アジャイル開発って何!?今さら聞けない基本をチェックしよう
近年、システム開発の現場でよく聞くのが「アジャイル開発」という言葉です。
日本と海外のシステム開発手法や考え方の違いは、ビジネス環境や文化的背景によって異なります。一般的に、日本のシステム開発では「ウォーターフォール開発」が主流で、プロジェクトや品質管理に重点が置かれてきました。
一方、欧米のシステム開発は「アジャイル開発」が主流とされてきました。頻繁に変わる顧客ニーズにスピーディーに対応して、機能を迅速に反映させたり、タイミングを逃さずマーケットに投入するスピード感が求められる時に、非常に有効な開発手法です。
最近では日本でも、いろいろなところでアジャイル開発の導入が少しずつ進んでいます。従来の開発手法に柔軟性を取り入れつつ、徐々に全体をアジャイル開発へシフトしていくことで、マーケットの動向に機敏に反応し、顧客満足度を向上させる取り組みが着実に拡がっています。
まず、アジャイル開発の基本に触れてみましょう。
そもそも、アジャイル開発(Agile Software Development)とは?
アジャイル(agile)とは、「動作が機敏な、敏しょうな、すばしっこい、頭の回転が速い」という意味です。つまり、アジャイル開発とは、柔軟性や応答性、継続的な改善を優先する、顧客重視のソフトウェア開発手法です。全体の構造を実装しながら、基本機能から詳細機能を作り込んでいく「反復型」開発です。
アジャイル開発では、プロジェクトを「スプリント」という小さな断片に分解します。小さなチームが短い期間で作業を完了させ、継続的に改善を繰り返していきます。また、開発プロセスが柔軟なので、顧客ニーズに合わせて柔軟に対応できます。
従来の手法は、ともすると硬直的で柔軟性に欠け、時間も掛かっていました。それとは違い、近年では、変化する顧客ニーズに対応しながら迅速かつ効率的にソフトウェアを提供しようとする組織を中心に、アジャイル開発の普及が進んでいます。ただし、小さなチームで協力しながら開発するため、密なコミュニケーションが不可欠といった注意点もあります。
一方のウォーターフォール開発(Waterfall Software Development)とは?
アジャイル開発と対比されるのが、ウォーターフォール(waterfall)開発です。ソフトウェア開発において、各段階が完了するまで、次の段階に進まない開発手法です。滝の水が数カ所に留まりながら流れ落ちていくようなこの手法では、要件定義や設計、実装、テスト、リリースというそれぞれの段階を順番に実施していきます。全体を分割して部分的に実装しながら、組み合わせて作っていく「増加型」開発です。
ウォーターフォール開発では、精度の高い計画を立案し、段階ごとに詳細な文書を作成することが求められます。しかし、仕様変更があった場合には、その都度前の段階にまで戻る必要があり、顧客やマーケットニーズの急速な変化には必ずしも対応できません。
アジャイル開発とウォーターフォール開発それぞれの長所と短所
アジャイル開発とウォーターフォール開発の、長所と短所を整理しながら比較してみましょう。
長所 | 短所 | |
アジャイル開発 (反復型) | ・柔軟で高速 ・顧客との関係 ・継続的な改善 | ・不確実性 ・ドキュメント不足 ・チームコラボレーション |
ウォーターフォール開発 (増加型) | ・予測可能性 ・徹底した文書化 ・明確なマイルストーン | ・柔軟性に欠ける ・納期が遅い ・顧客との限定的な関係 |
アジャイル開発の長所
柔軟性で高速:アジャイル開発は、変化する顧客ニーズに柔軟に対応できるように設計されています。プロジェクトの進行に伴う要件や優先順位の変更に対応しやすいのがメリットです。短いスプリントで作業を繰り返し、各スプリントの終わりに実用的なソフトウェアを提供します。
顧客との関係:顧客との関わりを重視するため、より高い成果と顧客満足度を得ることができます。
継続的な改善:継続的な改善と学習が奨励され、より質の高いソフトウェアと効率的な開発プロセスの実現につながります。
アジャイル開発の短所
不確実性:アジャイル開発は柔軟に設計されているため、プロジェクトの完成時期やコストを正確に予測することが困難な場合があります。
ドキュメント不足:実際に動くソフトウェアを優先するため、確実に現状を反映した膨大な文書を必要とする組織にとっては、困難な場合があります。
チームコラボレーション:チームメンバーの意思疎通に大きく依存しています。メンバーがリモートやオフショアで活動している場合や、リアルタイムでやり取りができない場合は、コミュニケーションが阻害要因になる可能性があります。
ウォーターフォール開発の長所
予測可能性:ウォーターフォール開発では、明確なプロジェクトが計画され、予測しやすいように設計されています。これは、スケジュールや予算に確実性が求められる組織には重要です。
徹底した文書化:規制やコンプライアンスを重視する組織にとって、文書化は必要なプロセスです。
明確なマイルストーン:マイルストーンと成果物を明確にすることで、プロジェクトを軌道に乗せ、全員が同じ目標に向かって活動します。
ウォーターフォール開発の短所
柔軟性に欠ける:ウォーターフォール開発は、アジャイル開発よりも柔軟性に欠けるため、プロジェクトの途中で要件や優先順位が変更されると、対応が難しい場合があります。
納期が遅い:各ステージを完了させてから次のステージに進むため、アジャイル開発よりも納期が掛かり、遅くなる傾向があります。
顧客との限定的な関係:アジャイル開発ほどにはユーザーを巻き込むことができないため、顧客ニーズと最終製品の間に誤解が生じたり、整合性が取なくなる可能性があります。
実は、ソフトウェア開発だけじゃない「アジャイル」の本質とは?
今や、「アジャイル」という単語だけで、ソフトウェアのアジャイル開発を意味するようになっています。ただし、実はアジャイルという考え方そのものは、開発に留まらず、組織の体系や働く人々のマインドにも広く関係しています。
LeapLeaperでは、今後もアジャイル開発についての話題を幅広く取り上げていく予定です。どうぞご期待ください。
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Soさん、ご質問ありがとうございます。 博士課程で必要な生物学の知識は、基本的に…
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