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量子コンピュータービギナーの私のオススメYouTube 3本

kotobato

このLeapLeaperでは、今話題の量子コンピューターについて、ビギナー向けの基本的な情報から、最先端で研究している人たちによる連載記事まで、いろいろと充実させていく予定です。どうぞご期待ください。

ただ、ここでひとつ問題なのは、リプリパ編集部員の私自身も、量子コンピューターのことを学習している真っ最中だということ…そこで今回は、素人なりにわかりやすくて理解がちょっと進んだと感じた、YouTubeビデオを3本ご紹介します。

自分のレベルに合わせた説明を聞けるのが嬉しい!

「量子コンピュータ」って何?5段階のレベルで説明 | 5 Levels | WIRED.jp – YouTube

IBMは、量子コンピューターの研究で先端を行くトップランナーの一社です。日本アイ・ビー・エム(株)は、2021年7月に、日本初となるゲート型商用量子コンピューティング・システム「IBM Quantum System One」を、神奈川県川崎市で稼働開始しています。日本は、アメリカとドイツに次いで世界で3番目です。

そんなIBMリサーチの研究者Talia Gershon氏が、老舗のテックメディアWIREDで、量子コンピューターの概念を年齢や知識が異なる5人に説明していきます。子供からティーンエイジャー、コンピューターサイエンスを学ぶ大学生、機械学習を学ぶ大学院生、論理物理学者としての専門家へと、説明する対象が変わるにつれて難易度が上がっていく説明スタイルです。思わず『この手があったか!』と思ったほど(WIREDでは、この型式で、それぞれ違うテーマのビデオを公開しています)。

もちろん、残念ながら後半はよく理解できなかったものの、研究者や専門家がどの辺りに関心を持っているのかが、垣間見えました。また、最後の専門家には、逆にTaliaさんの方から好奇心たっぷりに質問をぶつけていたのも、興味深く感じました。

オーディエンスのレベルに合わせたトークのプレゼンテーションとしても素晴らしく、オフィシャルな日本語字幕があるのも嬉しいポイントです。個人的な希望としては、ティーンエイジャーを早く卒業して、次の大学生レベル程度に少しでも近づきたいところです。

思わず自分でも実験したくなる、大人の科学実験だ

阪大教授が解説する量子力学と量子コンピュータ(前編) – YouTube

量子コンピュータ研究者、藤井啓祐だけど質問ある? | Tech Support | WIRED Japan – YouTube

量子コンピューターの説明で必ず登場するのが、「二重スリット実験」の模式図。量子が、2つのスリット(隙間)を通る時に双方が「干渉」し合って、縞模様(干渉縞)が写る。そうなる理由は、粒子であり波だから。ただし、観測されるとその縞模様が出ない…えっ?どーゆーこと???

他の資料でも必ず出てくる、「量子が粒子でありかつ波でもある」という概念が、一体どういうことなのか、今ひとつピンと来なかったんです。そもそも、光の粒子=光子など、意識したこともありませんでした。でも、この大阪大学の藤井啓祐教授の実験がとてもわかりやすく、自分でも実際にやってみたくなるほどでした。使うのは、レーザーポインターや髪の毛、ダブルクリップ、画用紙、段ボールといった、比較的身近な材料です。偏光板だけは、入手がちょっと難しいですが、サングラスのレンズなどで使われていますよね。

後から知りましたが、藤井教授はGoogleの量子超越論文を査読したお一人という逸材。こういう最先端の研究者の話を聞けるとは、本当に素晴らしい教材です。いきなり説明が始まるなど、取り繕った演出は一切ない無骨さも特徴的ですが、「前編:量子力学とは?」「中編:誰でもできる干渉実験」「後編:量子コンピュータ」を通しで見るのをオススメします。藤井教授は、前述のメディア.WIRED日本版でも、量子コンピューターについて解説されていますし(実は、紹介するYouTubeビデオは4本になってしまいました)、著作もあるので、そちらもぜひ。

理化学研究所の内部に潜入?した、社会科見学として

最先端技術! 理化学研究所が開発する超伝導量子コンピュータの秘密に迫る! – YouTube

2023年3月、理化学研究所(理研)は国産初の量子コンピューターを開発し、研究者が利用できるサービスを開始しました。64量子ビットの集積回路を採用した超伝導量子コンピューターとして、クラウドで利用できます。日本における量子コンピューターの最先端組織の一つです。

これは、その理研の現場を取材したビデオです。クリーンルームに入って、量子コンピューター用のチップQPUを作る工程からレポートされた、大人の社会科見学・工場見学といった雰囲気です。正直、現行の=従来型のコンピューター(古典コンピューター)のCPUを作る工程も知りませんが、台湾というより世界の半導体大手メーカーTSMCとソニーが、熊本に半導体工場を建設するニュースも思い出します。

量子コンピューターにはいろいろな方式があって、特に注目されているのが超伝導量子コンピューターです。豪華過ぎるシャンデリアのような形は、最初写真を見たとき、天地が逆じゃないかと勘違いしたほどでした。なるほど、量子ビットを高速かつ安定して保つには、絶対零度に近い極低温が必要で、下に行くほど冷却される構造になっているわけですね。そして、振動やノイズの影響を受けず、信号を入出力させるためには、大掛かりな仕組みが必要なんですね。実際に、この理研の量子コンピューターも、3月の時点では64量子ビットのすべてが動作しているわけではなく、故障や不安定な状態が原因で、53量子ビットだけが動作している状態でした。

自分のラップトップやスマートフォンが量子コンピューターに代わるのは、遠い未来かもしれないものの、高速処理された結果がクラウドベースで返ってくるような使い方は、近未来に実現されるのかもしれません。


今回紹介したのはYouTubeだけですが、他にも量子コンピューターに関する書籍やWebサイト、ブログ、論文など、リソースは豊富にあるので、それらを読みあさっているところです。量子コンピューター固有の、量子力学や量子ビット、重ね合わせ、量子もつれ、トンネル効果などなど、初めて見聞きする単語や概念が沢山出てきますが、いろいろな形でアプローチを重ねているうちに、ぼんやりとでも自分なりの理解が進むことを期待しています。

資料を乱読しながら特に印象的なのは、実は、私たちの世界は量子力学で動いているということです。単に、自分が無自覚なだけでした。そして、もうひとつ印象的なのは、いろいろな研究者がはっきりもしくはニュアンスとして語っている、『今までの物理法則の常識では考えられないでしょうが』ということわりです。『それでも現実として現象がそこにあり、それをもし人間が自由に操作・管理できるようになれば、歴史を変える大きな原動力になる』という、壮大な希望を感じました。

また、もう一つ感じたのは、自分のレベルに合わせた信頼できるソースをチェックする重要性です。これは、量子コンピューターに限らずファクトチェックの基本中の基本ですが、LeapLeaperの記事にもどうぞご期待ください!そして、皆さんも、量子コンピューターの新しい世界へ向かう飛躍を楽しみませんか?もし、他にもオススメの資料があったら、コメント欄でぜひ教えてください。

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リプリパ編集兼外部ライター
企画制作や広告クリエイティブ畑をずっと彷徨ってきました。狙って作るという点ではライティングもデザインの一つだし、オンラインはリアルの別レイヤーで、効率化は愛すべき無駄を作り出すため。各種ジェネレーティブAIと戯れる日々です。
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