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アジャイル

そのピザ何人で分けるつもり?チームサイズと生産性のおいしい関係

リプリパ編集部

チームメンバーの数と生産性との関係については、いろいろな専門家や研究機関がレポートを公表しています。多くの場合、生産性を最大化できる最適なチームサイズは4人~ひと桁だと言われています。一見、多くの叡智を集約した方が、達成できる目標のレベルや精度が上がりそうです。しかし、人数が増えるとコミュニケーションに関連するオーバーヘッドも増加し、生産性に影響を及ぼす可能性が指摘されます。「船頭多くして船山に上る」という諺があるぐらいです。

今回は、少人数のチームの方が目標に対する意識が高く、高い生産性を達成できる秘密について考えてみましょう。

ピザをおいしく食べながら会話できるのは2枚まで

Amazonの創業者ジェフ・ベゾスが提唱する、『ピザ2枚で賄えないチームは大きすぎる』というコンセプトはよく知られています。公式にAWSのページにも掲載されているほど。ある程度のサイズにカットしたピザが全員に行き渡って満足でき、お互いに顔が見える距離感で意思疎通できる。その人数の目安が、大体、4~8人程度だという象徴的な指標です。

これは、生産性を高めるために、チームを必要最小限に留めることの重要性を強調する言葉です。少人数のチームの方が生産性が高く、意思決定が迅速で、コミュニケーションのハードルを克服できることを、端的に示しています。ブレインストーミングやミーティングの人数も、大体これぐらいが妥当だと言われます。

ちょっとだけ手抜き x 人数、その結果は…

フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマン(1861-1931)の研究によれば、チームの規模が大きくなるに連れて、失敗する可能性が高まると指摘されています。「リンゲルマン効果」または「ソーシャルローフィング(社会的手抜き)」と呼ばれるこの現象では、大規模なチームでは個人の努力や情熱が低下し、チーム全体の生産性に悪影響を及ぼしやすくなります。『自分一人ぐらい少し手加減しても大丈夫だろう』『どうせ私の能力はこの程度』『自分一人が張り切っても意味がない』とメンバーが思い込む状態です。共同作業をする人数が増えるとメンバーの士気が低下し、ミスコミュニケーションが増え、チーム全体のパフォーマンスが下がってしまいます。

生産性が低下する3つ原因
生産性が低下する3つ原因

チームの規模と生産性は反比例し、小規模なチームほどコミュニケーションのハードルが低いことで意思決定が早く、優れた生産性を発揮します。サッカーの試合で、一人レッドカードで退場になり、10人になったチームの方がよりアグレッシブになることがあります。人数の少なさに緊急事態という緊張感も加わり、各プレーヤー個人のチームへの貢献度が、ゲーム結果を左右するからでしょう。

ちなみに、リープリーパーを運営するBlueMemeでは、オフィスがある地元で2023年10月に開催された秋祭り「神田錦町ご縁日」の綱引きに参加しました。初回の対戦相手JINSさんに完敗だったのは決して「リンゲルマン効果」ではなく、『ノーコードを推進しているだけに、綱引きに元々不利だったのでは?いや、むしろ実質優勝だったのでは!?』と、結果を冷静に分析しています。

変化に強いアジャイルなチームは少人数

多くの場合、風通しがよくないチームが抱える問題は、メンバーそれぞれのスキルとやってくれることの期待値のズレが原因です。また、それを理解したりサポートせず、時間ばかり掛かるトップダウンの遅い意志決定もネックです。

チーム問題の多くは、役割分担による期待値のズレと、トップダウンによる遅い意思決定
チーム問題の多くは、役割分担による期待値のズレと、トップダウンによる遅い意思決定

ソフトウェア開発では、チームや組織が変化に迅速かつ効果的に対応する能力―アジリティが重視される傾向が強まっています。反復開発や継続的なフィードバック、顧客満足(CX)を優先するアジャイル開発です。アジャイルという文脈では、リーダーシップの役割も重要です。チームの生産性を維持し、変化に効果的に適応するために、リーダーは以下の視点でチームサイズをチェックしてみるのが有効です。

  • チーム規模が個人の生産性に与える影響:少人数のチームは当事者意識と責任感を育み、個人だけでなくチーム全体の生産性向上につながる。
  • チームサイズと生産性のパラドックス:チームが大きいほど有利とは限らず、意思伝達が途絶え、責任感が低下すれば、全体の生産性も低下する。
  • 大規模チームとリーダーシップの役割:大規模チームを管理し、高い生産性レベルを維持するためには、合理的なリーダーシップ戦略が不可欠。
  • チーム規模と生産性のバランス:組織がチームの規模を最適化し、高い生産性との適切なバランスを見つけるのにも、チーム戦略が必須。
  • ベストなチームサイズは条件次第:チームサイズとベネフィットは常にトレードオフ。理想的なチームサイズは、プロジェクトによって異なる。

小規模なチームのメリット・デメリット

もちろん、小規模なチームにもメリット・デメリットの両面があるので、最後にまとめておきましょう。

常に、少人数のチームが妥当であるとは限りません。これは、アジャイルな手法が先進的かつ合理的で、ウォーターフォールが旧式で非効率というわけではないのと同じです。最適なチームサイズは、タスクの性質や特定の条件で異なります。

小規模なチームのメリット

  • 各自の生産性向上:各メンバーが自分の役割と責任をより明確に理解し、「自分事化」することで、責任感と集中力、効率性が高まる。
  • シンプルな意思疎通:チャンネルが多様化するオーバーヘッドが少なく、伝言ゲームの必要がないため、伝達ミスの可能性が低くなる。
  • 結束力の向上:士気と生産性が高まることで、チームに対する自分の存在意義を感じられ、強い一体感と仲間意識が育まれる。
  • 調整と同期:複雑な計画や調整が不要なため、進行の妨げとなるボトルネックや遅延が発生せず、高速なスピードを実現できる。
  • 自律的チーム:小さくて複雑、カスタマイズが必要なタスクでも処理できる。個人主義的で、より自律的。
  • 透明性の確保:関係部署への根回しや調整など、社内政治による影響が限定的で、サイロ化・蛸壺化のリスクが少ない。
  • 低コスト:リーンスタートアップのようなチームは、給与やインフラなどのリソースが少なくて済み、投資収益率や利益率が向上する。

小規模なチームのデメリット

  • 制限付きのリソース:マンパワーやスキルセットが限られているため範囲が制限され、作業ペースが上がらない。
  • 専門化と効率化:各自が得意な専門分野に割り当てられないため、全体的な生産量や効率の最大化が難しい。
  • シナジーとコラボレーション:多種多様な視点やスキル、アイデア、ソリューションが集まりにくい。
  • 仕事量の増加:メンバーの仕事量が増える。適切に管理されなければ、ストレスや燃え尽き症候群につながる可能性も。
  • 属人化するリスク:特定のメンバーしかわからない作業があれば、その人のパフォーマンスが、チームの生産性や成功を左右する。
  • キャリアパス:キャリアのチャンスが多く、優秀な人材を惹きつけて維持できるのは、大きなチーム。
  • ツールやサービス:プロジェクト管理やコラボレーションツールは、小規模なチームでは効率化しにくい。


参加しているチャットグループが多人数だったり、何人ものCCが入ったメールをやり取りしていませんか?これらは、回答や行動が必要な相手に届くとは限らず、単にアリバイ作りのためにだけ使われることがあります。『詳しい経緯は今まで共有していたとおりですが…』で、いきなりタスクが割り当てられることがありますよね。これは、「小さなピザの切れ端しか回って来ないので、誰か他の人が払ってくれたのかと思っていたら、急に割高なチャージが回って来た!」ようなもの。大抵、何の具だったかも覚えていません。

チームの有効性は、リーダーシップやコミュニケーション、チームメンバー固有の力関係といった要素に左右されることがほとんど。チームの規模を検討するには、小規模チームの潜在的なメリットと、多様なスキルや専門知識を持ったある程度の規模のチームの必要性とを、比較検討することが重要です。必要に応じて、チームにとって最適なサイズをチェックしてみましょう。

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リープリーパー(略称:リプリパ)編集部です。新しいミライへと飛躍する人たちのためのメディアを作るために、活動しています。ご意見・ご感想など、お気軽にお寄せください。
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