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顧客の顔を見える化するセグメントとペルソナ-CRMの基礎1

kotobato

モノやサービスを売りにくい時代の販売戦略として、顧客関係管理(CRM)はかつてないほど重要となっています。これは、顧客になる可能性があるユーザー(潜在顧客)や、既存顧客との関係を強化し、ビジネスを成長させるための重要な分析手法です。

CRMを導入し、顧客や潜在顧客とのやり取りなどに適切に活用できれば、顧客満足度が向上します。さらに、顧客体験(CX)が改善することで顧客ロイヤルティー(忠誠心)が確立されれば、結果的に収益の向上へとつながります。

今回は、CRMにおける重要な要素として、顧客を分類する「セグメント」化と、ターゲットユーザー像である「ペルソナ」の重要性を探ります。

顧客を分類するセグメンテーションで重要な4つの変数

ある特定の条件で、顧客を分類したグループを「セグメント segment(部分、区分、断片、切片)」と呼びます。また、セグメント化して分類することを「セグメンテーション segmentation」といいます。

この、セグメントを把握するのに重要な4つの変数があります。デモグラフィック(人口統計学的変数)とジオグラフィック(地理的変数)、サイコグラフィック(心理的変数)、そしてビヘイビアル(行動的変数)という4つです。順番に見ていきましょう。

デモグラフィック変数
(人口統計学的変数:誰が)
年齢、性別、教育、職業、収入、婚姻状況、家族形態、宗教、仕事での役職など
ジオグラフィック変数
(地理的変数:どこで)
国、地域、都道府県、土地、気候風土、人口密度、文化、都市部・郊外・農村部・山間部の違いなど
サイコグラフィック変数
(心理的変数:なぜ)
性格、興味、趣味、生活様式、価値観、悩み、意見、心理、信条、政治的立場など
ビヘイビアル変数
(行動的変数:どうする)
行動(状況)、顧客利益、ロイヤルティー、顧客の状態、購買準備、商品やサービスに対する思い入れ、ブランドに持っている印象、期待する顧客の行動など

デモグラフィック変数(人口統計学的変数 demographic):誰が

デモグラフィック変数は、年齢や性別、教育、職業、収入など、人口統計学的な特性を指します。一般的かつ客観的な属性として、公的な調査や白書、学術的リサーチ、ユーザー登録、アンケートなどを通じて、他の変数に比べれば比較的簡単かつ正確に把握できます。また、外部から見て、ある程度測定や判断、推測が可能です。

例:年齢、性別、教育、職業、収入、婚姻状況、家族形態、宗教、仕事での役職など

ジオグラフィック変数(地理的変数 geographic):どこで

ジオグラフィック変数は、地理的な属性で、その地域や土地特有の気候風土や文化などの属性が該当します。オンラインだけで完結する場合にはあまり使われませんが、オフラインのイベントや、場所と紐付いた人のリアルな対面が発生する場合には影響します。

例:国、地域、都道府県、土地、気候風土、人口密度、文化、都市部・郊外・農村部・山間部の違いなど

サイコグラフィック変数(心理的変数 psychographic):なぜ

サイコグラフィック変数は、性格や興味、趣味、生活様式、価値観など、個々の特性や行動が含まれます。これらは、必ずしも外見からは判断できず、より注意深く顧客を観察し、深いレベルで理解することが必要です。検索キーワードやソーシャルメディアの分析などを通じて、インサイト(本音・気づき)を把握するのが重要なポイントです。

例:性格、興味、趣味、生活様式、価値観、悩み、意見、心理、信条、政治的立場など

ビヘイビアル変数(行動的変数 behavioral):どうする

ビヘイビアル変数は、ユーザーが商品やサービスをどのように・どれぐらい・どんなシーンで使うかといった具体的な行動を示します。初回(だけ)か・リピーターか、ブランドにどのような印象を持ってアクションしたか、などが対象です。

例:行動(状況)、顧客利益、ロイヤルティー、顧客の状態、購買準備、商品やサービスに対する思い入れ、ブランドに持っている印象、期待する顧客の行動など

複数の変数の掛け合わせが、より効果的

これらは、どれか一つの変数だけを参照しても、顧客を深く理解することにはつながりません。

例えば、デモグラフィック変数の属性は、比較的簡単に統計資料などから入手することが可能です。匿名化されたデータは、ある一定の条件に従うことで、自由に閲覧・利用・加工が許可されている場合もあります。

しかし、サイコグラフィック変数では、ユーザーの行動から真の意図を推測し、把握する必要があります。人は、自分の言動の理由を必ずしも言語化できるわけではなく、他者に回答する内容と実際の行動が必ずしも一致しません。他者から観察・監視されていることを意識すれば、場合によっては通常と違う行動を示したり、嘘をつくことすらあります。

また、生活している地域属性としてのジオグラフィック変数が、その人の教育や職業、考え方などに何らかの影響を与えることはあり得ます。そしてそれらが、具体的な結果としてビヘイビアル変数に表れます。

つまり、複数の変数や属性を掛け合わせることで、より精度の高いセグメントで分類が可能になります。

ターゲットユーザー像としてのペルソナ

セグメントとして分類されたユーザーは、あくまでもいくつかの塊としてのグループです。それを、顔が見える存在にするのが「ペルソナ」です。

ペルソナ(persona)とは、「仮面」「人格」を意味するラテン語です。演劇や芝居で俳優が被る仮面から転じて、演じる役柄や登場人物、性格を示す言葉として使われています。「パーソン person」と同じ語源なのは、ストレートにイメージできますね。

このペルソナは、ある企業やブランドの理想的な顧客像を仮想的に具現化した概念として、マーケティングでも使われています。顧客の年齢や性別、職業、趣味、価値観、ニーズなど詳細な特性を、架空の人物として設定します。ただ、架空ではあっても具体的な人物像として形作ることで、製品やサービスをより魅力的に訴求する戦略をイメージできるようになります。自分がリアルに知っている人のうち、ペルソナに合いそうな人を連想し、仮名を付けてよりイメージしやすくする方法もあります。ターゲットとしてリーチしたいユーザーを、よりリアルで身近な存在として具体的にイメージするために、顔が見える架空の人物像として、ペルソナを設定することが非常に有効です。

前述の細かい変数・属性は、ペルソナを作る時の基礎となり、マーケティングを実践する上で重要な要素です。例えば、特定の年齢層や性別、収入層をターゲットにした製品やサービスの開発、広告キャンペーンの作成、価格設定戦略の策定、使うチャンネルやリリースのタイミングなどに幅広く活用されます。

例えば、海外の大企業向けと日本の中小企業向けでは、機能や量、価格、ブランドを変えた、別々のサービスとして提供する必要があるでしょう。また、意志決定者である企業の経営層が関心を抱く部分と、現場担当者が抱えている課題とは恐らく違いがあるはずです。さらに、一見、全く違う価値観を持つペルソナの、東京都心部に住む20代の独身女性と、沖縄に住む60代の妻帯者男性では、切り口や販売方法の演出を変えることで、同じ商品でも最適化して訴求できるかもしれません。

ニーズに沿った製品やサービスを提供するには、丁寧な洞察が欠かせません。ターゲットユーザーのペルソナを設定することで、企業は既存顧客と潜在顧客のニーズや不安、期待をより深く理解し、阻害要因(ペインポイント)や動機、行動を特定する精度を上げられます。顧客の心に響くマーケティングキャンペーンを展開すれば、ブランドへの信頼につながり、結果として売上の増加を促進できます。


顧客をフォローするのに、さまざまな変数や属性を分類したり、ペルソナを設定することが非常に重要だということはわかりました。しかし、ベテランの経験則や勘に頼ったり、Excelで管理するような非効率な方法では無理なのは当たり前です。

そこで必要なのが、効率的な顧客関係管理(CRM)です。さらに、ノーコード・ローコード基盤として自分たちの手元で高速に開発し、柔軟にカスタマイズできることが有効です。次回は、顧客が商品を知って、調査・比較し、実際に使ったり体験したさらにその後も、どのような「旅」を経験するのか、「カスタマージャーニー」と共に見ていきましょう。

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リプリパ編集兼外部ライター
企画制作や広告クリエイティブ畑をずっと彷徨ってきました。狙って作るという点ではライティングもデザインの一つだし、オンラインはリアルの別レイヤーで、効率化は愛すべき無駄を作り出すため。各種ジェネレーティブAIと戯れる日々です。
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