身、論文を読む際には、これらの考察についてメモを取り、後でいつでも参照できるように整理しています。このようにして、収集した情報を内面化し、自分の知識として蓄積していきます。

ステップ3.その問題について考えるのをやめる

第三のステップ「その問題について考えるのをやめる」です。問題から一時的に距離を置き、意識的な思考から離れることを意味しますこのプロセスでは、意識的な注意を問題から解放することで、無意識のうちに情報が整理され、消化されていきます。

私の場合、研究テーマに集中的に取り組んだ後は、意識的にそのことから離れる時間を設けます。例えば、このリープリーパーの記事を書いたり、コーヒーブレイクを取ったり、散歩に出かけたりすることで、頭をリフレッシュさせます。

ステップ4.アイデアが降ってくるのを待つ

第四のステップ、「アイデアが降ってくるのを待つ」は、第三のステップの自然な続きです。ここでは、アイデアが自然に湧いてくるその瞬間を辛抱強く待ちます。このプロセスは、意識的な努力を休息させ、無意識の力を信頼することを意味します。焦らずに自分の無意識に時間を与え、アイデアが自然と湧き上がるのを待つことが大切です。

実際に、研究活動をしている中で、日常生活のささいな瞬間に「これだ!」という閃きが訪れることがあります。突然、これまで解決不可能に思えていた問題の解決策が明確になるのです。

ステップ5.アイデアを具体化し、展開し、検証する

第五のステップは「アイデアを具体化し、展開し、検証する」です。第四のステップで閃いたアイデアも、初期の段階ではまだ未熟なものです。それを大切に育て、実現可能な形にしていくプロセスが必要です。このプロセスを通じて、アイデアは徐々に成熟し、実際に問題を解決するための具体的な方法や製品へと成長していきます。このステップは、アイデアを現実のものとして具現化し、その価値を実証するために不可欠です。

研究活動では、閃いたアイデアを実際に形にし、その効果を試すことが重要です。このプロセスでは、アイデアを詳細に検討し、計画を立て、実験や実践を通じてその有効性を検証します。この段階では、重大な見落としを発見したり、アイデアが思ったほど役に立たなかったりすることも少なくありません。また、アイデアを実現するためには予想以上に時間が掛かることもあります。

2つの原理と5つのステップでアイデアを捕まえよう!

今回の記事では、書籍『アイデアのつくり方』をもとに、私自身の研究経験を交えながら、アイデアを生み出すための具体的な手法を紹介しました。資料の収集から始まり、それらを深く考察し、一時的に問題から距離を置いて閃きを待ち、最終的にアイデアを具体化し検証するというプロセスを通じて、アイデアを生み出すことができます。5つのステップを実践して、あなたも新たな発見への扉を開いてみませんか?

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理人
理人
博多在住の研究員兼博士課程学生
エンジニアになるつもりで入社しましたが気づいたら研究をしていました。数学が専門ですが、研究はバイオ系です。ときどき採用面接をしたりします。オタクなので月に1度は遠征に出かけます。
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