ローコード・ノーコード

人気プログラミング言語を日米比較したら、違いがかなり興味深い

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開発言語の人気は、テクノロジーの進化とともに変化していきます。また、エンジニアの年収も、使用する開発言語によって大きく異なります。マーケットでどの言語が求められているかを理解することは、自分の市場価値や立ち位置を把握することにもなり、キャリア形成において重要な指標です。

前回の記事では、ローコード開発時代に実はテスターが注目されるという話をしました。今回は、開発言語の人気ランキング、各言語や職種ごとのエンジニアの平均年収ランキング、ランク外でも根強い人気のレガシー言語などについて、いろいろチェックしてみましょう。

開発言語の人気ランキング

ニーズが多い開発言語を学習して経験を積めば、そのエンジニアを求めている企業や案件も多数あり、転職や就活の選択肢も豊富です。開発言語の人気はさまざまな要因によって変動し、1965年からの55年間を見ても、ランキングが大きく変わってきたことがわかります。

The Most Popular Programming Languages – 1965/2020 – YouTube

TIOBE Index

毎月更新されている、プログラミング言語の人気を示す最新の指標によると、PythonやC++、Java、Cなどが上位にランクインしています。興味深いのは前年同月比で、FortranとRust、COBOLが上昇している点ですが、これらについてはまた後ほど。

▼TIOBE Index – TIOBE
https://www.tiobe.com/tiobe-index

Stack Overflow Developer Survey

世界中の開発者からのフィードバックを基にしたデータが提供されています。学習や趣味の目的を除いたプロのデベロッパーには、データベースやWeb系も含め、JavaScriptやSQL、HTML/CSS、Pythonなどが人気です。

▼Technology | 2024 Stack Overflow Developer Survey
https://survey.stackoverflow.co/2024/technology#most-popular-technologies-language-prof

エンジニア白書2021 – Qiita

日本のエンジニア向けQ&AサイトQiitaも、他とほぼ同様にJavaScriptやPython、HTML、SQLが人気です。こちらには平均年収も示されていますが、PythonやGoで年収800万円以上の割合が⾼い傾向が示されているのが特徴的。

▼エンジニア白書2021 – Qiita
https://qiita.com/white_papers/2021

これらを総合すると、近年は主に以下の言語が人気を集めているようです。

  1. JavaScript:Web開発に不可欠な言語で、フロントエンドからバックエンドまで幅広く使用されています。大体、どのランキングを見ても1位。
  2. Python:AIに不可欠な、データサイエンスや機械学習の分野での需要が高まり、教育機関でも広く採用されています。シンプルな文法が特徴で、初心者にも学びやすい言語。
  3. C#:Microsoftの.NETフレームワークを使用したアプリケーション開発で人気があります。ゲーム開発やデスクトップアプリケーションでも広く利用されています。
  4. Go:2009年にGoogleが開発した比較的新しい言語で、シンプルさと高いパフォーマンスが特徴。マイクロサービスアーキテクチャーに適し、クラウドネイティブな開発で注目。
  5. Java:エンタープライズアプリケーション開発では、依然として人気があります。大規模なシステム開発に適しているため、多くの企業で使用されています。

開発言語ごとの平均年収ランキング

次に、開発言語ごとのエンジニアの年収ランキングをいくつか見てみましょう。年収は、使える開発言語や経験年数、業界などによって異なります。集計したサイトや手法によっても異なりますが、日本と海外とでは言語と金額が大きく違うことと、人気と年収は必ずしも比例していないことなどが分かります。

(あまり見慣れない言語も含め、それぞれ簡単な説明を補足しておきます)

SOKUDAN Magazine

順位開発言語平均年収
1Go1,362
2Kotlin1,308
3Python1,249
4TypeScript1,235
5Swift1,234
6Ruby1,134
7JavaScript1,040
8Flutter1,024
9Unity987
10PHP973
(単位:万円)
  • Kotlin:Androidアプリ開発での公式言語で、Javaとの互換性や安全性、シンプルさが特徴
  • TypeScript:JavaScriptに静的型付けを付加して、安全性と効率を向上
  • Swift:Apple開発のiOS/macOS/Windows/Linux開発用言語でオープンソース
  • Ruby:日本のエンジニアまつもとゆきひろ氏(Matz)開発のオブジェクト指向型言語
  • Flutter:Googleが開発した、オープンソースのモバイルUIフレームワーク
  • Unity:主にゲームや3Dコンテンツの開発用エンジンとして、C#で使われる
  • PHP:Webアプリケーションの開発に特化したプログラミング言語

また、パーソルキャリアのランキングでは、機械学習やテキストマイニング、データアナリスティクスに使われるRを筆頭に、クロスプラットフォームでの開発言語Delphiや、SAP製品の開発言語ABAPが続きます。

パーソルキャリア

順位開発言語平均年収
1R656
2Delphi652
3ABAP642
4VC·VC++634
5PL/1633
6Scala624
7RPG610
8Perl606
9ASP606
10C++599
(単位:万円)
  • R:データ分析に特化した言語で、30年近く大学や研究機関、企業で使われてきたスタンダード
  • Delphi:高速なネイティブアプリ開発の言語、クロスプラットフォーム統合開発環境(IDE)
  • ABAP:ドイツSAP SE社が開発した、企業の経営資源を一元管理するERPシステム専用言語
  • VC·VC++:Microsoftが開発した、C++言語によるWindows向けアプリ開発に特化したIDE
  • PL/1:IBMが1964年に開発した汎用言語で、科学技術計算からビジネスアプリまで対応
  • Scala:ビッグデータ処理や分散システムに強みを持ち、データエンジニアリングで人気
  • RPG:1960年代に開発された、ビジネスソフトウェア向けのIBMの独自言語
  • Perl:テキスト処理に特化した言語で、30年以上の幅広い実績を持つ
  • ASP:Microsoftが開発した、サーバーサイドでWebページを動的に生成する言語
  • C++:C言語をベースにした上位互換で、オブジェクト指向を取り入れた言語

海外サイトでは、一般にはほとんど見掛けることがない言語の名前が続きます。マーケットの規模や円安も関係していますが、トップは日本円で1,500万円超とそれなりに高額です。

Stack Overflow

順位開発言語平均年収
1Erlang100,636
2Elixir96,000
3Clojure95,541
4Nim94,924
5Ruby90,221
6Perl90,000
7Scala88,619
8Apex82,500
9F#80,555
10Lisp80,555
(単位:US $、円換算は日本時間で2024年11月13日時点のレート)
  • Erlang:並行処理や分散システム向けに設計された言語で、ネットワーク通信などに強み
  • Elixir:仮想マシンの上で動作し、高い並行性と耐障害性に優れた言語で、Rubyからの影響
  • Clojure:Java仮想マシン上で動作する動的な関数型言語で、 LISPの方言
  • Nim:PythonやAda、Modulaを参考に、2008年にリリースされた言語(2023年から大幅増)
  • Apex:Salesforce専用のオブジェクト指向言語で、Javaに似た構造
  • F#:Microsoftが開発した関数型言語で、強力な型推論システムとREPLサポートを持つ
  • Lisp:リスト処理を基本とする言語で、60年以上の歴史を誇る

出典:Technology | 2024 Stack Overflow Developer Survey
https://survey.stackoverflow.co/2024/technology#4-top-paying-technologies

求人サイトのIndeedにも、他のランキングには見ない言語がランクインしています。こちらは、日本円で1,900万円弱。

Indeed

順位開発言語平均年収
1Haskell121,000
2C125,00
3Swift125,000
4Kotlin130,000
5Perl130,000
6Ruby130,000
7Rust130,000
8Objective-C135,000
9Go140,000
10Scala150,000
(単位:US $、円換算は同上)
  • Haskell:高階関数やラムダ計算、パターンマッチなどの機能を持つ、純粋関数型言語
  • C:1972年からの歴史を誇り、高い汎用性と優れた実行速度を持ち、広く普及した言語
  • Rust:2015年にMozillaがリリースした、パフォーマンスと安全性の両立が特徴の言語
  • Objective-C:Cにオブジェクト指向を加えたAppleの開発言語(現在はSwiftへ移行中)

出典:10 Highest-Paid Programming Languages in 2024 | Indeed.com
https://www.indeed.com/career-advice/finding-a-job/highest-paid-programmers-by-language

ランク外でも根強い人気のレガシー言語

実は、ランクインしていなくても隠れたニーズが多いのが、COBOLやFortran、Lispなどのレガシー言語です。長年にわたり、特に安定した運用が求められるシステムにおいて、重要な役割を果たしてきました。金融機関や政府機関、製造業など、何らかの事情で新しい言語への移行が見送られたシステムで、今も現役として使用されていることがあります。柔軟性や拡張性がない一方、枯れたノウハウが豊富にあったり、サイバー攻撃に強いメリットもあります。

ノウハウを持つエンジニアは次々と引退する一方、新しく覚える若い世代も少ないため、実は高い単価をキープしています。ニーズの総量が少なくてもニッチなノウハウを持っていれば、他者と確実に差別化できる圧倒的なキラースキルになります。

COBOL

1959年に開発されたCOBOLは、主にビジネスアプリケーションで使用されていて、特に銀行や保険業界でのトランザクション処理が得意です。多くの企業がCOBOLで書かれたシステムを運用してきたため、COBOLエンジニアの需要は依然として高いです。

Fortran

科学技術計算や数値解析に特化したFortranは、特に研究機関や大学で多く導入されてきました。特定のニッチな分野での専門知識を持っている、Fortranエンジニアの需要も高止まりしています。

VB.NET

企業の業務アプリケーションで広く使用されてきたのが、MicrosoftのVisual Basic .NETです。Windowsアプリケーション開発において、依然としてVB.NETエンジニアの人気はあります。


では、エンジニアの職種ごとの年収の違いはあるのか?テスターは本当にランクアップしているんでしょうか?次もお見逃しなく!

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リプリパ編集兼外部ライター
企画制作や広告クリエイティブ畑をずっと彷徨ってきました。狙って作るという点ではライティングもデザインの一つだし、オンラインはリアルの別レイヤーで、効率化は愛すべき無駄を作り出すため。各種ジェネレーティブAIと戯れる日々です。
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