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「2025年の崖」を越える鍵?ITエコシステムと人材不足の解消法

リプリパ編集部

経済産業省がDXレポートで指摘した「2025年の崖」の年まで、カウントダウンは1年半を切りました。慢性的な人材不足に追い打ちを掛ける団塊ジュニア世代の大量退職、そしてIT基幹システムの老朽化が放置されることによる大規模な経済損失というリスクは、徐々に現実味を増しています。

人材不足を解消できる即効薬はないものの、一人のエンジニアに複数のスキルを身につけてもらうことと、人でなくてもいい作業はデジタルレイバー(仮想労働者)に任せてしまうことは、今すぐにでも可能です。

ビジネスにおけるエコシステム(生態系)とは何か?

エコシステム ecosystem とは、「生態系」を意味する単語です。大自然では、細菌や微生物が動植物の死骸を分解し、それが養分となって草や木、森を育て、昆虫や草食動物の餌となります。それを肉食動物が捕食し、再び大地へと還ります。また、陸地の養分は雨で地中に染み込み、河を流れて海へ辿り着き、海でも同じような食物連鎖が起きます。同時に、太陽によって温められた空気や水は、水蒸気を発生させ、雲から雨となって地表に降り注ぎます。分解→生産→消費→そしてまた分解という、大きなサイクルの中で全てが環流し、共存しています。

このエコシステムという概念は、ビジネス分野でもすっかり定着しています。互いに独立したサービスや製品、プロジェクト、組織などが、相互に作用し合って一つの大きなサイクルを形成している様子を、生物の生態系に例えた表現です。開発や製造、販売、ユーザーサポートなど、マーケティングのフローで語られることもあれば、製品の設計から開発、製造、物流、リサイクルまで、製造業やサプライチェーンの一連の流れを示したり、特定のプラットフォーマーが提供する、連携したサービス群で実現される世界観や経済圏など、さまざまな文脈で使われています。

レガシーな環境では、ソフトウェア開発のエコシステムを十分に活かせない

他のサービスとの連携や他社との共同開発なども、エコシステムと考えることができます。ソフトウェア開発の現場は変化と複雑さを増す一方です。スピードへのプレッシャーも大きく、このような状況では、すべてのプロダクトやサービスを自社だけで開発・提供し続ける選択は、非常にハイリスクです。そのため、自社のサービスにはない機能を外部のサービスと連携することで実現するAPIという仕組みも、エコシステムの一つといえます。

ただし、ここでネックとなるのがレガシーなシステム環境です。例えば、汎用系プログラミング言語であるCOBOLは、開発されてから60年以上が経過しているにも関わらず、事務処理の信頼性や安定性から、一部の官公庁や金融機関などを中心に今も利用されています。COBOLは、一人の開発者で多くの範囲をカバーできるメリットがあります。

その一方で、COBOLでは、複雑化・高度化する要件を満たすためのエコシステムが活用できません。共存の仕組みという、アドバンテージを十分に活かせないのです。

レガシーなシステム環境では、折角のエコスステムを十分に活用できず、属人化がリスクに
レガシーなシステム環境では、折角のエコスステムを十分に活用できず、属人化がリスクに

エンジニアも言語も、古いヒトやモノが全てダメではないものの…

レガシー環境に精通している老練なエンジニアは「希少生物」です。要件にピッタリと合い、ピンポイントで問題を解決できれば、一人で最大の価値を発揮してくれます。ただし、絶対的な個体数が少ない以上、代替できる人材がいない属人化は、組織にとっては非常に大きなリスクとなります。

もちろん、開発言語と同様に、古いから何もかも全てがダメというわけではありません。歴史がある言語だからといって、十分なナレッジやリソースが広く共有されているわけでもありません。むしろエンジニア個人にとっては、希少人材として高い報酬が得られる可能性はあります(COBOL関連の書籍が、増刷されているという噂も!)。また、新しい技術にも対応できる柔軟性があるかどうかは、個人の意識や態度という要素も大きいはずです。しかし、今後そういった現場は、確実に減っていくことは間違いないでしょう。

労働生産人口の危機的な減少という社会課題や、レガシーなシステムのリプレイスを進めてこなかった企業の問題など、さまざまな背景はあるでしょう。しかし企業として、今後の成長を見据えた体制づくりのためには、エコシステムを活かせる人材の確保が急務です。

人材不足の解決法1:ローコードツールの導入

ITとビジネスのリサーチ&アドバイザリー企業Gartnerが発表したレポートでは、企業がソフトウェア開発の内製化を進める上で、最も大きな課題となっているのが、IT部門の人材不足です。人材育成の体制や開発スキルがないといった、2位以下の課題を大きく引き離しています。

人材不足を解決する方法の一つは、最新技術を活用し続けるために、開発者に「ローコードツールで複数の能力を身につけてもらう」ことです。

ノーコード・ローコード技術は、プログラマーの作業を自動化することが可能
ノーコード・ローコード技術は、プログラマーの作業を自動化することが可能

プログラムを最小限の部分しか書く必要がないローコード開発では、モジュール化された小さな部品を組み合わせることで、自社のビジネスに必要なソフトウェアを内製化できます。プログラマーのように、役割自体が不要になる職業もあり、エンジニアのリスキリングやキャリア設計の面からも、昨今、最も注目されている開発手法の一つです。

限られた人材が複数のスキルを身につけることで、作業効率は確実にアップし、エンジニアの価値も上がります。また、外部の他者とのコミュニケーションコストや時間も、必要最小限に抑えられる、副次的なメリットもあります。

人材不足の解決法2:デジタルレイバーの育成

もう一つの方法は、さまざまな最新技術を活用するために、開発者を「デジタルレイバーで仮想化する」ことです。つまり、AIやRPAのような自動化できるソフトウェアを、優秀なパートナー=人間であるエンジニアと協働できる仮想労働者として育成していくことです。 本来、人がやらなくてもよかった作業や雑務は、24時間365日、ミスなく稼働してくれるデジタルレイバーに任せることで、開発者はエンジニアとしてやるべき重要な仕事にフォーカスできます。前述の、ローコード開発ツールの導入と同時並行することで、その効果が何倍にも増幅されます。

ローコード開発とデジタルレイバーを併用することで、「攻めの人材不足解消」を
ローコード開発とデジタルレイバーを併用することで、「攻めの人材不足解消」を


元々、組織内におけるITシステム開発の内製化率が、欧米に比べて低いまま推移してきた日本の現場では、外部との共存という点では、エコシステムの下地はあったかもしれません。しかし実際には、社外のSIerに依存しすぎるがあまり、社内にナレッジが溜まらず、十分な人材を育成できるだけの余裕がありません。特定のベンダーやサービスから脱却できないベンダーロックイン状態に陥った企業では、革新的な変化を起こすことは難しいでしょう。

ローコードツールを使ってエンジニア個人の複合的なスキルを強化し、デジタルレイバーを育てて最大限に活用する。エコシステムとして共存できる恩恵を受けながら、これら2つの手法を組み合わせることでIT人材不足を解決できれば、企業にはさらに新しいことにチャレンジするゆとりが生まれるでしょう。

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リープリーパー(略称:リプリパ)編集部です。新しいミライへと飛躍する人たちのためのメディアを作るために、活動しています。ご意見・ご感想など、お気軽にお寄せください。
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