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拡がるローコード・ノーコード開発マーケットの現状と将来予測

リプリパ編集部

ローコード・ノーコードプラットフォームとは、プログラムのソースコードを極力記述しないか、全く記述せずにソフトウェアを開発する基盤です。ソフトウェア開発を合理化し、ITエンジニアの時間とコスト、エネルギーを節約できる、ビジュアルベースのアプローチです。細分化されたコンポーネントをドラッグ&ドロップして接続し、自分が使いたいアプリケーションを作成する環境を提供します。

優れた柔軟性や高い効率性などから、国内外の多くの企業で導入が進み、一部の企業では基幹系システムにも導入されています。IT人材の不足やDX人材の育成が課題になっている中で、大きな注目を集めています。今回は、その拡がりとマーケットの拡大予測をチェックしてみましょう。

着実に拡がるローコード・ノーコードプラットフォームの導入

ITサービスやテクノロジー系のリサーチ企業ガートナーのリリースによれば、世界のローコード開発マーケットは、2023年に20%成長して269億ドル(2023年7月初め時点で約3兆7,590億円、以下同様)に達すると予測されています。中でも、ローコードアプリケーションプラットフォーム(LCAP)は、2023年に25%成長し、100億ドル(約1兆4,172億円)近くに達すると予測されています。

さまざまな統計を公開しているStatistaのグラフも見てみましょう。約60%の企業が、ローコード・ノーコードプラットフォームを採用することで収益が増加し、レガシーシステムの置き換えに役立つと回答しています。ビジネス上の問題を解決するアプリケーションを構築するのに、コーディング経験がほとんど必要ないというメリットは、世界中の組織にとって非常に魅力的です。ローコード・ノーコードマーケットの成長はさらに続き、2027年までに約650億USドルに達すると予測されています。

ローコード・ノーコード市場規模の成長(単位:10億USドル)
ローコード・ノーコード市場規模の成長(単位:10億USドル)
出典:Low-code development platform market size worldwide 2025 | Statista
https://www.statista.com/statistics/1226179/low-code-development-platform-market-revenue-global/

続いて、Microsoftのレポートもチェックしてみます。同社は、Microsoft Power Platformというローコード・ノーコードプラットフォームを提供しています。このレポートでは、ローコード・ノーコードプラットフォームやアプリに精通し、それらを専門的または個人的に使用しているユーザーの82%が、ソフトウェア開発の知識と技術スキルを向上させると答えています。また、ローコード・ノーコードユーザーの84%、興味はある潜在的なユーザーの86%が、技術的なスキルアップに投資してくれる企業で働きたいと回答しています。

開発などのITスキル教育は、人材募集にも大きく影響
開発などのITスキル教育は、人材募集にも大きく影響
参考:Low-Code Trend Report 2022 – Microsoft Power Platform Blogを元に編集部で作成
https://cloudblogs.microsoft.com/powerplatform/2022/05/24/low-code-trend-report-2022-building-a-learning-culture-on-a-low-code-platform/

もちろん、ローコード・ノーコードプラットフォームは日本でも着実に導入が広がっています。IDC Japanが2022年4月に発表した調査では、2023年に日本国内で新規開発されるアプリケーションの60%が、ローコード・ノーコードプラットフォームで開発されるようになるだろうと予測されています。2020年8月時点の調査結果だった導入率8.5%、2021年9月の37.7%と比較して、日本国内でも着実に導入が進んでいます。

DXを実現する上で欠かせないローコード・ノーコード

ローコード・ノーコードプラットフォームは、DXを実現する上で重要な要素です。

アプリケーション開発の状況は大きく変化し、要求が増え、要件も複雑になっています。開発期間も短くなり、対象となる業務の範囲も広がっています。顧客やマーケットニーズも変化が避けられず、アプリケーション開発のニーズも増え、複雑化する一方です。しかし、IT人材は各地で不足しています。この問題を解決するには、革新的な手法によって業務プロセス全体を刷新することが避けられません。そのためには、効率的なサービスを導入することと、非IT人材を含めた新たなDX人材を育成することが急務です。

PaaS(Platform as a Service)としてのローコード・ノーコードプラットフォームは、アプリケーション開発に必要なコンポーネントやUIフレームワーク、ワークフローエンジン、AI技術などを提供しています。基幹システムとのデータ連携も可能なので、ほとんどコードを書くことなく、インテリジェントなプロセスを簡単に組み立てられます。従来のグループウェアや古い基幹システムをローコード・ノーコードプラットフォームで置き換えたり、組み合わせることで、革新的なビジネス環境を実現できます。

ローコード・ノーコードプラットフォームの主なメリット

既存の優れたテンプレートや、ドラッグ&ドロップのシンプルな操作、そして迅速なデリバリーなどの機能を備えたローコード・ノーコードプラットフォームは、アプリやソフトウェア開発を大きく変革しています。また、非IT人材を市民開発者(シチズンデベロッパー)に育成できるシステムは、「ソフトウェア開発の民主化」だといえます。

  • 高速なスピード:ローコード・ノーコードは、開発の迅速化やアジリティー(敏捷性)の向上など大きなアドバンテージがあります。
  • 自動化・効率化:エンジニアが一行ずつコードを記述する必要がないため、ヒューマンエラーや属人化のリスクが低減します。
  • 高機能:導入されるレベルが制限されることはなく、複雑なエンタープライズレベルのアプリケーションでも、コーディングなしで構築できます。
  • UX改善:開発とテスト、リリース、改善を高速に繰り返すことで、ユーザー体験(UX)が改善し、顧客満足(CS)の向上へつながります。
  • カスタマイズ性:マーケットやユーザーのニーズに応じて、柔軟にカスタマイズが可能です。
  • スケーラビリティー:B2Bの基幹システムから、B2Cのモバイルアプリまで、幅広いプラットフォームに対応できます。
  • IT部門の負担軽減:マーケティングや営業、人事など幅広い部署やサイドプロジェクトの現場で開発できます。
  • コスト最適化:人件費や採用・育成コスト、プロジェクト全体の予算などのメリットは、経営層の関心を集めます。
  • 要件定義や運用・保守:一部のプラットフォームでは、従来型のソフトウェア開発には必須の要件定義や運用・保守が最適化できます。
  • アジャイル化:開発スタイルだけでなく、チームや組織のマインドにアジリティーを浸透させます。
  • 働き方改善:チームへの貢献意識やジェンダーギャップの解消、アフターコロナの働き方など、副次的な効果もあります。

ローコード・ノーコードプラットフォームを使う上での注意点

一方、ローコード・ノーコードは手軽に開発できてしまう分、新たなリスクも生まれています。情報システム部が許可していないアプリケーションが開発されて使われるシャドーITや、把握・管理されないまま制作・放置される「野良アプリ化」などが指摘されています。品質管理や開発権限の管理などのガバナンス策定、開発の標準化やフレームワーク作成、教育やトレーニングが重要です。

  • リソース:ローコード・ノーコードに適した時間や資金、人材などのリソースが必要です。従来型からの移行期には、重複が避けられません。
  • トレーニング:ベンダーが提供するプラットフォームに関する人材教育を従業員に受けさせたり、社内に教育環境を作る必要があります。
  • セキュリティー:ソフトウェア開発の基本であるガバナンスやテストなど、セキュリティーを考慮することが重要なことは変わりません。
  • 統合と連携:ローコード・ノーコードプラットフォームは、APIを通じた他のサービスと組み合わせて機能させることが重要です。
  • ベンダーからの独立性:そのプラットフォームがベンダーから独立しているかどうかを考慮することも重要です。

サービスやベンダーの選択ポイント

ローコード・ノーコードプラットフォームにはさまざまなサービスがあり、それぞれに特化したベンダーやSIerも、数多く存在します。導入支援やコンサルティングを始め、システム構築、運用保守、教育、トレーニング、さらには顧客ニーズに合わせたシステムの受託開発など、各社が幅広いサービスを提供しています。しかし、どの開発ツールやサービスを使うかよりも、まず自社でどのようなアプリケーションを作りたいのかを明確にし、アーキテクチャーを設計することが重要です。

内製化することで、現場が開発できるアプリケーションはさまざまです。商品管理や販売管理などの営業系、スケジュールやワークフローなどの業務プロセス系、予算や売上管理などバックオフィス系など、現場の数だけニーズがあります。自社の戦略や目的に応じた柔軟性や機能、カスタマイズ性、統合機能、セキュリティー、学習リソースなどを考慮し、最適なローコード・ノーコードプラットフォームと信頼できるパートナーを選択しましょう。


従来と比較して短期間で高品質なシステムを開発できるローコード・ノーコードプラットフォームのアドバンテージは、人材不足に悩むIT部門にとっては、なくてはならないサービスです。また、ITエンジニアではない、ビジネスアナリストやシチズンデベロッパーなど、あらゆる立場の人々が、自分が必要なソフトウェアを自分自身で作れるようになり、その可能性を広げています。

今後、生成AIとの連携や機能強化にも注目が集まっています。マーケットのさらなる拡がりも期待されることから、トレーニングやセキュリティー、ガバナンスなどの環境整備も着実に進めていくことが重要です。

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