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アジャイル

自由な開発を我らの手に!民主化革命としてのローコード導入1

リプリパ編集部

プログラムコードをほとんどまたは全く書かないソフトウェア開発手法であるローコード・ノーコード開発は、ある意味「ソフトウェア開発を民主化する」手法です。ソフトウェア開発を、ITエンジニアだけの権利や義務にせず、豊富なコーディング知識を持たない非エンジニアではない、シチズンデベロッパー(市民開発者)に開放する役割を果たします。これはもはや「革命」!

とはいえ、ウォーターフォール開発が主流の環境では、なかなかチームや組織に導入するのは難しいもの。今回と次回は、「民主化革命としてのローコード・ノーコード開発導入」をテーマに考えて見ます。

「革命」と聞けばこの迫力ある絵が思い浮かぶものの…

7月14日はフランス革命記念日(パリ祭)です。E.ドラクロワによって描かれた絵画「民衆を導く自由」のテーマは、1830年7月に起きたフランス革命です。あまりにも著名な絵画なので、CMや広告、ミュージシャンのアルバムジャケットに使われていますね(昨今なら、AIの学習データにも!)。

E.ドラクロワ作「民衆を導く自由」
E.ドラクロワ作「民衆を導く自由」…ソフトウェア開発の民主化はここまでしなきゃダメ?

偶像として象徴される中央の女性(実は原題には「女神」という単語はない)は、後にフランス国旗となる、自由・平等・博愛を象徴するトリコロールの旗を掲げて、さまざまな階層の民衆を鼓舞します。はだけた乳房は母性を象徴し、左手には銃剣つきマスケット銃を持ち、頭には革命の象徴であるフリジア帽を被っています。倒れた人々を乗り越え、力強く前へと進む様子がダイナミックに描かれています。

さて、職場へのローコード・ノーコード開発基盤の導入は、これほど激しいものなんでしょうか?死屍累々とした荒野を突き進んでいかなければならないほど、残酷な風景が展開されるのが避けられない?その時、リーダーをフォローやサポートをしてくれる人たちはいるか?自分が置かれたポジションでできることとは?

徐々に下降する、デジタル技術を活用する国力

まず、私たちが置かれている厳しい状況を直視してみましょう。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表している、デジタル技術を活用する国別の能力ランキングがあります。

デジタル技術を活用する国別の能力ランキング2022年版-日本
デジタル技術を活用する国別の能力ランキング2022年版-日本

出典:World Digital Competitiveness Ranking – IMD business school for management and leadership courses

対象になっている63の国と地域の中で、日本は過去5年間徐々に下降しています。2022年9月に発表されたレポートでは、前年から一つランクを下げ過去最低の29位にまで落ちました。

このランキングは「知識」と「技術」、「未来への対応」という3つの指標で評価されています。日本は、「知識:高等教育の生徒当たりの教師数」や「知識:教育へのロボット導入と研究開発」、「技術:ワイヤレスブロードバンド利用者数」、「未来への対応:世界へのロボット展開」、「未来への対応:ソフトウエア著作保護」では高い評価を得ました。

その一方で、「知識:国際経験」や「知識:デジタル/テクノロジースキル」、「未来への対応:機会と脅威」、「未来への対応:ビジネス上の俊敏性」、「未来への対応:ビッグデータ活用・分析」が低く、足を引っ張る結果となりました。

個別の項目で特に顕著なのは、「人材:50位」が低く、「ビジネスの俊敏性(アジリティー):62位」に至ってはほぼ最下位という、非常に厳しい現実を突きつけられています。

これは、GDPや人口、地域特性なども加味した国単位の分析ですが、日本国内の業界や各企業の傾向も全く無関係ではありません。当然、このまま下降を見過ごしていいはずはありません。「革命」という物騒な言い方をせざるを得ないほどの、危機を打開するアクションが必要です。

ローコード・ノーコード開発によるアジャイルな民主化とは?

そこで、有効かつ現実的な解決策として注目されているのが、ローコード・ノーコード開発基盤によるアジャイルな手法です。これは、ソフトウェア開発を非エンジニアにも開放する、「ソフトウェア開発の民主化」に他なりません。「民主主義」「民主化」という文字通りの意味を踏まえつつ、政治的・イデオロギー的な意味からは少し離れて、組織のソフトウェア開発にとってどういう意味や価値があるか、読み替えながら考えてみましょう。

ソフトウェア開発における民主主義とは

ソフトウェア開発における民主主義とは、メンバー誰もがソフトウェア開発という活動に参加し、必要なプラットフォームやサービスを選べる体制のことです。さまざまな形態がありますが、以下のような特徴にまとめられるでしょう。

  • 基本的権利:メンバーは、各自が基本的な権利を持ちます。この権利は侵害されないように保護されます。シチズンデベロッパーは、自分でソフトウェアを開発する権利を手にするわけです。
  • 表現の自由:メンバーは、ソフトウェアを作ることを通じて、自分のアイデアや意見を自由に表現する権利を持ちます。
  • 選択権:ビジネスの場合、会社が選んだプラットフォームを使うことにはなりますが、その中で何を選ぶか、一定の権利や透明性は確保されるべきでしょう。
  • 多数決と少数派の権利:メンバーの多数の意見に基づいて意志決定が下されますが、少数派の意見や権利も尊重されます。これは、アジャイルなチームのコミュニケーションでも非常に重要です。
  • ルールによる支配:ルールに従わなければならないのは、ユーザーだけでなくプラットフォーマー側も含まれるのは重要です。ルールは公平で透明である必要があります。

ソフトウェア開発に限らない、民主主義の課題やリスク

民主主義は、自分たちの将来を自分で決められる点は、他の手法よりも優れていると考えられています。しかし当然、課題やリスクもあります。

  • 無関心や無知:メンバーが興味を持たなかったり、十分な情報を得られなければ、参加の意識やアウトプットの質が低下します。
  • 対立や分断:メンバーが異なる意見や利益を持つと、対立や分断が起こります。悪くすると、紛争に発展することもあります。
  • 多数決の暴走:多数派が少数派を抑圧したり、ルールや権利を無視したりすることもあります。これを防ぐためには、チェック&バランスが必要です。

ソフトウェア開発における民主化とは

民主化が成功するためにはさまざまな要因が関係しますが、ソフトウェア開発の現場でも以下のようなことが必要とされます。

  • コミュニティーの発展:メンバーが自分たちの権利や利益を主張し、参加できるようになるためには、自発的で自律的なコミュニティーが発展する必要があります。メンバーの意識や要求を表現し、時にプラットフォーマーに対して要求を出す役割も果たします。
  • リーダーシップ:民主化を推進するためには、リーダーシップが重要です。リーダーは、既存の手法や体制に対して変革を求める一方、メンバーの支持や信頼を得ることで、運動を力強く推進する立場です。マネージャーや経営層と、権限の移譲や制度改革などを交渉したり、協調することで、民主化の実現に貢献します。
  • 外部との連携や支援:民主化を促進するためには、外部との連携や支援も必要です。パートナー企業やステークホルダーとの間で、技術的なノウハウやリソースを提供し合うことで、民主化を進める条件を整えられます。また、阻害要因となるような間違った方向にチームや組織が進もうとする場合には、それらに抵抗したり、反対意見を表明することも必要です。


フランスでは今年、移民の少年に対する警察の暴挙や、年金の支給開始年齢引き上げに端を発した、各種の抗議デモが起きています。関係者は口々に、略奪などの暴力的行為を非難すると共に、冷静な対話の継続を呼びかけ、事態の収束を図っています。

既存の手法を変え、ソフトウェア開発の民主化を実現するには、ハッキリと声を上げることも重要です。しかし、目的と手段を冷静に判断し、関係者との継続的な対話を深めていくことも忘れてはなりません。次回も引き続き、このことを考えてみましょう。

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