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ビジネスにこそ物語が必要だ!ストーリーテリングとナラティブの違い

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近年、見聞きする機会が増えた「ナラティブ」。ビジネスでも非常に重要な物語のスタイルですが、基礎情報や特徴を正しく知っていますか?

物語といえば、「ストーリーテリング」もよく知られています。両者の違いや、なぜナラティブマーケティングが重視されるようになったのか?

今回から物語×ビジネスについて、全4回にわたって考えていきます。

* この記事は、2024年3月6日に公開した内容を編集・更新しています。

最古の物語から、日々のソーシャルネットワークまで

2026年9月、クリストファー・ノーラン監督の新作『オデュッセイア(The Odyssey)』が日本公開されました。これは古代ギリシアの吟遊詩人ホメーロスによる叙事詩が原典で、現存する人類最古の物語のひとつ。トロイア戦争を終えた英雄オデュッセウスが、幾多の試練を越えて故郷に帰り着くまでを描いた、始まりと終わりのはっきりした物語です。映画に限らず、絵画や小説などで何度も扱われてきました。

クリストファー・ノーラン監督超大作『オデュッセイア』本予告 – YouTube

主人公がいて、試練があって、決着がつく。数千年前に語られたこの構造は、今日の映画やCM、企業の周年ビデオにまで脈々と受け継がれています。これはまさに、「ストーリーテリング」そのものです。

一方、私たちが日々ソーシャルネットワークで交わしている言葉はどうでしょうか。投稿し、誰かが反応し、また別の誰かが自分の言葉で語り直す。始まりはあっても、終わりはない。これが、もう一つの物語の形「ナラティブ」です。

日々、膨大な情報に溢れ、常に効率や競争、比較に晒されている現代。B2BかB2Cかに関わらず、企業がステークホルダーとつながり、良好な関係を築いて目標を達成するには、もはや単に事実や数字を提示するだけでは十分ではありません。スピードや件数、金額、比率などのスペックやロジックは、ビジネスでは非常に重要ですが、それだけでは人は動かないからです。

そこで重要な要素が、物語とそれを語る力です。ある程度一般に知られているストーリーテリングに加えて、2010年代半ばからナラティブという言葉や概念が提唱され、日本でも2020年以降、広く知られるようになりました。これらは夢物語のような付加価値ではなく、現代のビジネスにとって不可欠なツールの一つになっています。

ストーリーテリングとナラティブの違いとは?

物語に関係する単語として、まずストーリーテリングとナラティブの基本を整理しておきましょう。両者の境界線は曖昧になりがちですが、そのニュアンスを理解すれば、それぞれの長所をより効果的に活用できます。また、これらを組み合わせたり使い分けることで、人々の注目を集めて感情を呼び起こし、共有体験を生み出すさまざまなテクニックによって、物語に新たな命が吹き込まれます。

まず、ストーリーテリングとは、特定の人物や組織、ブランドが主人公として語られる、一方向・自己完結型の物語のことです。過去からその時点までで物語は終わり、完了します。冒頭の『オデュッセイア』のように『昔々あるところに…』から始まる物語は、まさにこの形式。日本の古典なら、琵琶法師の語りなどはまさにこの形です。

一方のナラティブとは、一人ひとりが主人公となって自由に語られる、双方向・対話型の物語のこと。変化し続け、終わりがなく、未来をも含みます。今、ビジネスでは、従来のストーリーテリングに加えて、このナラティブが非常に注目されています。

ストーリーテリングナラティブ
主人公登場人物や組織、ブランド私やあなた
語り一方向・自己完結型双方向・対話型
舞台企業や業界社会
物語完結していて終わりがある常に変化し続け終わりがない

物語がビジネスにとって有効な理由

一見、ビジネスとは縁遠いイメージがある「物語」ですが、なぜナラティブが昨今重視されるのか?前述の、ストーリーテリングとの違いや特徴を踏まえながら考えてみましょう。

1.コミュニケーション・チャンネルとして

物語は、オーディエンスに合わせた優先順位や粒度、表現を工夫することで、複雑な情報も明確かつ簡潔に伝えられます。記憶に残る体験を作り上げたり、具体的な行動を促したりする場合に威力を発揮します。客観的な事実やデータ、記録を一つの流れに沿って客観的・中立的に示すことも可能。汎用性が高く、報告書やプレゼンテーションなど、さまざまな目的に使用できます。

一方、ナラティブは、その人自身の言葉遣いや用語、表現によって、特定の視点やバイアスでメッセージを形成し、主観が挿入されます。ストーリーテリングほど十分に練られ構造化されていなくても、情報の受け手が新たな発信者となることで、透明性と信頼性が高まり、聴衆の行動を喚起します。

2.オーディエンスの心に訴え掛ける感情的つながり

ファクトやロジックは人の頭での納得を促しますが、物語のパッションは心に語り掛けます。感情的・魅力的なテクニックを使ってオーディエンスの感情を引き出すことで、インパクトがあって記憶に残る体験を生み出します。挫折と成功、危機と安心、憎しみと愛情によって織り上げられた感情的なつながりは、信頼や忠誠心を育み、最終的には聴衆の行動へと誘導します。

語り手→聞き手の関係が固定されるストーリーテリングに対して、自分も新たな語り手となるのがナラティブ。物語をより自分事化することで、語り手の技術を越えた内なる感情を刺激します。

3.ブランドアイデンティティーと差別化

自社のブランドを一つの物語として語ることで、自社の価値観やミッション、ビジョンを、ターゲットとなるオーディエンスに示せます。自社ブランドへの共感を形成することで、競合他社との違いを明確に示し、ユニークで本物の存在として位置づけられます。ただし、説得力のある物語は際立つものの、ストーリーテリングに頼るとユーザーを感情的に操作したり、非現実的な期待を抱かせる危険性も。ユーザーも語り手にする冷静なナラティブは、独自のプロセスとビジョンを提示できます。

4.マーケティングと営業活動の強化

スペック訴求で売り込もうとする手法と、世界観を共有しているスタイルでは、大きな差があります。優れたプレゼンテーションには、必ず魅力的なストーリーが含まれているもの。物語は、注目を集め、潜在顧客を惹きつけ、リード(見込み客)を売上につなげる一つの方法です。また、顧客のリアルな課題や願望を主体にした、ユーザー中心のナラティブを作ることは、顧客の心に深く響き、提案をより受け入れやすくする下地を作ります。CGM(消費者が作るメディア)はその一例です。

5.従業員のエンゲージメントを促進

物語は、外部だけに向けたものではありません。社内コミュニケーションの強力なツールとなり、社員のモチベーションを高め、鼓舞することにも効果を発揮します。会社のストーリーや個々のチームの努力、サクセスストーリーを共有することで、士気が高まります。チームとしてのコラボレーションが促進されれば、業績も向上します。B2Cの場合は特に、従業員やその家族が、新たなナラティブの語り手になる可能性もあります。

6.社会的影響と支持のエンパワー

メッセージ性の強い物語は、自社のビジネスだけでなく社会に変化をもたらし、人々の意識を刺激して行動をエンパワーします。企業の物語が、企業の社会的責任への取り組みにつながることで、志を同じくする顧客やステークホルダーを惹きつけ、社会にプラスの影響を与えていきます。

物語のいろいろなスタイル

テーマをさらに深く掘り下げていく前に、「物語」そのものを改めて定義しておきましょう。物語とは、一連の関連した出来事や経験を、聴衆や観客を引き込み、感情移入させるような方法で説明した話です。子供向けの絵本や昔話から、小説、演劇、映画まで、すべて物語の形態です。

1.さまざまな表現型式

伝承文学や祭が、古くから人々の生活に根ざしてきたように、物語は書き言葉だけでなく、まさに語りとしての話し言葉や音楽、ダンス、映像などでも表現できます。迫力あるライブパフォーマンスを通して語られる魅惑的な物語が、世界中に溢れています。

ストーリーテリングは完結した物語なので、映画やビデオ、印刷物などにパッケージ化されます。一方、ナラティブは進行中の物語なので、ソーシャルメディアが最適です。同じYouTubeでも、アーカイブビデオは前者、ライブ配信とコメント、ソーシャルでの引用や拡散は後者が該当します。

2.リニアとノンリニア

物語は、一般にイメージされるように時系列(リニア、線形)で展開することもあれば、時系列を飛び越える(ノンリニア、非線形)こともあります。ストーリーテリングはリニアで、ナラティブはノンリニアです。

例えば、映画館で見る映画は、一旦始まったら停止やスキップができないリニアな体験。一方、配信サービスで倍速視聴・スキップするのは、ノンリニアな体験です。つまり、テクノロジーの発達は、作り方や演出、再生方法にも大きな影響を与えているのです。ドラマティックな効果を狙って、フラッシュバックやフラッシュフォワード、タイムループ・タイムワープが使われる映像作品も人気。ゲームでも、プレイに合わせたマルチエンディングなどがあります。

3.ノンフィクションとフィクション

ドキュメンタリーや伝記はノンフィクションで、お伽噺やファンタジー、スリラーはフィクションですが、どちらもビジネスで有効です。企業はこれら両方を活用し、理想的なブランドストーリーを作り上げたり、製品やサービスの訴求、実際の顧客の声を共有します。

一つ注意しておきたいのは、物語とは空想やただの事実を淡々と語ることではありません。また、フォーカスが当たっている場所や角度、編集には、必ず送り手の意図が反映されている以上、ドキュメンタリーも事実とは限りません。物語の重要な役割とは、聴衆の感情を呼び起こし、想像力をかき立て、時に危機感を煽り、最終的には印象に残る体験へと形作ることです。そして、ここがまさにビジネスに関係している点なのです。

ストーリーテリングはノンフィクションとフィクションの両方が使われる一方、ナラティブは進行形のノンフィクションです。

ストーリーテリングとナラティブ、構成要素はこんなに違う

最後に、両者を組み立てる「部品」を比べてみましょう。同じような役割を持つ要素でも、ストーリーテリングとナラティブでは中身がまったく異なります。この違いを知っておくと、自社が今どちらを語ろうとしているのか、後の記事を読むときにも判断しやすくなります。

役割ストーリーテリングナラティブ
タイトル社名や商品・サービス名、人物名入りナラティブを象徴する短い言葉(ハッシュタグとして伝わるほどの)
テーマと範囲観客の心に響く根本的なメッセージや、物語全体を通じて達成されるべきこと自社全体か?特定の商品やサービスか?
主体観客が感情移入し、応援したくなるような人物(または何か)自社に関係すること・関与できそうなことで、何が社会で問題となっているか?
背景出来事が展開される時間や場所、雰囲気、環境、時代など、物語の中で示される条件(これらはあくまで社内に留めておき、公開する必要はない)  
目的物語を前進させ、緊張を高め、解決へと導く一連の出来事のプロット(あらすじ)社会問題を解決するために何ができるか?提供できる価値と、存在意義とは?
ゴール緊張感を生み出し、キャラクターの旅を後押しする障害やコンフリクト(対立や闘争)への挑戦と克服問題が解決された、未来のステークホルダーが抱く感情や感想は?

私たちとあなたで作っていく物語

冒頭では映画の例を出しましたが、自分の好きな作品の予告編について思い出してみてください。それが本編を短く切り出して、ただ順番通りにつなげたものではないことはお分かりでしょう。つまり、目的や仕様によっても、語りは変える必要があります。

ストーリーテリングなら、会社をメインにすれば社史や企業紹介になり、さまざまな試練が襲いかかる人物を主人公にすれば、聴衆が感情移入しやすくなります。個人を取り上げるのも、会社説明や人材募集ではよくある演出です。新しい商品やサービスによって課題が解決したりチャンスが拡がれば、組織の発展を示すストーリーにピッタリ。そして、社名やブランド名が添えられた完成済みの物語として、パッケージ化されアウトプットされます。

一方のナラティブでは、ステークホルダーである「あなた」に語ってもらうことが必須です。対話を醸成していくには、自分たちの製品や技術、業界を主語にしてはいけません(それはストーリーテリング)。常に変化し続けるのであらすじなどは無く、キャラクターや設定、闘争の対象も常に変わっていきます。コントロールはできませんが、マネジメントは可能です。このマネジメントの仕方については、続きの記事で詳しく取り上げます。

トークが立て板に水だったり、資料がリッチなことがプレゼンテーションの本質ではないように、魅力的な構成や情感豊かな語りだけが、物語の魅力ではありません。次回は、このナラティブを実際に活用して支持を集めた企業の事例を見ていきます。


自社の商品やサービスを魅力的に語ることができていますか?御社のライバル組織は、打ち負かすべき真の敵でしょうか?

消費者にとって高い価値を提供し続けていくには、変化が激しい時代に柔軟に対応できるシステムが必須です。ローコード・ノーコードとAIを組み合わせた効率的なシステムは、成功のナラティブとストーリーテリングの原動力にもなります。ぜひ、BlueMemeに一度ご相談ください。

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リプリパ編集兼外部ライター
企画制作や広告クリエイティブ畑をずっと彷徨ってきました。狙って作るという点ではライティングもデザインの一つだし、オンラインはリアルの別レイヤーで、効率化は愛すべき無駄を作り出すため。各種ジェネレーティブAIと戯れる日々です。
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