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京都市へ引っ越すなら待った!「どの住所を選ぶか」事前に考えよう

BlueMeme法務担当

あなたは、京都市内へ引っ越したことがあるだろうか?これからの冬は寒く、夏は暑い盆地の土地だ。この記事を読んでいるあなたも、好むと好まざるとに関わらず、もしかすると年明けすぐに京都へ異動の話が出ないとも限らない。

そんな京都で市役所または区役所に転居届を出しに行って、窓口で『この5つの候補から好きな住所を選んでください』と言われたら、意味不明で慌てる人が大半だろう。慌ててダサい住所を選んでしまったら最悪だ。免許証やマイナンバーカードにずっと付いて回る。

これから京都市の住所の話をしよう。僕が東京から京都市下京区に転居したときの経験だ。

選択肢は「上る・下る」と「西入・東入」のそれぞれ2つ

京都市は「通り名」(とおりな)という住所の形式を採っている。「室町通四条上る○○町」(あがる)、「四条通室町西入○○町」(にしいる)、などの書き方だ。「神宮前一丁目4番1号」のような形式ではない。平安京(794年~)以来の道路の名前で場所を特定する。通り名が入っていない住所では自動車運転免許証を作れない、と京都府警は公式Webページに明記している。通り名が入っている住所が正式なのだ。

通り名入りの住所が必要だと注意している京都府警察のWebサイト
出典:京都府警察/記載事項変更手続 https://www.pref.kyoto.jp/fukei/menkyo/s_men1/kisai/index.html

なお、道路の名前は歴史上変遷があり、京都市中心部にも「〇丁目」はある。詳しいことはググれば多数出てくるので、ここではその先の話をする。

場所が南北の道に面していれば、「上る」(あがる)で呼ぶか、「下る」(さがる)で呼ぶか、2つの選択肢がある。南の交差点から「上る」で見るか、北の交差点から「下る」で見るか、どちらも可能だからだ。同様に、場所が東西の道に面していれば、「西入」(にしいる)で呼ぶか、「東入」(ひがしいる)で呼ぶか、2つの選択肢がある。皆さんは、転居する際、ダサい住所にならないよう、どちらの住所を選ぶか準備しておく必要があるのだ。

「下る」ことも「上る」こともできる、通りの位置関係に基づく場所の指定の仕組み
「下る」ことも「上る」こともできる、通りの位置関係に基づく
場所の指定の仕組み

何と、選択肢が5つのことも!

僕の場合は、住所の選択肢が何と5つあった。特殊な場所だったからだ。それがこの場所だ。

東本願寺の前で烏丸通(からすまどおり)は大きく東に湾曲している。明治時代に市電を通す際、市電の駅が東本願寺の正門(御影堂門)のすぐ前に出来ると危険だという理由で、烏丸通を曲げた(東本願寺の広報担当次長から直接聞いた)。その結果、烏丸通の一つ東の「不明門通」(あけずどおり)の上に烏丸通が部分的に重なる形になった。このため、その場所の住所は、「烏丸通正面下る」とも表記できるし、「不明門通正面下る」とも表記できるし、「上る」を使って「烏丸通下珠数屋町上る」、「不明門通下珠数屋町上る」、「通り名無し」も選択肢になり、都合5つになった。

僕は選択に失敗しなかった。「烏丸正面」(からすましょうめん)を選んだ。烏丸通は御所の西を画する幹線。「正面通」は、秀吉が作った大仏(京の大仏)の正面の通りを意味する。凄いじゃん。

歴史上のいわくもある。正面通は東本願寺とその庭園によって分断されている。東本願寺とその庭園は、なぜか正面通の上にあるのだ。以前、東本願寺の見学ツアーで、僧侶から『東本願寺を作ったのは誰か?』聞かれ、『徳川家康』と答えた人がいた。秀吉の道の威光(神格化)を消すため、道の上に敢えて東本願寺が置かれた経緯があるためだ(「正面通」は江戸中期にできた呼称であり、家康のときは「七条坊門通」かな)。

なお、「通り」ではなく「通」が正しいらしい。烏丸四条と烏丸御池の間の道路名の看板(京都市管理)は、前後で表記が違い、「通り」と「通」が混在している。謎だ。

マンション名の表記も「選択」の余地あり

京都市中心部に住む場合、マンションが多い。祇園祭の山鉾町(やまほこちょう)も、もはやマンションと事業所のビルしかない地区もある。

京都市では住所にはマンション名を入れる必要がある。例えば、菊水鉾が立つことで有名な「京都市中京区室町通四条上る菊水鉾町573レスタージュ四条烏丸ラティス○○号室」は、これより短い書式は許されない。それが正式だ。前述のとおり、通り名だけでなくマンション名まで入っていない住所では、自動車運転免許証を作れないと京都府警は明記している。推測だが、免許証が作れなければ、結局、遡って住所を変更する羽目になるのだろう。

ちなみに、東京など一部の地域では逆に、住所にマンション名を入れることができない。住居表示の実施細則として各自治体がルールを決めている。ただしこのルールは、閲覧可能にされていないことが多いようだ。これらの違いは、例えば企業の代表取締役社長の住所としてどこまで公開しなければならないか、部屋番号まで必須か否かにも関わる。

さて、京都市に転居する人のための知恵(本題)に戻る。京都市の区役所で、自分の正式な住所に入れるマンション名は「正式な」ものでなくてもよい。一応、区役所には、ご親切にもマンション名の一覧表が用意されている。でも、自分で勝手に「短縮」した名前を入れて転居届を出しても、役所は拒否しなかった。どこまで短縮できるかはチャレンジだ。世の中、間抜けなマンション名が多いので、ここでも多少選択の余地がある。

厳格だが、間違えてもいる…失われゆく仁丹看板

京都に住まなくても、通り名を観光客として楽しむための、興味深いアイテムが京都にはある。「仁丹看板」(じんたんかんばん)と呼ばれる住所の表示板だ。「仁丹」は、今はあまり消費されないと思うが、小さな銀色の球状をした口内清涼剤の一種で、フリスクのご先祖様と言ったところだ。明治や大正時代には万能薬のような謎の位置づけで、かなり売れたようだ。日本各地や中国大陸にも、仁丹の宣伝看板が出ていた。巨大で物議を醸したものもある。京都の「仁丹看板」はその残りだ。

京都の仁丹看板は、非常に厳格に通り名を守っていることが知られている。一つの家の柱の2面に仁丹看板が付いている場合、書いてある住所は完全に違う。通り名のルールに厳格に従っているのだ。京都市が設置している行政掲示板の下にも、その場所の住所が書いてあるのだが、これは意外と間違い—それも明らかな間違いがある。通り名は法令の根拠があるにも関わらず、役所が間違える。えらい違いだ。近年、京町家がどんどん取り壊され、仁丹看板も急速に失われているので、写真を撮り歩くマニアも多い。

一つの家に2枚、仁丹看板が付いている例。看板がどちらの道路に面しているかで、それぞれ書かれている住所が違う。
仁丹看板が2枚付いているが、道路のどちら面に付いているかで「住所」が違う。何と書いてあるか興味ある方は、街を歩いて探してほしい(選挙ポスターにぼかし追加)。撮影:筆者

京都オフィス復活の日を夢見ながら

京都の住所について語れることは多い。僕はまた京都に戻りたいと思っているが、良い仕事を見つけられずにいる。BlueMemeは今、沖縄と熊本(開設準備中&人材募集中!)にオフィスがあるが以前は京都にもオフィスがあったらしい。あいにくBlueMemeは、リモート勤務に関しても、コロナ禍が開け「例外的に可能」に戻ってしまったが、また京都にオフィスを復活させるのも手だ。

BlueMemeは上場企業とはいえ、中はまだまだ変化が可能かつ必要な状態だ。例えば、企業のDXを進めることを主力商品としているのに、自分達の社内の承認プロセス(稟議)には未だ紙が多く残っている。この点は今、若手を中心に、変更のプロジェクトが進んでいる。仕組みを変えることが好きな人には、魅力的な職場だと思う。ネタはたくさんある。

ただ、京都市は、人口減少が止まらないことが課題になっている。住民基本台帳を見ると、人口は2023年4月1日時点で約138万1,822人、2022年1月時点では約138万8,807人で、1年間で約1万1,913人も減少している。これは全国の市区町村で、2年連続ワースト1だ。

それでも、京都オフィスの復活は可能だと思う。なぜなら、海外の人材を採用するなら『京都に住める』は魅力だから。京都新聞の報道によれば、2022年にはフランス国籍者は715人まで増えており、伸び率も高い。

エグい難読地名が人を呼び込む?

最後に、京都市の中心部に「〇丁目」がある例を示しておこう。「天使突抜」という住所(町名)には「四丁目」まである。Googleマップを出しておくに留めるが、難読でも有名なので、読みや意味、由来はググって欲しい。さらに「天使突抜」は英語に直訳すると中々エグい。エグい町に惹かれて、京都人並みにいけずなフランス人がますます増えるかもしれない。

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BlueMeme法務担当、京都駐在候補
飲食店の従業員は意外と食べ歩きしない。店主は、従業員に「もっと勉強して欲しい」(食べ歩いて欲しい)と思っている。京都市内の飲食店で働く人向けに、老舗を食べ歩く企画がありうる。採用難の福利厚生やチームビルドにもなる。
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