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優秀な女性エンジニアを増やすことが今後のITビジネス成功の鍵

リプリパ編集部

女性エンジニアを増やすことは、組織の競争力に直結する——それは事実です。しかし、その実現の道のりは単純ではありません。大学ではSTEM分野が女性優位になっていても、なぜか職場では上層部から消えてしまいます。世界的に多様性施策へのバックラッシュが強まる中、本当に問われるべきは何なのか?ジェンダーギャップの実態と、その奥にある本質について考えます。

過去の記事もぜひ併せてご覧ください。反論がある皆さんも、ぜひ最後まで!

* この記事は、2023年6月23日に公開した内容を編集・更新しています。

STEM系女性を抑圧する「ドロップ・トゥ・ザ・トップ」

情報サービス産業協会(JISA)の調査によれば、対象となった企業では、全従業員のうち男性エンジニアが58.3%なのに対して、女性は16.4%に留まっています。

▼出典:2025年版情報サービス産業 基本統計調査 – 一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)
https://www.jisa.or.jp/Portals/0/report/basic2025report.pdf

そもそも、日本のエンジニア職に限らず、世界レベルでジェンダーギャップはなかなか埋まりません。世界銀行が発表しているレポートでは、日本は世界平均よりかなり高いものの、OECDのトップグループよりは一段低い「中上位」の国として位置づけられています。

具体的には、柔軟な働き方の法的な位置づけの強化や、再婚できるまでの待機期間の撤廃という2つの重要な改革が評価されています。その一方で、暴力からの保護や、保育サービスの量・質・アクセス、起業における平等(特に信用・資金、経営層の多様性)といった点で、法律・制度・実際の執行にギャップが残っているとまとめられています。

▼出典:Women, Business and the Law – Flagship Report | WBL
https://wbl.worldbank.org/en/publications/flagship-report

また、世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表しているレポートでは、日本は世界146カ国のうち118位。日本を含む東アジアの多くの高所得国では、大学進学・修了はむしろ女性が優位になっています。特に、報酬が高く、将来性も期待されているSTEM(科学、技術、工学、数学)系高等教育で女性の在学・卒業が増加しています。

しかし、その教育投資が労働市場、特に組織のリーダー職への進出には十分つながっておらず、上層に行くほど女性が減る「ドロップ・トゥ・ザ・トップ」という現象として、厳しい現実が指摘されています。

出典:Gender Gap Report 2025 | World Economic Forum
https://www.weforum.org/publications/global-gender-gap-report-2025

日本としても、決して手をこまねいているわけではありません。内閣府が進める「理工チャレンジ(リコチャレ)」は、理工系における女性のキャリア形成を推進するプロジェクトで、より多くの女子学生がSTEM分野でのキャリアを志せるよう促しています。産官学が連携して、女性研究者や女性技術者をロールモデルとして紹介したり、仕事体験を提供するイベントを開催したり、企業や大学の見学ツアーを実施しています。

参考:理工チャレンジ(リコチャレ) | 内閣府男女共同参画
https://www.gender.go.jp/c-challenge/

直結するプログラミング教育、地続きのDE&I

2020年から、小学校の新学習指導要領にプログラミング教育が盛り込まれたことをスタートに、中学校や高校でも段階的にプログラミング教育が導入されています。プログラミングを教材にした学習教室も各地で登場しています。

また、従来型の教育機関とは違う、新しいエンジニア養成組織も登場しています。ITエンジニアを必要とする数多くの企業が、パートナーとして名を連ねています。

これらの取り組みの成功の鍵は、女子学生の参加だと言われています。長期的に見て、女性エンジニアを育成するには、産官学が連携・独立した地道な教育活動を進めていくしかありません。

「パリテ」の実現による、チームへのポジティブな効果

社会的なカテゴリーにおいて、男女比を均等にすることは「パリテ(parité)」と呼ばれています。フランスでは、2000年に通称「パリテ法」と呼ばれる法律が制定され、男女の政治参画への平等が促進されました。日本でも、選挙の時に見聞きする機会が増えてきたキーワードの一つです。

パリテと並んで、ここ数年注目されているキーワードが「ホモソーシャル」です。これは、女性や性的マイノリティーを排除した「男同士の絆」によって形成された同質的社会のこと。閉鎖的な関係は、古い封建的体制やパワハラの温床になっているだけでなく、新しいアイデアを実現するイノベーションの阻害要因になっていることも指摘されています。

前述の世界銀行のレポートでは、ジェンダーギャップを完全に解消し、男女が平等に雇用にアクセスできると仮定した場合、世界平均で1人当たりGDPは約15~20%プラスになると指摘されています。チームの多様性を促進することは、メンバーの創造性や革新性を刺激し、親密度や信頼感としてのエンゲージメントを向上させ、意思決定の質とスピードを改善するなど、性別に関係なく数多くの利点があります。

ITエンジニアのチーム活動においても、ジェンダーギャップの解消は一つの課題。女性エンジニアが働く場所を増やして男女のバランスが取れたチームを作ることは、生産性とチームワークを向上させることにつながります。

属性や数値だけで判断すると見誤るリスク

近年、このようにジェンダーギャップにフォーカスを当てると、必ず巻き起こるのが、逆差別を訴えるフォビア(嫌悪)です。特に、若年男性層は、「能力が劣る女性までが過度に優遇されることで、自分たちの居場所が奪われてしまうのではないか?」という強い危機感を抱いています。

実際に、韓国では分断が大きな社会問題になっている一方、トランプ政権下のアメリカでは、DE&I(ダイバーシティー:多様性、エクイティー:公平性、インクルージョン:包括性)政策に対するバックラッシュが強まっているのは、よく知られるところ。

かといって、パリテを意識するがあまり、数字上のバランスを取ること自体が目的化してしまうのも本末転倒です。さらにいえば、労働生産人口の減少とAI市場の急拡大という現実を言い訳に、女性エンジニアをただの「頭数」としてカウントする意識も、本質を見誤ります。

「女性たちが下駄を履かせてもらっている」とミスリードし、敵視するように男性たちを仕向けているのは誰なのか?もし、透明化・慣習化されてきた格差があるのなら、具体的にどうやってそれを是正するか?個人の属性を尊重し、スキルや意識をどのように評価・育成するか?働く人たちそれぞれのエンパワーメントを、チームや組織の成長にどうリンクさせていくか?

さまざまな背景を持つ従業員をどのように処遇し、改善していくかは、組織カルチャーの醸成と切っても切り離せない重要なテーマです。性別や性的指向などに関係なく、優秀な女性エンジニアが個人として尊重・評価されてストレスなく活動できる場は、男性や非エンジニアを含む組織全体にとってポジティブな影響を与えるはずです。


IT業界は比較的女性比率が高い傾向にあり、BlueMemeは平均よりもさらに高いバランスです。しかし、私たちは現状が必ずしも十分だとは考えていません(そもそも性別が採用条件になることはありません)。

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