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天気予報やAIも!データ分析に欠かせない数理モデルとは?

理人

数理モデル」とは、世の中の現象やシステムを数学的な形式で表現したモデルです。現象を理解し、データを予測したり解析するためのツールで、物理学を始め、経済学や生物学、工学など科学全般にとって必要不可欠です。

数理モデルは、天気予報やAIなど、私たちの身の回りのいろいろなところで使われていて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の予測にも利用されました。また、近年のコンピューターの進化と数理モデルの活用は、切っても切り離せない関係にあります。

今回の記事では、そんな数理モデルとは何なのかを解説します。

数理モデルとは、現象の本質を抽出した数式

モデル」は、日本語では「模型」とも訳されますが、ある事柄の手本や見本となるものを指します。また、「数理モデル」とは、世の中の現象やシステムを数学的な形式で表現した模型です。数理モデルは、現象を観測して収集されたデータから、現象の本質的な特性や振る舞いを捉えることを目的として構築された数式です。

起きている現象を観測し、データを元に推測して数理モデル化
起きている現象を観測し、データを元に推測して数理モデル化

一見、複雑に見える現象も、数理モデルというシンプルな式を使って、その振る舞いを説明できます。現象からデータを観測し、数理モデルを構築することを「モデル化」と言います。

例えば、ニュートンが定式化した万有引力の法則は、りんごの落下という現象を説明する数理モデルです。この数理モデルを応用することで、りんごの落下という現象はもちろん、惑星と惑星の間に働く引力も説明できます。

りんごが落ちる現象を数理モデル化すれば、宇宙の引力を理解するのにも応用可能!
りんごが落ちる現象を数理モデル化すれば、惑星間の引力を理解するのにも応用可能!

数理モデルが持つ4つの価値とは?

現象の本質を抽出した数理モデルがもたらす価値として、以下の4つの側面を挙げることができます。これらの価値があるため、数理モデルは、科学研究からビジネスまで幅広い領域で活用されているのです。

予測

数理モデルを利用することで、未知の状況や事象に関して予測ができます。例えば、気象予報のモデルは、未来の気温や降水量を予測するために利用されています。

理解

現象を数学的に表現することで、その背後にある原理やメカニズムを深く理解できます。例として、物理学の数理モデルは、自然界のさまざまな現象の本質を明らかにしています。

最適化

数理モデルは、ある目的を最も効果的に達成するための、最適な手段や方法を見つけ出すのに役立ちます。例えば、供給チェーン管理や製造プロセスを最適化する多くの場合、数理モデルが使用されます。

シミュレーション

数理モデルを使って、実際の実験やテストをせずに、コンピュター上で現象やシステムの動作を再現・シミュレートできます。これにより、コストや時間を節約しながら、多様なシナリオや条件下での挙動を調査できます。

皆さんも無意識のうちに数理モデルを利用している!

先に述べたように、数理モデルとは現象を観察し、そこから得られたデータを元に推測する数式です。実は、皆さんは普段意識せずに、この考え方を使っているはずです。

例えば、家族4人分の料理を作りたいのに、レシピでは2人分の材料量しか書かれていない場合、各材料の量を2倍にして作ったりしますよね?これは、料理の経験により、自然と頭の中で一次比例式という数理モデルを思い浮かべているからなのです。身の回りに潜む数理モデルに気づけると、直面した状況への判断がより簡単になるかもしれません。

身の回りで数理モデルが使われている例

数理モデルやモデル化という言葉をはっきりと意識したことはあまりないかもしれませんが、世の中には数理モデルを活用したサービスが数多く存在します。

天気予報

天気予報は、大気の動きや気象条件を数理モデルで表現して予測します。これらのモデルは、気温や湿度、風速などのデータを取り入れ、未来の気象状態を予測しています。高度なコンピュターを使って大量のデータを処理し、正確な天気の予報を提供します。

AI(人工知能)

AI(人工知能)は、データから学習し予測や判断するモデルを使用します。特に、深層学習(ディープラーニング)などのニューラルネットワークは、数理モデルの一種としてデータを解析し、画像認識や自然言語処理などで高い性能を発揮します。

感染症の感染拡大の予測

新型コロナウイルスを始めとした、感染症の感染拡大を予測するためのモデルは、人々の接触頻度やウイルスの感染力などのパラメータを基にしています。これらの数理モデルを使用して、感染者数の変動や感染拡大のピークを予測し、適切な対策を立案します。

配送最適化

配送最適化は、商品の保管場所から顧客の住所までの最短・最速ルートを計算するために、配送計画問題という数理モデルを利用します。さらに、複数の注文を一度に配送する際の効率的なルートや、トラックの積載量を最大化するための最適な商品の積み方もモデル化されます。その結果、迅速かつコスト効率的な配送が実現します。

モデル化はコンピュターでの計算と非常に相性がいい!

現象を数学的にモデル化することで、コンピューターを使って大量の計算を迅速に処理できます。これは特に、複雑なシステムや大量のデータを扱う場合に非常に有用です。

高度な計算能力を持つGPUやスーパーコンピューターが、数理モデルの可能性を飛躍的に向上させています。将来的には量子コンピューターもその一つになるでしょう。数理モデルは、計算機の進化とともにその重要性が増しているのです。

数理モデルを扱う上での注意点

数理モデルは、現象やシステムを数学的に表現する強力なツールです。しかし、数理モデルは万能ではありません。現象の抽象化の過程で、実際に起きていることとの間にギャップが生じることがあります。現実の現象やシステムは非常に複雑で、その全要素をモデルに完全に取り込むことは困難です。また、すべてのモデルには適用できる範囲や条件が存在し、それを超えて使うと誤った結果を導き出すリスクがあります。

このような制約を理解し、適切にモデルを利用することが、真の価値を引き出す鍵となります。

まとめ

今回の記事では、データ分析をする上で欠かせない数理モデルについて解説しました。一見、複雑な現象も数理モデルというレンズを通すことで本質が見え、予測や理解、最適化、シミュレーションという価値に繋がります。また、数理モデルは世の中にはなくてはならない数式であり、天気予報、AI、感染症の拡大予測、配送最適化など、身の回りの多くのサービスに利用されています。

数式で記述されていることによる相性の良さから計算機の発展とともに進化してきた数理モデルですが、今後もGPUやスーパーコンピューター、そして量子コンピューターの発展でさらに価値を高めていくでしょう。あなたも、数理モデルの今後の可能性について注目してみませんか?

参考文献

▼データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために(江崎貴裕著、ソシム)

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理人
博多在住の研究員兼博士課程学生
エンジニアになるつもりで入社しましたが気づいたら研究をしていました。数学が専門ですが、研究はバイオ系です。ときどき採用面接をしたりします。オタクなので月に1度は遠征に出かけます。
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