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ローコード・ノーコード

必要な機能を補って共に成長する、APIエコシステムという生態系

リプリパ編集部

アプリケーションやサービス、プラットフォームを相互接続するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)は、現代のソフトウェア開発には不可欠な要素の一つです。さまざまなシステム間でデータ交換を可能にする仕組みについては、以前、概要やトレンドを紹介しました。

今回は、APIによって実現される「APIエコシステム」について考えてみましょう。

テクノロジーにおけるエコシステムとは

そもそも、エコシステム(ecosystem)とは、自然界における生態系を意味する言葉です。大自然の中で生物は、食物連鎖の中で関係を位置づけられつつも、時に相互依存して外敵から身を守ったり、環境の変化に適応することで、種族を繁栄させ続けています。

自然界と同じようにテクノロジーやビジネスでも、ライバルである同業他社と生存競争はしつつ、異なる企業がお互いの強みを活かして協業しています。この共存共栄を目指す関係性が、エコシステムと表現されることが増えています。

テクノロジー・エコシステムとは
テクノロジー・エコシステムとは

テクノロジーやビジネスにおけるエコシステムとは、相互接続され、相互依存する多様なデータの集合「ビジネス・エンティティー」のネットワークを指します。それらは互いに支え合い、持続的にイノベーションを促進するための共同体として働きます。ビジネスが単に自立した単一事業体として存在するのではなく、「直接的・間接的にお互いをサポートする一部として存在する」ことが特徴です。

増え続けるAPIサービス

APIが使われていて最も知られている例は、Googleマップでしょう。交通機関の乗り換え案内や飲食店の検索、荷物のトラッキング、タクシーの配車、シェアサイクル、フードデリバリーなど、B2Cのサービスで幅広く使われています。また、2024年問題が指摘されている物流ルートの最適化や、防災関連のGIS(地理情報システム)など、B2Bでも利用されています。これらは、そのサービスが独自でマップを整備している訳ではなく、Googleが公開しているAPIを活用することで、地図機能を利用できるようになっています。外部の優れた専用サービスを組み合わせることで、自社の新しいビジネスチャンスにつながるイノベーションが生まれます。APIは、そのための重要な役割を果たしているのです。

2011年以降、世界中でAPIの標準化と連携が拡大

2023年9月、APIに関するカンファレンス「Apidays London」が開催されていました。10年以上の歴史を持つ人気イベントですが、さまざまなAPIを一覧できるページを見ると、2023年1月時点で1515ものサービスが登録されています(下記の画像は2022年12月時点)。その種類は、APIライフサイクルプラットフォームやバックエンド構築ツール、API-as-a-Productとしてのビジネスプロセス、サービスとしての統合プラットフォーム、API抽象化など、多岐にわたります。

増え続けるAPIの業界地図
増え続けるAPIの業界地図 
出典:The API Landscape
https://apilandscape.apiscene.io/zoom

APIエコシステムが機能するポイント

任意のサービスやアプリの中に、複数のAPIが組み込まれていることも珍しくありません。相互に通信するアプリケーションやサービス、プラットフォームのネットワークである、APIエコシステムが作り上げられています。APIエコシステムが上手く機能するには、異なるステークホルダー間の競争と協力のバランスが取れている必要があります。いくつかポイントを見てみましょう。

  • 標準化:異なるシステム同士でもシームレスに通信できるようにするためには、APIとプロトコルが標準化されている必要があります。
  • 柔軟性:変化する市場環境や顧客ニーズにスムーズかつスピーディーに適応するには、柔軟なAPIエコシステムが構築されていることが不可欠です。
  • コラボレーション:異なるステークホルダー間で最適な形で協同できれば、より包括的・効果的なAPIエコシステムの構築が実現します。
  • イノベーション:一定の条件下で、複数のソースからデータへ自由にアクセスできる環境は、ビジネスのイノベーションと新たな機会の創出につながります。

拡がるAPIエコシステムの背景

従来のエコシステムと言えば、特定のメーカーやサプライチェーンによって構成される、その企業を中心とした閉じた経済圏という文脈や、「垂直統合」「囲い込み」というキーワードと共に語られることが多くありました。しかし近年では、多くのSaaSがAPIを媒介として連携しています。自社のサービスに足りない機能を外部サービスと補い合うことで、自社ならではの強みに特化する一方、集められたデータを分析することで、新たなマーケットを開拓するチャンスも生まれています。

このAPIエコシステムという生存圏が拡がっている最大の理由は、ビジネスを取り巻く環境が変化する速度や量が、かつてないほどに激しくなっているからです。アプリケーションのすべての機能を自社で独自開発し、保守管理しながら運用していくには、現代のシステムはあまりにも複雑化し過ぎています。また、ビジネス環境やマーケットの変化も激しく、従来のビジネスモデルがそのまま続けられるとは限りません。新しいテクノロジーも次々と登場し、時間が過ぎる間に状況は変わっていきます。自社の技術だけでサービスを開発することは、一社でリスクを抱え込むことにもなりかねません。

開発プロセスを変革するAPIエコシステム

APIエコシステムは、ソフトウェア開発のプロセスも大きく変えました。

ソフトウェア開発のプロセスも変革したAPIエコシステム
ソフトウェア開発のプロセスも変革したAPIエコシステム

インターネットが普及する1990年代以前は、自社に必要なソフトウェアをスクラッチで開発することが前提でした。その後、多くの企業でIT化が進み、一部のニーズは汎用的なソフトウェアパッケージに置き換えることができました。クラウド化・モバイル化が加速した2010年以降では、SaaS/PaaS/IaaSがさまざまな場面で導入され、ローコード・ノーコード開発プラットフォームを使ったアプリケーション開発も始まりました。そして現在では、「APIファースト」の考え方でシステムが設計・開発される形にシフトしています。

VUCAという言葉で示されているように、現代社会は変動性・不確実性・複雑性・曖昧性に翻弄されています。これらの課題に対応するには、市場やユーザーのニーズをタイムリーに把握することが必要で、製品のリリースは早く、ライフサイクルも短くならざるを得ません。APIエコシステムを実現するために、変化に柔軟に対応できるアジャイル開発というスタイルや、ローコード開発プラットフォームが必要とされているのです。


APIエコシステムは、さまざまなステークホルダーに共通のプラットフォームを提供しています。

サービスやアプリを使うユーザー個人としては、複数の機能を便利に利用できる機会が増えても、それを実現しているAPIの存在を意識することはないでしょう。いろいろな機能をシームレスに利用できる環境は、ユーザーの顧客満足(CS)向上を達成するのにも役立ちます。

また、オムニチャンネル戦略を進めるビジネスユーザーには、アプリやECサイト、メールマガジン、ソーシャルメディアなど、あらゆるチャンネルを通じてユーザーの動向を把握できる、APIエコシステムのアドバンテージは魅力的です。

さらに、エンジニアにとっては、複数のソースからデータへ自由にアクセスできるオープンアクセスが実現されていることで、ソフトウェア開発の柔軟性や効率性がアップします。自社がリリースするサービスも、この巨大なAPIエコシステムという生態系の一部であることを意識することが増えるでしょう。ローコード開発プラットフォームと共に、ますます目が離せなくなりそうです。

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リープリーパー(略称:リプリパ)編集部です。新しいミライへと飛躍する人たちのためのメディアを作るために、活動しています。ご意見・ご感想など、お気軽にお寄せください。
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