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迅速な意思決定は「新たな通貨」だ!加速させた3つの出来事とは?

リプリパ編集部

「何かすると、失敗してしまうかもしれない」というより、「時間が過ぎるだけで、確実に失敗のレートが上がってしまう」としたら?スピードは『できるなら早い方がいい』というレベルではなく、変化に順応して生き残るための必須条件です。PDCAサイクルを悠長に回している場合ではありません。

意志決定に時間を掛けすぎることがリスクになることを示す、2019年以降に起きた、社会的に大きなインパクトを持つ重要な3つの要素について考えてみましょう。それは、新型コロナウイルスのパンデミック、ウクライナやパレスチナなど緊迫する国際情勢、そして生成AIの急速な進化と普及です。前回の記事と併せて、これらのアップデートを考えてみましょう。

負荷テストとパラダイムシフトだったコロナ禍

コロナ禍のパンデミックは単なる個人の健康リスクの問題というだけでなく、ビジネスの俊敏性(アジリティー)と回復力(レジリエンス)が否応なく試された、世界規模の残酷なストレステストだったと言えます。非接触と隔離を徹底した国ではある程度成功した一方で、また集団免疫を進めた国では失敗し、対策の変更を迫られました。

企業にとっても、大きな試練でした。刻々と変わる社会状況や国の方針を前に、柔軟性があった企業では、迅速に意思決定しオンラインに軸足を移して、中途半端な形でもリモートワークやECを推進しました。コロナ禍を生き延びただけでなく、新たなビジネスチャンスを手にした企業もあります。逆に、過去に例がないことを理由に変化への対策を判断できず、時間ばかりが過ぎる中で旧い体制や手法に留まった企業は、ビジネスを縮小せざるを得ない状況に追い込まれています。

この厳しいコントラストが物語っているのは、急速に変化し続ける世界において優柔不断な態度は、破滅的な代償をもたらすという現実です。

新型コロナウイルスは、終息に向かうどころか第10波に入りました。空気が乾燥する冬場で、5類感染症に移行した後初の年度末に掛けては、人の流れが変わり、新たな感染拡大が警戒されています。国内外の競合他社や業界、各国の法規制よりもさらに大きな影響をもたらすパンデミックが、二度と起きない保証はありません。むしろ、次に必ず起きることを前提として、意志決定のプロセスを見直すことが迫られています。

遠い異国の戦争も無関係ではいられない

ウクライナへのロシア侵攻から、10年です(2年ではありません)。パレスチナのガザ地区は、イスラエルによる無差別攻撃で多くの子供や女性、医療関係者、ジャーナリストが犠牲になっている様子には言葉もありません。さらに、イランの支援を受けた武装勢力が、周辺のイラクやパキスタンなどを攻撃し、戦火が拡大しています。

一方で、その遠因を作ったヨーロッパやアメリカのダブルスタンダード的な振る舞いが、随所で露呈しているのも事実。欧米のユダヤ人社会だけでなく、日本政府や企業に対しても、国内外から厳しい視線が向けられています。原油の8~9割を中東からの輸入に頼っている日本にとって、ペルシャ湾のホルムズ海峡は生命線ですが、ロシアからの天然ガスに依存していた、EU各国の苦しい事情も思い返させます。

専門家すら予期できなかった想定外の事態は、単独で起こるとは限りません。状況に応じて対応しながら継続するのか、停止して別の道を探るのか、緊急時にこそ迅速な意志決定が迫られます。

さらに今年は、インドやインドネシア、ロシア、メキシコなど、世界人口の半数以上が投票する選挙一色の年です。日本にも影響が大きい、台湾総統選挙は与党が勝利したものの、対中政策は「ねじれ」状態での厳しい運営が迫られます。そして何より、11月にはアメリカ大統領選挙が控えています。これらは、AIを巡る世界の半導体需要や、GAFAMなどビッグテックの動向にも影響を与えます。

もう後戻りできない、生成AIの驚異的な進化と台頭

生成AIは、さまざまな業界で実務レベルの衝撃を与え続けています。データを分析するだけでなく、プログラミングや画像生成など創造的な解決策を生み出し、将来のトレンドを予測できるアルゴリズムは、毎週のように急速に進化しています。

生成AIは、消極的な意思決定から積極的で予測的な先見性へと移行することを迫る、強力なゲームチェンジャーとして振る舞っています。元々、欧米社会では労働力の流動性が高く、人材の雇用形態が「どこに所属しているか」が重視されるメンバーシップ型ではなく、「何ができるか」が重視されるジョブ型が中心です。そのため、(実際の背景はより複雑とはいえ)AIによる効率化・自動化によるホワイトカラーの大量解雇が、センセーショナルなニュースになる機会も増えています。

なお、前述の話につなげると、EUはアメリカとは違う独自のAI規制ガイドラインを制定しています。GDPR(EU一般データ保護規則)同様に、GAFAM以外にOpenAIやNvidia、Netflixなど、アメリカのビッグテック群の影響がさらに強まることを無視できない、EUの危機感とも言えるでしょう。しかも、アフターコロナの社会変容や戦況を横に見つつ、参加各国の利害を調整し、何とか合意できるポイントに迅速に落とし込むのは、並大抵のことではありません。

日本では、元々の商習慣やアフターコロナというタイミングのズレなどもありますが、AI利用のトレンドはさらに加速しています。企業は市場の変化を予測し、隠れた機会を特定し、電光石火の決断を下すことが迫られています。

世界規模で起きている、産業構造の急速かつ急激な変化

意志決定の高速化が要求されている背景として、産業構造のドラスティックな変化が挙げられます。

その顕著な例の一つが自動車産業です。自動車は、人の安全や物流の根幹を支える、その時代の最先端テクノロジーが結集した製品の一つ。世界のトレンドを踏まえて設計・開発し、膨大な数のパーツを安定した高い精度で量産し、効率的に組み立て、世界中の過酷な屋外環境で使われる製品として製造されることが求められます。巨大なグローバルマーケットで扱われる商品として、世界各国の法制度や地域の事情を考慮して、細かな仕様変更にも対応する必要があります。

一方で、バッテリー式電気自動車(BEV)や自動運転車では、TeslaやBYDなどのバッテリーメーカーが参入し、世界でトップを争っているのはご承知のとおり。内燃機関が不要で、一体成形技術も進化している分、必要なパーツ点数や工程も限定され、巨大な組み立て設備や熟練工がいなくても製造が可能です。さまざまな系列企業を水平分業で束ねるのではなく、設計や開発、製造、販売、リサイクルまで垂直統合された強みを最大限に活かしています。簡単には参入できなかった自動車産業に新しいメーカーが参入し、「車輪が付いたスマホ」とも称されソフトウェアが重要な鍵を握っている状況は、パーソナルコンピューターの黎明期にも似た状況にあると言われています。

しかし、EVが順風満帆かというと、決してそうでもありません。電力需要が高くなれば発電所が必要になり、二酸化炭素の排出量など環境負荷の点ではメリットは限定的だという指摘も相次いでいます。バッテリーの劣化やリサイクルというEVの課題も表面化し、ガソリン車・ディーゼル車からEVへの移行需要も、必ずしもスムーズに進んでいるわけではありません。

さらに、コロナ禍は出社や移動の必要性を減らし、AIの進化は自動運転を推進しています。移動が、交通手段の自己所有・管理や、公共交通機関の利用だった時代から、MaaS(Mobility as a Service)による顧客体験(CX)へとシフトしています。

このように、業界の内外かつ世界規模で、状況は目まぐるしく変化しています。


隣国と人や物が頻繁に行き来している大陸と違い、日本は民族や言語が均質的な島国です。疫病や戦火から一定の距離があることは、プラス面もあるでしょう。一方で、変わり続ける周囲の危機的状況に対処するには、否応なく迅速に決断と実行を繰り返すしかないチャンスを逸したことは、マイナスかもしれません。何より、AIの進化が国境を超えて高速に広がっています。

VUCAの時代において、意思決定に時間を掛けすぎることは企業にとって無視できないリスクになります。あらゆる選択肢やリスクを綿密に検討して慎重に進めても、予想できない変化が押し寄せることは避けられないからです。グローバル競争に晒される時代に躊躇することは、顧客だけでなく市場全体を失うことになりかねません。

リスクを正しく理解し、効果的に回避できるアジャイルな文化を取り入れることで、不安定で不確実、複雑で、曖昧なビジネス環境を克服するチャンスが拡がります。データ主導の洞察と機敏な意思決定を利用して、リアルタイムの市場動向に基づいて素早く転換するのがベストなソリューション。プロジェクトマネージャーの皆さん!意思決定の遅延という束縛を取り払うことで、変化の嵐を乗り切っていきましょう。

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