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リプリパ編集部

あるエンタメファンが経験してきたチケット転売の現実と解決の要望

リプリパ編集部

コンサートやライブ、演劇を楽しむことが趣味の私が、チケット購入の過程で直面してきた、リアルな転売問題について考察します。一人のファンであり消費者である私は、アーティストや所属事務所、プロモーター、イベント会社、ホールなど、それぞれの立場もある程度は理解しているつもりですが、非常に難しい問題であることは間違いありません。

自分が長年感じてきた課題や、希望する対策、理想的なチケット販売システムについて、実体験を交えて解説します。

転売対策のコストはチケット価格に

私の趣味はコンサートやライブ、演劇を観ることです。中学生の頃からチケットを取ることがライフワークの一部となり、ネットの普及に伴い、オンラインでのチケット購入が一般的になりました。しかし、その一方でチケット転売の問題が増加しています。

転売対策として有効な手段の一つは、購入者と来場者との本人確認です。ただし、これはイベントごと(主催者ごと)に異なります。

例えば、あるアイドルのライブでは、当日、入口で身分証の提示が求められました。ただ、アルバイトらしいスタッフのチェックで、完全な確認は難しい状況でした。また、別のアーティストでは、ファンクラブに登録した顔認証と照合する厳格な対策が取られています。山下達郎のように、申し込み時点で参加者の氏名や連絡先を記入し、当日に身分証明書と照合する、徹底したコンサートもあります。

このような対策は、主催者側の手間やコストが掛かり、その分チケット代に反映されます。また、厳格な対策を講じられるアーティストはごく一部で、演劇などでは十分な転売対策ができていないのが現状です。最近では、劇作家・演出家の野田秀樹氏が設立した演劇企画制作会社NODA・MAPが転売対策を強化していますが、これもチケット代に影響を与えています。

時期や抽選など、多様なチケット販売方法

ライブイベントに頻繁に参加する人でなければ気づかないかもしれませんが、同じアーティストでも、チケットはさまざまな異なる条件で販売されています。

人気のチケットは、第1〜第3希望を選んで抽選に申し込みます。この場合、競争率が高い東京や関東圏で必死にチケットを取ろうとするより、福岡や札幌で申し込む方が、当選確率が高いのです。交通費や宿泊代を入れても、仮に転売で買った場合の追加料金などと相殺すると、実はあまり差がないこともあります(しかも移動の気分転換というオプションも)。

そもそも、販売開始日や販売方法などで、チケットには主に以下のような違いがあります。このうち、人気アーティストの公演では、1~3で取得したチケットが転売されることが多いようです。

  1. アーティストや劇団のファンクラブ(有料会員)向け先行販売(抽選が多い)
  2. アーティストや劇団の先行販売(無料・登録制、抽選が多い)
  3. チケット販売サイト(ぴあ、イープラス、ローソンチケットなど)による特別・先行抽選販売(事前登録制、会員ランクによる当選確率の違い、手数料が高め)
  4. チケット販売サイトによる先行販売
  5. 一般販売

このように、自分が行きたいアーティストや劇団のチケットを入手するには、チケット代以外の負担が必要です。絶対に見逃したくないイベントなら、できるだけランクの高い有料会員に申し込んで、当選確率を上げておく必要があります。

また、チケット販売では、本体の価格とは別にシステム料や手数料が必ず存在します。これらはチケット販売会社の収益源ですが、買い手側の負担が増えているのが現状です。チケット販売サイトの先行抽選の場合だと、8,000円のチケットを先行販売で購入すると、手数料が110円〜1,500円近く掛かることもあります。

例えば、コンビニでイープラスのチケットを発券する場合、チケット代以外に以下のような手数料が次々と加算されます(一部の金額はイベントによって変わる)。さらに、複数枚のチケットを一度に購入する場合でも、システム利用料はなぜか枚数分チャージされるのです。

  • 先行サービス料:¥880
  • システム利用料:¥220
  • 振込手数料:¥220
  • 発券手数料:¥110

リセール(再販)機能の課題

チケットは公演の数か月前から販売されるため、自分の仕事や私生活の予定が変わることは、十分あり得ます。個人的な理由でどうしても行けなくなった場合、リセール(再販)機能を利用して、参加する権利を他の人に譲りたいと思うのがファンの心理です。もちろん、費用の一部を回収したい消費者としての本音もあります。ただし、元の販売価格を上限とした正規の「リセール」と、不当に価格を吊り上げる「転売」とは、区別して考えたいところです。

ただ、公式のリセール機能を利用すると、チケットを譲渡する際にかなりの損失が生じることがほとんどです。例えば、8,000円のチケットをリセールすると、手数料が引かれて実際には7,000円台になってしまいます。

これが、一つのイベントなら手数料ぐらい仕方ないと諦めることもできるでしょう。ただ、私のように複数を常に掛け持ちしている身からすると、結構、馬鹿にならない負担になってしまうのです。公式サービスを利用すると必ず損失が発生してしまうため、転売サイトを利用せざるを得ない状況が続いています。

再販制度と透明性が転売防止になる!が…

ひとりのライブエンタメファンの希望としては、リセールを見越した柔軟なシステムを構築することが、転売対策の強化につながると思います。公式の再販制度があっても手数料が高いと、転売サイトから購入するのは悪いことだとは思いつつ、ファンですら転売サイトを利用せざるを得なくなり、結果的に転売が助長され続けます。

▼リセールサービス/申込方法 | ヘルプ | チケットぴあ
https://t.pia.jp/guide/resale-entry.jsp

▼チケット再販売サービス「定価リセール」
https://eplus.jp/sf/s/page/irg/sqstage6-resale

▼チケットのリセール(売却)|ローチケ電子チケットアプリ|あなたのスマートフォンがチケットに | ローチケ(ローソンチケット)
https://l-tike.com/e-tike/navi/guide/resaletickets.html

▼チケトレ|音楽業界公認-公式チケットトレードリセール
https://tiketore.com

実際に、アメリカのチケット販売サイトでは、購入者が行けなくなった場合に限り、チケットの価格を自由に設定できるリセール機能が存在します。このような仕組みが日本でも導入されれば、ファンは無駄にチケットを手放すことなく、適正価格で譲渡でき、後ろめたい転売に手を出す必要もなくなります。

また、チケットの透明性を高めることが重要だと思います。例えば、チケットの購入履歴や譲渡履歴を明確にすることで、転売行為を抑制できるでしょう。

ただし、そういった柔軟で透明性あるシステムを開発・運用するとして、問題はそのコストを誰が負担するのか?という点です。今ですら、いろいろな名前で複数の手数料が上乗せされ、リセールのネックにもなっている中で、どのように合意形成ができるのか?ここは本当に悩ましい課題です。

ステークホルダーそれぞれの立場で

チケット転売問題は、アーティストや演者、主催者だけでなく、チケット販売サービスやファンにとって大きな悩みの種です。そのためには、関係者全員がそれぞれの立場で連携する必要があるでしょう。全員が完全に納得できる仕組みは無理でも、少しでも今よりはいい環境を実現するためには、協力が不可欠なことは確かです。

チケット転売問題の解決に向けて、私たちファンも声を上げていく必要があります。個人的には、リセール機能が整備されることでチケット販売の柔軟性が高まり、安心してチケットを購入・譲渡できる環境を望みたいところです。シンプルで使いやすく安全な販売システムと透明性が実現されるなら、一定のコスト負担には納得も得られる気がします。エンターテインメントを楽しむ健全な環境を築くために、今後の動向に注目していきたいと思います。

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