働き方と仕事術

評価する・されるを入れ替えるリバースメンターを成功させるヒント

リプリパ編集部

リバースメンタリング」という言葉を聞いたことはありますか?

これは、若手や新人を先輩社員がサポートする、通常のメンター制度メンタリング)とは逆方向の手法です。つまり、普段とは反対の向きに若手社員の側から、リーダーや経営層に最新の知見を提供することで、エンゲージメント向上や組織変革を促進する仕組み。近年、多様な世代が共存する企業組織を中心に、注目を集めています。

しかし、このリバースメンタリングが機能するには、そもそもベースとなる組織文化や心理的安全性の確保が不可欠。

今回は、メンター制度や1on1の意義と課題を整理した上で、リバースメンタリングの効果、組織への影響、導入のための具体策について考えます。

メンター制度や1on1の効果と、過剰な期待

指導役・伴走者としてのメンター制度や、個々人を対象とした1on1(一対一)ミーティングは、従業員の成長を支援する重要な手法として、業種を問わず多くの企業で導入されています。

心理的安全性を確保し、従業員ごとの細かく具体的なニーズや課題を引き出すことで、個人の能力を最大化できる手法です。チームワークの一体感も高まり、教育コストの最適化や離職率の抑制にもつながります。

メンター制度のメリット

  • 個別の成長支援:従業員のスキル向上やキャリア開発に寄与する
  • フィードバック機会の提供:直接的なアドバイスや学びの機会を提供
  • 心理的安全性の向上:従業員が安心して意見を述べる場となる

ただ、『メンター制度はちゃんとある』という企業は多くても、『プラスの成果につながっている』と自信を持って答えられる企業ばかりでもないのが現実。というのも、個人ごとに丁寧に対応するにはどうしても時間や手間が掛かり、組織全体の課題解決にはつながりにくい側面もあるからです。

例えば、こういった話を聞きしませんか?

  • 複数の従業員にヒアリングしてみると、彼らが抱えている課題は、実は問題の本質が同じところにあることがわかった。
  • よかれと思ってしたアドバイスが、まさかのパワハラ・セクハラだと指摘される羽目に!
  • 自分の評価になるか微妙だし、面倒に巻き込まれたくないから、メンター役は断っている。
  • チームレベルではなく、組織改革が必要らしい。大きな話になって、調整や交渉、検討に時間が掛かるうちに有耶無耶に…
  • 相談する側・される側がどちらも疲れてしまい、諦め気味になっている間に、さらなる次の問題が発生!

メンティー(メンタリングを受ける側)が、メンター制度や1on1を抑圧的で鬱陶しいと感じていたら、本音の意思疎通はできず、その場凌ぎの受け答えに終始するかもしれません。そして突然の休職や退職という段階になって、リーダーは慌てる事態に。

また、メンター役を務める側にとっては、本来必要な時間的・心理的余裕と十分なサポート体制、妥当なインセンティブがないのはリスク。それどころか、ハラスメントだと逆恨みされる可能性すらあるとしたら、誰も関わりたくないのは当然です。

メンター制度の課題と限界

  • 制度の形骸化:定期的な1on1が形だけになっていれば、本音の対話は生まれにくい
  • 時間とリソースの負担:マネージャーやメンターにとって時間的・精神的負担が大きい
  • 組織全体の課題には不向き:チームや組織の課題を解決するには別のアプローチが必要
  • どの手法が最適かは組織次第:1on1が最適解とは限らず、むしろ禁止している組織も

今までの慣例上、形式的なメンター制度や1on1はやっているものの、本音をなかなか引き出すことができず、具体的な成果が見えづらい組織もあるでしょう。メンターとメンティー、組織と個人、どちらにとっても不幸なら、成果が出るはずはありません。

そういった課題を解決し、組織全体に好影響を与える手法として、リバースメンタリングが注目されています。

Z世代が定着しやすいフラットな組織形態

リバースメンタリングは、若手からも上司や経営層に意見を述べられる仕組み。しかしこれは、企業文化の単なる理想論ではありません。Z世代の人材確保や教育、離職率の低下にも寄与するアプローチの一つです。

  • エンゲージメントの向上:若手社員が組織に関与できる機会を増やす
  • キャリアパスの可視化:成長の機会を提供し、長期的な定着を促す
  • 顧客満足や顧客体験との関連:組織変革は顧客満足(CS)向上にも

#Z世代的価値観 電子書籍: 竹田ダニエル

また、リバースメンタリングを機能させるためには、ピラミッド型・ヒエラルキー型の組織構造を見直し、ある程度フラットな組織構造を導入する必要があります。

  • 意思決定の透明化:情報をオープンにし、誰もが状況を把握できるように「見える化」
  • 役割ではなくスキルベースの評価:役職に関係なく、個々の貢献度を評価する仕組みの導入
  • 部署横断型のプロジェクト:異なる立場のメンバーが協力し合う、クロスファンクショナルなチームを形成

リバースメンタリングの条件と組織の前提条件

組織構造が影響するように、リバースメンタリングができて結果が出せるかどうかには、組織によって大きな違いがあります。

そもそも、メンター制度が十分に機能していなければ、逆方向にもできないのは当たり前。他者まして上司への意見が、マイナスの形で自分に返ってくるリスクがあるなら、発言は萎縮します。元の関係性ができていない以上、フラットな意見交換など望めません。過去にメンター制度が失敗に終わった苦い記憶があるなら、さらにハードルは上がります。

ただ、現状のチームの雰囲気やメンバーのチームワークなど、何か問題があると感じ、危機感を持っているのであれば、リーダーは組織文化の具体的な改善に臨むことが必要でしょう。

リバースメンタリングが機能する組織

  • 心理的安全性が確保されている:従業員が安心して自由に意見交換できる文化がある
  • フラットなコミュニケーション構造:役職や所属に関係なく、意見を言いやすい関係
  • 経営層がオープンマインド:異なる視点を尊重し、新たな知見を学ぶ姿勢を持っている

リバースメンタリングが機能しない組織

  • 階層構造が厳格:上下関係や同調圧力が強く、若手や中途入社の意見が軽視されがち
  • 挑戦を許容しない文化:失敗が罰せられるため避ける風潮があり、新しい試みは忌避
  • 経営層が変化を嫌う:過去の慣例や成功体験に固執し、新たなアイデアを受け入れない

リバースメンタリング導入のためにできること

仮に、メンタリングやリバースメンタリングが今まで機能しなかったとしても、重要なのは、これからどうするか。しかし、いきなり組織の広い範囲でやろうとするのは非現実的です。このアプローチも、効果や課題を調整しつつ、アジャイルに実践していくことが効果的です。

時間と手間が掛かる前提で、フィードバックと改善を繰り返し、チームや個人のレベルで少しずつ導入していくことで、組織全体の文化にも徐々に変化が生まれます。

  1. 小規模なチームでトライ:全社導入ではなく、一部のチームや部署からまず試してみる
  2. リーダー層のトレーニング:経営層に対し、若手の意見を活用する重要性を繰り返し伝える
  3. オープンな議論の場を確保:匿名のフィードバック制度など、多様な意見が出せる環境を整備
  4. 成果を可視化する:リバースメンタリングの効果をデータで示し、経営層に理解を促す
  5. 継続的な改善と学習:次のメンターやリーダー、新入社員、転入者にも教育を続ける

▼Are You Ready to Mentor a More Senior Colleague?
https://hbr.org/2023/08/are-you-ready-to-mentor-a-more-senior-colleague

リバースメンタリングにも貢献するローコードとAI

リバースメンタリングが成功するには、メンター側の負担を軽減する仕組みも必須。メンター/メンティーをリーダー/メンバーどちらが務めるとしても、自分に指導役・伴走者がいてくれれば、これほど心強いことはありません。その一部を、人の代わりにローコードとAIを使ったシステムが担うことが可能です。

ユーザーサポート業務にも導入されて拡がっているように、膨大な問い合わせの一次処理をシステムで自動化し、過去の事例とマッチングできれば、ソリューションを迅速に提示できます。AI機能を使うことで、言語化が難しい悩みを処理したり、直接音声でやり取りも可能。

セキュアな環境で自社に合わせた細かなカスタマイズもでき、関係者が気付いていなかったインサイトを提示して、最適なサポートを提供できます。

そして、本当に人対人でなければならないタッチポイントに貴重なリソースを割り当てることが、個人とチーム両方の成長につながります。

AI時代の意思疎通と成長機会を逃さないために

コロナ禍でOJTが困難だった頃から5年。そして今、急速に技術革新が進むAIによって、ホワイトカラーの一部の業務が置き換えられつつあります。議事録のまとめや、情報の調査と整理、プレゼン資料作成、社外からのメールへの返信など、新人教育を兼ねていた業務の機会が少しずつ失われています。新卒者を採用して教育するよりも、一部にAIエージェントを導入する方が効率的ともいえる一方で、人の学習と成長の機会が奪われています。

しかし、ビジネスの鍵はやはり「人」。「教える」ことは「知っている」ことと別の技術が必要であり、「人は、誰かに教えるときに一番自分が学習する」とも言われています。誰かに教え、教えられるリバースメンタリングは、個人をエンパワーするだけでなく、組織全体の変革を促す手法の一つです。立場やキャリアが違っても、双方向の良好なコミュニケーションがチームや組織の一体感を高め、より質の高いゴールを達成できます。

リバースメンタリングは、人と人のコミュニケーションのあり方を見直すチャンス。そのためには、まずはメンター制度が機能する心理的安全性が確保される組織構造や文化、適正な評価制度の整備が不可欠です。柔軟で信頼できるシステムの助けを借りながら、自社に合った環境を作っていくことが成功の鍵です。


BlueMemeでも、メンター制度や新人トレーニングを実践しながら、細かなアップデートを繰り返しています。取引先企業との意見交換の中で私たちが教えられることも多く、これも一つのリバースメンタリングになっています。

御社と従業員の皆さんが共に成長できるDXソリューションを提案する、頼れるパートナーとしてお役に立ちます。どうぞお気軽にご相談ください。

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リープリーパー(略称:リプリパ)編集部です。新しいミライへと飛躍するエンジニアたちに、BlueMemeの研究開発の情報を中心にテクノロジーのさまざまな話題を提供しています。
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