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球界の常識を変えた大谷翔平選手から、野球ファンが学んだこと

野球人

MLB(アメリカメジャーリーグ)開幕後、一ヶ月が過ぎました。今シーズンも目が離せないのはやはり、メジャー6年目を迎える二刀流メジャーリーガー、ロスアンジェルス・エンジェルスの大谷翔平選手です。3月に開催されたWBC(野球世界大会)での大活躍も、鮮明な記憶として残りました。

野球ファンの私はそんな彼から、多くのことを学ばせてもらっています。今日は、そのことについて語ってみます。

プロ野球経験者すら、実現不可能だと批判していた投打二刀流

2012年、岩手県の花巻東高校の大谷選手は、ドラフトでも注目の選手でした。高校卒業からそのままMLBに挑戦しようとしていた彼を、当時の栗山英樹監督(WBCの監督も務めていました)と球団関係者が説得し、北海道日本ハムファイターズに入団しました。ちなみに、高校生の彼を説得した球団のプレゼン資料は、PDFで公開されています。

▼大谷翔平君 夢への道しるべ 〜日本スポーツにおける若年期海外進出の考察〜:(株)北海道日本ハムファイターズ チーム統括本部|
https://frenchkiss-emuzu2.ssl-lolipop.jp/03/zip/121213-nihonham-ohtani.pdf

彼は、当時、分業制が常識だったプロ野球において、投手と野手両方の「二刀流」で挑戦しようとしました。そんな彼の選択に対して、プロ野球ファンや、プロ野球界のOBたちの批判があったことを、今も覚えています。一例を挙げると、こんな声が多く聞こえていました。

  • 二刀流で無理が生じて怪我が多発し、体がボロボロになる。本人の夢である、メジャーリーグで活躍できる可能性の高い投手に専念すべき!(当時の私もコレでした…)
  • 投手も野手も、中途半端になるのが目に見えている。その上メジャー挑戦とは…
某氏
某氏

喝だっ!(日曜朝の定番)

このように、若い彼の挑戦を、古い常識から批判する大人たちが大半でした。プロ野球界で実績を残した人たちですら、一部のOBはそう言って批判的な態度を取っていました。

囚われていた旧い価値観や諦めを変えられるのは、結局は自分

ここで急に、世界的スーパースターが活躍するアウェーから、身近な自分語りというホームグラウンドに場所を移します。システムエンジニアとして働く私は、彼の活躍を見て、『常識に縛られず、好きなことは自分の信念に従って突き進もう!』と思って、BlueMemeへと転職し、現在仕事をしています。

実は、野球に限らず、既存の古い常識に当てはめて物事を考えたり決断することは、システム開発でも見かけます。現在、日本のシステム開発の現場では、大きく2つの手法が取られています。それが、ウォーターフォール開発とアジャイル開発です。従来はウォーターフォール開発が主流で、アジャイル開発が一般に認知されるようになってきたのは最近です。ウォーターフォール開発とは、要件定義から設計、次に開発(実装とユーザーテスト)へ進み、そして結合テストを経て、システムのリリースに至るという、それぞれのフェーズごとに順番にシステムを開発していく手法です。それなりにソフトウェア開発の現場経験が長い私は、ウォーターフォール開発での経験を積んで現在に至っています。

これまで、ソフトウェア開発で常識とされてきたのは、主にウォーターフォール開発でした。そのため、デバイスやネットワーク、プラットフォーム、開発言語などの環境が変わっても、慣れ親しんだ古い開発手法を何とか合わせて使ってきた歴史があり、そのデメリットによる弊害も負の常識として受け継がれてきました(例えば、巨大金融機関のシステム統合を巡る混乱は、書籍化されたほど有名です)。

具体例をいくつか挙げると、ウォーターフォール開発には次のような問題がありました。

  • 開発規模が大きいほど、システムリリースに至るまでの期間が長くなった。要件を決めた当初と、システム利用を開始する時ではニーズが変化していたため、機能不足になっていたり、作成した機能が一度も使われなかった。そのため、無駄なコストが発生した上に、顧客満足度が著しく低下した。
  • システムリリースが延期するほど、発注元のお客さまに無駄な費用をお支払いいただくことになってしまった。遅延理由が開発元にある場合は、無償対応を迫られることがあり、開発を続ければ続けるほど損が出るようなケースがあった。
  • 順番に手順を踏むウォーターフォール開発という手法のため、仕様やスケジュールの急な変更への対応が難しかった。その補填は、エンジニアのマンパワー(要員増加や長時間残業)でカバーせざるを得なかった。

このように、当時のシステム開発の常識にそのまま従うことで発生する無駄が多くありました。また、自分を正当化し、その当時の苦労話を武勇伝として、経験の浅い社員に誤った価値観を植え付ける、パワハラ体質のベテランエンジニアも一定数いました。世間の一部で印象を持たれている、IT業界の仕事がきついというイメージを根付かせてしまっていたかもしれません。

当時の私も、そういったやり方がこの業界の常識なんだろうと諦めつつ、それでもどこかで完全には納得できずに、日々悶々としながら開発を続けていました。『二刀流なんて、成功するはずがない』『アジャイルなんて、上手くいくはずがない』『でも…』

そんな時、若い大谷翔平選手がメジャーリーグで活躍する姿が、目に飛び込んできたのでした。

歴史を塗り替えたスタープレーヤーは、地道な努力の人でもある

彼が凄いのは、日米での批判を真摯に受け止め、年々成長し続けて、古い常識を変えていっている点です。

その集大成が2022年、世界最高峰のメジャーリーグで投手として15勝、野手としてホームラン34本という、常識外れの記録を打ち立てたことです。この記録がどれだけ凄いかというと、年間15勝以上記録した投手は彼含めてわずか14名で、ホームランを34本以上記録した野手は彼含めてわずか12名でした。もちろん、他の選手は投手か野手の片方に専念して記録した中、両方で活躍して記録したのは、147年間のメジャーリーグ史で初の快挙!つまり、あの野球の神様ベーブ・ルース氏の記録を更新したのです。

▼Shohei Ohtani State,Fantasy&News-Los Angeles Angels|MLB公式サイト
https://www.mlb.com/player/shohei-ohtani-660271

そして、今年のWBC日本代表の中心選手として、14年ぶりの大会優勝&大会MVPという、まるで野球マンガのような展開!日本人のプロ野球選手としては、長嶋茂雄や王貞治、イチローなど、歴代の名選手達に早くも肩を並べる存在になりました。その活躍によって、野球を知らない人でも大谷翔平は知っているという人も増えてきました。

そんな大谷選手が具体的に何をやってきたか、報道や球団公式チャンネル経由で伝わる情報から簡単にご紹介すると、以下の通りです。

  • 野球で活躍するための体づくりを、今も毎日続けている(いろいろなチャンネルに投稿されている、見違えるほどの体格の変化を見るだけで、人並み外れた努力を継続されているのが分かります)。
  • 投手・野手として誰よりも練習し、技術向上を怠らない。
  • 野球以外の誘惑に負けない(野球そっちのけでの熱愛、酒絡みの浮ついた噂などを、彼からは一切聞かない)。

決して、私の贔屓球団の選手じゃないですが、こんな姿が垣間見えるからこそ、彼だけは応援しています。

地道に挑戦し続ける姿を、自分自身の中にも追い求め続ける

彼ほどの、世界の歴史を塗り替えるような偉業ではなくても、いま自分がいる世界の常識から疑ってみよう。身近な世界を少しでもいい方に変えていくために、まずは自分自身を変えて、具体的に行動してみよう。そう思い立って、アジャイル開発に挑戦することを決意し、BlueMemeに入社した次第です。古い常識や固定概念を変え挑戦し続ける姿を、自分も追い求めていこうと思っています。

日本時間2023年4月末時点で4勝0敗。打率は.278と好スタートです。WBCの疲れが、シーズンにどの程度影響するかだけが心配です。極端に聞こえるかもしれませんが、大谷翔平という一人の選手がいなかったら、私は今ここで仕事をしていなかったと思います。彼の活躍を見守りながら、自分自身の活躍のための努力を、これからも続けていきます。

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システムエンジニア
自称野球好きで運動好きな中年システムエンジニア。休日は水道橋と外苑前に出没するイタい野球民で、仕事をする傍ら野球選手を真似た筋トレや、10年以上続いているジョギングを日課にしている。システム開発では簡潔で分かりやすいロジックを組むことをモットーに、日々業務に取り組んでいる(つもり)。
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