テクノロジーが変える組織の形-意思決定が迅速なフラット型とは?

状況の変化が全く予測できない現代において、意思決定の質と速度を上げることは企業の生命線。従来の組織は、ピラミッド型の組織構造がメインでしたが、これでは時間が掛かりすぎて、重要な情報が伝わらないことがはっきりしてきました。
今回の記事では、フラットな組織がなぜ現代に有効か、そしてデータ駆動型の意思決定ツールを活用することの重要性について解説します。
意思決定の速度とシステムの併用が成功の鍵
リープリーパーでは、「意思決定の速度と質が企業の成功に直結する」ことについて、複数の記事を掲載しています。BANIというキーワードで象徴されるような先行きが予測できない現代では、無駄な検討に時間を掛けること自体が失敗の確率を上げるリスクとなります。そのため、企業には迅速な判断が求められます。
フラットな組織階層を採用することの利点と課題
その、迅速な意思決定・意思伝達を可能にするのが「フラット型」の組織構造です。
前回の記事では、組織構造の基本的な3つの型「ピラミッド型(ヒエラルキー型)」「マトリックス型」「アメーバ型(有機的構造)」について説明しました。今回説明する「フラット型」組織とは、文字通り階層を極力減らした平板な構造で、トップダウンではなく各チームの自律性を重視する構造です。
近年、意思決定の迅速化や効率性向上を目的として、階層を減らしてシンプルにしたこの組織構造は、スタートアップ企業を中心に導入が増えています(「フラット型」の中にはさらに「ティール型」「ホラクラシー構造」もありますが、これらについてはまた別の機会に)。
フラットな組織構造は、小規模なスタートアップに限りません。それが、時価総額世界一とも言われるNVIDIA。ジェンスン・フアンCEOの下に、最高幹部が約60人いるだけという、圧倒的にフラットな組織です。
しかも、情報経路も極限までシンプルです。例えば、1on1は禁止で、週次・月次報告は一切なし。会議後の発言もNG。社員は、今自分が最も関心があることを5つ箇条書きにして毎週メールで共有し、J.フアン氏自身がそれに目を通すといわれています。極端ともいえる姿勢で、意思決定の透明化・高速化を実現しているのが特徴的です。
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とはいえ、多くの場合は、多様性や専門性を高めるためには特定の分野を担当するマネージャーも必要で、必然的に取締役会の人数が多くなる傾向はあります。それでも、変化に柔軟な組織を作るには、できるだけフラットな階層の自主性と協調性を維持する意識が不可欠です。
フラット型組織のメリット
- 組織構造がシンプルで意思決定が速く、変化に対応しやすい。
- 柔軟な働き方が可能になり、イノベーションが生まれやすい。
もちろん、フラットな組織構造も万能の解決策ではありません。一部の組織やプロジェクトには有益ですが、主なデメリットとして以下が指摘されています。
フラット型組織のデメリット
- 規模が大きくなると、組織の連携や統制が取りにくく、権限や責任の分担が曖昧に。
- チームを俯瞰できる中間管理職が育成できず、統制が難しくなることも。
フラット型組織の効果を高めるローコード
フラット型組織にも、当然、デメリットや注意点があります。そもそも、意思決定の速度だけを重視するのは無意味で危険。企業は、時代遅れのレガシーシステムやサイロ化して連携されないデータ、従業員のリテラシー欠如と教育など、さまざまな課題を抱えています。これらの多くは、組織形態を変えるだけでは解決しません。
質の高い迅速な意思決定を支え、組織の課題を克服するには、ビジネス目標の明確化とデータ品質の向上、効果的なツールや教育プログラムが不可欠。そのためには、ローコード+AIを中心としたデータ主導の意思決定が重要です。
リアルタイムのデータを分析して実行可能なインサイトを導き出せば、質の高い情報に基づいた意思決定を的確に下せます。時代の変化に強い柔軟なシステムを構築することで、意思決定の速度と精度を両立でき、競争優位を獲得できます。
- データ駆動型経営の定着:リアルタイムのデータ解析により、直感ではなくエビデンスベースの経営が可能に
- ローコード開発+AI分析:高度なシステムも柔軟に開発・運用でき、意思決定の自動化やプロセスを自動化
- 透明で明確な意思疎通:連携や共有など、フラット型組織で課題となるチームマネージメントをシステムでサポート
- リモート経営の普及:クラウドベースのコラボレーションツールが経営層の物理的な集まりを不要にし、グローバル展開を加速
- OODAループの導入:観察→方向付け→決定→実行のサイクルを高速回転させることで、未知の変化にも柔軟に適応
▼求められる 「少数精鋭の成長モデル」への 自己変革 – 日本商工会議所
https://www.jcci.or.jp/sangyo2/20231221_report_digitalbook.pdf
IT業界以外にも広がる効率的スピード経営の波
フラット型組織による経営手法は、IT企業だけでなく、他業界にも徐々に広がりを見せています。現場を少人数で回すことができれば、意志決定の仕組みもスリム化が可能になります。少人数経営の概念は、今後さらに多くの業界に波及していくと考えられます。
- 金融業界:フィンテック企業が自動化を活用し、従来の銀行よりも少ない人員で高収益な金融サービスを提供
- 製造業:スマートファクトリーの導入により、IoTとAIを活用して生産プロセスの自動化を進め、人件費を削減
- サービス業:AIチャットボットや自動応答システムにより、少数のカスタマーサポートで大量の問い合わせに対応
- 小売業:AIとカメラ、センサーを駆使し、従業員をほぼ配置しない無人店舗のビジネスモデルが普及
- ヘルスケア業界:遠隔医療とAI診断の活用により、少数の専門家で多数の患者に質の高い医療の提供が可能に
シンプルな構造で下せる、上質で高速な意思決定
テクノロジーの進化により、少人数でも巨大な組織を動かすことが現実となりつつあります。これは、複雑で高度な複数のITシステムを効率的にマネージメントする、オーケストレーションにも通じます。
システムによる自動化・効率化が進めば、システムでは処理できない=人でなければならない意思決定が重要になる点も共通しています。ローコードやAIによる質の高い意思決定の迅速化が進む中、人間一人ひとりの責任は増大し、リーダーシップや説明責任の重要性も高まっています。
今後、企業が少人数で最大限の成果を上げるには、テクノロジーを適切に活用し、意思決定の透明性を確保しながら、チームの生産性を最大化する戦略が不可欠。適切なデータ活用と自動化ツールの導入、そして人間の直感や倫理観を交えた意思決定プロセスを構築することが求められます。
さて、経営層が効率化して意思決定が高速になるとしても、それを実際の形にしていくのは現場の仕事。引き続き、情報システム部門(情シス)がどうなっているかをチェックしてみましょう。
意思決定にはスピードも重要ですが、もちろん質も大事。それを実現するのが組織構造であり、柔軟なシステム。BlueMemeには、ローコード開発を通じて顧客企業の業績を改善した豊富な実績があります。詳細は以下をご覧ください。