未知の感覚だった推し活と「好き」から変換されたポジティブな原動力
「推し」や「推し活」というキーワードをいたるところで見聞きするようになりました。私自身はハッキリ「推し」と呼べるほどの存在がいませんでしたが、XGというアーティストとの出会いから、「推し活」の世界に少しだけ触れつつあることについてお話します。
「推し」という言葉の広がり、「推し」がいる人の羨ましさ
「推し」という言葉を日常的に見聞きするようになり、私は「推し」について語る人を見ることが好きなのだと気付きました。きっかけは、テレビ番組で特集が組まれているのを見たり、SNSで話題になっているのを目にしたり、友人から推しの話を聞いたりすることからでした。
そういった推しについての話題を目にすると、なぜかつい見てしまいます。番組であれば最後まで視聴してしまい、SNSであれば推し語り投稿をどこまでも遡ってしまいます。投稿主と知り合いというわけでも、SNS上で交流があったわけでもなく、さらに言えば私自身がその推しのことを知らなかったとしても。
投稿される文章は多種多様です。句読点が1つもなく文字で埋め尽くされた文章、言葉になってない叫びやビックリマークだらけの投稿など。それらすべて全力でコンテンツ、推し活を楽しんでいること、好きなことが伝わってきます。
私は、好きなものについて熱く語る人を見ることが好きです。なぜなら、生き生きと話す様子や熱のこもった文章は、見ていてとても楽しいから。先ほども言いましたが、相手の話す推しについて全く知らないとしても退屈さはありません。恐らく自分にとって重要なのは話題の内容ではなく、話をする人の姿や様子そのものが面白くて好きなのだと思います。その人があまりにも楽しそうに話すので、聞いているうちに段々と、話題の中の推しそのものに興味が湧いてくることもよくあります。そう思わせられる妙な魅力があるのです。
推し活を満喫している人を見ると、微笑ましくなると同時に羨ましくもなりました。羨ましさを抱くのは、何かを推すという感情や感覚が、自分には分からない未知のものだったからです。
自分には分からない「推す」という未知の感覚
この羨む気持ちは、恐らくないものねだりでした。私はこれまで何かを熱心に応援する、いわゆる「推し活」をしたことがありませんでした。そもそも推しと呼べる存在がいたことがなかったのです。コンテンツに興味がないわけではなく、むしろ漫画やアニメが好きですし、好きなアーティストも複数います。
ですが、全てにおいて好きの熱量が少なかったです。読んでいる漫画の新刊があれば購入し、好きなアーティストの新曲MV(ミュージックビデオ)がアップされるとだいたいチェックします。それでも、全ての関連グッズを購入したり、常にSNSをチェックしたり、ファンクラブに入会して全国ツアーライブを追いかけて全参加したり、そういった経験はありません。
たまたまアップしているのを知れば見る程度。何かきっかけやタイミングが合えば、購入したり、聞いたりする程度です。そういう、ゆるくあっさりとした好き。推し活をしている人と比べると、大きな熱量差を感じていました。
だから、羨ましさを感じていました。好きな存在を応援し、全力で楽しむ人は本当に生き生きしていて、見ているこちらまで楽しい気持ちになります。そういう人の推し語りを聞いたり、投稿された文章を眺めることは、楽しさを分けてもらっているような感覚があります。そして、自分もそんな風に夢中になれるものが欲しいと思っていました。
そんなとき、XGというアーティストと出会ったことで、うっかり推すという未知の感覚・世界に片足を踏み込むことになりました。
XGという名の沼にうっかり片足突っ込む
今回、彼女たちについて語るにあたり、改めて「XG」とは?と疑問に思い、初めて検索しました。
XG
JURIN、CHISA、HINATA、HARVEY、JURIA、MAYA、COCONAからなる7人組HIPHOP/R&Bガールズグループ。
グループ名である「XG」は「Xtraordinary Girls」を表す。常識にとらわれない規格外なスタイルの音楽やパフォーマンスを通じて、世界中のさまざまな境遇の人たちをエンパワーしていく。“BOLD(大胆)”なカルチャーを全世界に発信し、独特な世界観を持つアーティストグループを輩出するグローバルエンタテインメントプロダクション「XGALX」から2022年3月に1st Single「Tippy Toes」でデビューした初のアーティスト。
2023年9月27日に初となるMini Album ‘NEW DNA’をリリース。
▼PROFILE | XG – Official Site
https://xgalx.com/xg/profile/
グループの正式名称と由来についても、初めて知りました。衝撃的だったのは、これまでXGについて調べようと思ったことがなかったことです。私が知るXGの情報は、YouTubeにアップされたMVなどの動画コンテンツだけでした。
改めて考えると、私がXGについて知っていたことは、たったの3つほどです。日本のグループであること、活動拠点が韓国であること、メンバー全員が自分より年下であること。しかし、これらの情報もMVのコメントに記載されていたもので、確証のないものでした。こういう情報収集に熱心ではないところも、充実した推し活をしている人たちとの違いなのかなと思います。
彼女たちを知ったのは、デビュー直後SNSで流れてきたXG公式アカウントによる投稿だった気がします。最初に思ったのは、また新しいグループ!という驚きでした。近年、K-POP系のグループが多くデビューしているため、止まらない勢いに感心しつつ何となくMVを再生しました。
XG – Tippy Toes (Official Music Video) – YouTube
歌唱力、ダンススキル、パフォーマンスレベルの高さ、デビュー曲とは思えない完成度に圧倒されました。XGに対する感想は、とてもかっこよくて好きだというシンプルな思いでした。
ですが、すぐに推し活の世界に入ることにはなりませんでした。こういった驚きや感覚は、これまで好きになってきたアーティストと変わらないあっさりとしたものだったからです。普通の好き。そんな代り映えのしない感覚から推すという感覚が芽生え始めたのは、とあるパフォーマンス動画を視聴したことでした。
デビューから一貫してクールな楽曲が続いていたので、今後もそういう路線なのだろうと予想していたところに、このパフォーマンス動画。柔らかな笑みを浮かべて、メンバー同士アイコンタクトをとりながら歌う姿に、まんまと心をわしづかみにされました。一言でいうと、ギャップにやられたのです。
そういえば彼女たちは全員自分よりも年下だったなと、再認識してさらに驚きました。ですがこの驚きはあっという間に尊敬へと変わり、すぐさま「応援したい」「見守りたい」という気持ちに変化しました。
さらに、YouTubeでは、デビュー前の研修期間中の様子をまとめた動画もあげられています。成長過程を知ると応援したい気持ちが芽生えるもので、再びMVを見るときは親目線になり、努力してきた姿を思い出して感慨深くなります。そして、また動画を再生。そのループです。
MVを見始めると、本当に際限なく見てしまいます。同じ楽曲でも、ダンスの通し練習の様子を映したDance Practice動画やMVとは別カット編集のもの、音楽番組に出演したときの映像など、さまざまなパターンが揃っているためいつまでも見てしまうのです。
縁遠いものだったはずの推し活にうっかり片足を踏み入れつつある現在。通勤時、帰宅後、入眠前、暇があればXGの歌を常に流してしまいます。新曲がアップされると、その1曲を延々とリピート再生なんてことも。以前から気に入った曲はリピート再生するタイプでしたが、寝ても覚めても脳内で彼女たちが歌い続けています。なのに、飽きる気配が全くなく、聞いているときは常にご機嫌でいられるような気がします。
「好き」という感情が原動力になる、ポジティブな循環
気付いたことは、好きなものが1つでもあれば、それが原動力になっているかもしれないということです。
XGの曲を聞くことで少し気分が上向きになって、少しいつもよりやる気が出て、多少の嫌なことがあっても流すことができたりします。そういった、ほんの少しのいつもより良いことが続くことによる、ポジティブな循環。だからかと納得しました。推し活をしている人は生き生きとしているのかもしれない、と。私が、誰かを推す人の姿を見ることが好きな理由はこれなのかもしれません。「目が輝く」という表現を、私は心底楽しそうにしている様子だと解釈しているのですが、推しについて語る人は本当に目が輝いているんです。
生活していれば少なからず嫌なことやストレスがあります。気持ちの切り替えが上手なら問題ないですが、私はそういった感情を引きずってしまい、結果的にさらにストレスを増やしてしまうこともしばしば。時々、感情を取り除けたらストレスなく、合理的に判断できるのだろうなと思うことがあります。
もちろん現実的ではないので、代替案として上手に忘れる方法、脳から追い出す方法を見つけることが大切なんだと思います。それが私にとってはXGの曲を聞いたり動画を見たりすることで、推しがいる人にとっては推し活を楽しむことなのかなと思います。 感情に振り回されるのではなく、上手くコントロールすることができ、さらに原動力にもなってしまう推しという存在。私はまだXGが推しですと胸を張って言い切ることはできませんが、そのうち推しだと言えるようになれたときは、今の自分よりも生き生きしているのかなと思います。
理人様 見ず知らずの者に温かいアドバイスをありがとうございます。 生物学の中だけ…
Soさん、ご質問ありがとうございます。 博士課程で必要な生物学の知識は、基本的に…
貴重な情報をありがとうございます。 私は現在データエンジニアをしており、修士課程…
四葉さん、コメントいただきありがとうございます。にんじんです。 僕がこの会社この…
面白い話をありがとうございます。私自身は法学部ですが哲学にも興味があります。 ふ…