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アジャイル

美は細部に!桜の美しさがチーム構成とシステム開発に通じる理由

リプリパ編集部

皆さんのお住まいの地域や通勤・通学途中では、今年の桜を楽しめましたか?今年は例年よりも開花が遅く、入社や入学シーズンにずれ込んだ地域がほとんどのようです。

1年前に本格スタートしたこのリープリーパーですが、去年の桜の季節に「全体性」をテーマにした記事を紹介しました。全体性とは、細分化されたディテールの完成度が、全体の美しさや機能性を形作るということ。1年越しの今回は、さらにいくつかの事例や、チームビルディングやソフトウェア開発にも関係するという話をします。

建築に見る全体性の例をさらに

前回の記事では、スペインが誇る世界遺産アルハンブラ宮殿に注目しました。建築には、よく設計された細部による全体性の素晴らしい例を、いくつも見ることができます。

日本の茶室

伝統的な茶室は、自然とのつながりを優先した小さな空間です。古くは政治的な決断の場になることもあり、他者とのハイコンテキストな意思疎通の場としても機能しました。また、自己を見つめるインナーワールドという小宇宙への入口でもありました。茶室では、自然素材の使い方や、窓や炉の配置、庭の導線に至るまで、あらゆる要素が独特の空間を強調し、静寂と集中という特別な感覚を作り出すことが意識されています。一見シンプルに見える人の仕草も、作法や流儀という決められたプロトコルとして成立し、茶道という体験を高める調和の取れた全体を作り出しています。

ステンドグラスの窓

個々の色ガラスだけでも十分美しいものですが、それらが組み合わせられ、一つの大きなイメージや連続した物語を形成することで、さらなるインパクトが生まれます。一見くすんで見える赤も、鮮やかな青の隣に置かれ太陽の光を通すことで、まったく異なる新しい意味を持つようになります。周囲の環境とうまく調和し、均整の取れた空間を持ち、照明や素材などの細部を思慮深く統合した光景は、宗教的な体験を高めるための、具現化された全体性の例と言えます。

全体性を考慮することのアドバンテージ

全体性を意識したコンセプトは、標準化とモジュール設計という原則に合致します。明確に定義された高品質の部品やプロセスを作成することで、いくつかのアドバンテージが得られます。

  • 効率性:プレハブの建築資材が工期をスピードアップできるように、標準化されたモジュールを使用することで、チームやITシステムの組み立てや配備をスピードアップできます。
  • 拡張性:モジュール状に小分けされたパーツを組み合わせたり、追加・削除することで、簡単にスケールアップ・スケールダウンできます。ニーズの変化に柔軟に対応する必要がある昨今、特に有用です。
  • エラーの削減:一度完成したモジュールは、最小限のバリエーションで複製できます。属人化を避けることでエラーやミスが減り、より一貫した結果を得られます。

全体性を意識したチームビルディングとは?

合理的に設計された建物は、相互に結びついた強固な基礎構造に依存しているように、成功する組織は機能するチームの上に築かれます。各メンバーが特定のスキルを発揮し、結束して動く小さなチームが集まれば、強い組織を形成できます。全体性というコンセプトと効果的なチームビルディングやチームマネージメントの間には、強い結びつきがあり、目指すゴールを達成できるいい組織のための鍵でもあります。

ビジョンの共有と明確な役割分担、効果的なコミュニケーションという要素が揃えば、チームは驚くほど生産的になり、組織の目標達成に大きく貢献できます。チームメンバーの一人ひとりがそれぞれの強みと才能を発揮し、全員が効率的に協力し合うことで、全体性が生まれます。これは、オーケストラの演奏や建設工事にも通じています。ただ、すべての仕事はチーム作業であり、ソロワークの組み合わせです。部門を問わず、さまざまなスキルや知識を持つ人材で編成されたクロスファンクショナルなチームが結束することは、桜の樹をしっかりと支える土のように、成功する組織の土台となります。

注意したいのは、規模が小さく細分化されていればいいとは限らないこと。大規模なチームでも、適切なリーダーシップや合理的な構造、コラボレーションの推奨に焦点を当てることで、全体性の感覚を達成できます。また、定型化・細分化され過ぎると、イノベーションを阻害したり、管理運用が煩雑になるリスクもあります。

チームビルディングにおける全体性の概念は、組織を成功に導くためには個人の貢献と強力なチームダイナミクスが重要である点は、十分に意識されるべきでしょう。

ディテールの欠陥は、全体が失敗する原因にもなる?

小さな欠陥が連鎖的に影響し、構造全体を壊してしまう可能性もあります。ディテールの機能美が全体の美しさに貢献する一方で、小さな欠陥が全体的な強度に悪影響を及ぼし、構造体を弱体化させるリスクについても考える必要があります。弱点や潜在的な問題に早い段階で対処することで、雪だるま式に大きな問題に発展するのを防げます。

例えば、建築物に経年劣化や耐震基準に満たない施工で生じた、基礎の小さなひび割れを放置しておくと、構造上の大問題につながる可能性があります。近年は、地球温暖化など、複合的な要因が影響しています。

同じようなリスクは、チームでも起こり得ます。一人のメンバーの言動やスキルが原因で、全体のパフォーマンスが低下したり、ダイナミクスが制限されたり、雰囲気が悪くなることもあります。些細なコミュニケーションの断絶が誤解を招き、プロジェクトの進行を妨げることも珍しくありません。

全体性を意識した、アジャイル開発という選択肢

ITサービスにおいては、共通のタスクや定型プロセスの成功例として、テンプレートやマニュアル、プレイブックを用意することは一般的です。メンバー全員が同じアプローチに従うことで、効率性・一貫性が高まります。

近年、自社でソフトウェア開発を内製化するニーズが高まる中で注目されているのがアジャイル開発です。全体性はアジリティー(俊敏性)と深いつながりがあり、変化のペースが速く予想できないVUCA(変化しやすく、不確実、複雑で、曖昧)と呼ばれる時代には、ますます重要性が高まっています。

全体性とアジリティーは、対立するものではなく、ソフトウェア開発プロセスを強化する補完的な原則です。部分を意識した全体性はソフトウェアの強固な基盤となり、製品としてトータルの品質と機能性を保証します。また、アジリティーは、継続的な改善と適応を可能にし、ソフトウェアを適切な状態に保つことで、変化するニーズに対応します。

アジャイル開発の優位性

  • 移ろいやすいユーザーのニーズを満たす、高品質なソフトウェアを提供
  • 変化するマーケットのトレンドに沿った要件変更に迅速に適応
  • リスクと不具合を早期に発見し、最小限に抑制
  • チームのコミュニケーションとコラボレーションを改善

基盤としての全体性

機能するアジャイルチームは、高品質な機能を反復的に提供することに重点が置かれます。チーム全員が同じゴールを目指して力を合わせ、実行や評価、修正を繰り返しながら適応していく、具体的で厳格なスクラム。効果的・合理的なデリバリーとチーム内の仕事の流れを最適化し、比較的柔軟性が高いカンバン。アジャイル開発で代表的なこれらの手法では、小さく、明確に定義された小さなタスクが重視され、ソフトウェアの全体的な機能性・全体性に貢献します。

原動力としてのアジリティー

アジャイル開発では、ユーザーストーリーやスプリントレビューなどの機能を通じて、迅速なトライアルやテスト、アップデートが可能です。反復的なアプローチにより、ソフトウェアが常に適切であり続け、進化するニーズに対応できます。小さな不具合が大きなトラブルに発展するのを防ぎ、ソフトウェアの全体性を維持します。

APIとマイクロサービス

サービス同士を連携するAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)や、小分けされたマイクロサービスが人気です。これらは、標準化された高品質のモジュールであり、他のコンポーネントと簡単に統合して、複雑なシステムを構築できます。


ソメイヨシノは接ぎ木による遺伝子が同じクローンとして、全国各地へと拡がっていることが知られています。近年、ゲノム解析によって、「幻の最初の1本」を突き止める研究も進んでいます。一つの花や一本の木、一つの地域だけでなく、時間や歴史すら越えるロマンを感じさせます。

桜の一輪一輪の美しさや植物としての生育状態が整っていなければ、木全体の見事な美しさは達成できません。上質な小さな部品を複製して効率化を図るという考え方は、ビジネスのチームマネジメントやTシステムにも当てはまる強力なコンセプトです。特徴を把握し、標準化とモジュール設計を活用することで、効率性・適応性を兼ね備えたチームやシステムとしての美しさを、将来にわたって咲かせることができるでしょう。

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リープリーパー(略称:リプリパ)編集部です。新しいミライへと飛躍する人たちのためのメディアを作るために、活動しています。ご意見・ご感想など、お気軽にお寄せください。
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