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いいチームと結果が出ないチームとの違いとは―伊東 貴行さん2

リプリパ編集部

昨日4月15日(日本時間で今日)は、伝説のMLB選手ジャッキー・ロビンソン・デー。なぜか、リープリーパーでとても読まれている記事です。その記念すべき日に、BlueMeme所属で元「香川オリーブガイナーズ」のプロ野球選手の伊東 貴行さんの話をお届けします。今回も、インタビュワー先攻でプレイ再開!

「プロ」と呼ばれる世界はどこも厳しい生存競争

― プロスポーツの世界は、当たり前に結構シビアだったのでは?

伊東:それは、確かに。1年過ぎれば、また新しい選手が入ってきて、結果を出せば自分の活躍の場がどんどんなくなっていくわけです。そうすると、結構、気持ちが荒んじゃったり、『もう俺は無理だ…』みたいに落ち込むんです。それでも、やっぱりファンの人たちは応援してくれるんで、やっぱり腐らずに頑張ってみようっていう気持ちになれました。

― 文字通り支える役であるサポーターとしてのファン、地域団体としてのローカルコミュニティー、資金面から支えてくれるスポンサー、選手や球団職員の家族など、多様なステークホルダーがいます。スター選手を多数抱えているメジャーな人気チームは、もうすでにブランドが確立されていて、多数の人が役割分担されてますから、そういった多様な存在を肌感覚として知ることは限られるかもしれませんね。

伊東:そうかもしれません。僕らは、いつも地域の人たちには感謝の気持ちを持って接することが、結局、自分たちのためだって考えてました。地域の人たちはより良い街づくりのために、僕ら選手はプレイヤーとして上に行くために、それぞれがどうすべきか?地方都市や小規模な組織であればあるほど、いろんな人たちとお互いに顔が見える距離で手を組んで、一緒にやっていくことが必要ですね。前回の記事で、チームが香川県内の全小学校に野球のボールを贈った話のように、球団の人たちは選手よりいろいろな視野で考えてると思います。

地域で活動し続けるために必要な関係づくり

― 四国のプロスポーツと言えば、サッカーの岡田武史監督のことをふと思い出しました。日本代表を率いて二度W杯で闘った以降、2014年には四国地域リーグ「FC今治」のオーナー就任を発表、自前で建設費40億を調達した「今治里山スタジアム」が2023年1月に完成。さらには、学園長に就任したFC今治高等学校が今月開校しました。
岡田さんは、たびたびビジネス系のニュースサイトやイベントにも登場するんですが、スタジアムを中心にした街づくりや人の育成、企業誘致、そしてファンの獲得を目指してます。少子高齢化で人口が減り続ける中、地方でプロスポーツをビジネスとしてやっていくのは大変なわけで、何かプレーヤーの一人として感じることはありましたか?

伊東:読者の皆さんもご想像だと思いますけど、独立リーグって一応プロなんですけど、本当に十何万円とかの薄給なんです。確かに、生活は厳しいと言えば厳しかったです。でも、そこをスポンサーや地域の方たちが支えてくれてるんです。

―「うどん県」だけに、やっぱりうどん屋さんとか?

伊東:もちろん!地場のうどん屋さんだけでなく、近くにある食堂がスポンサーになってくれてて、選手が行くと安くいっぱいおいしい料理を食べさせてくれたり。そういう地域の企業や人たちに凄く助けられるおかげで、僕たちはプレーできる。僕たちは、選手として活躍する姿を見せることで喜んでもらえる。そういういい関係を間近で経験できました。

チームプレーよりも、個人成績に集中して

― 伊東さん自身は、チームと個人との関係って、どう考えてますか?この2つは、関係あるとはいえ、捉え方が違いますね。

伊東:僕が野球をやってた時、アマチュア時代は「チームプレー」がメインでした。でも、プロの時は「自分の成長」を一番重視してました。皆、『自分が上に行くためにどうするか?』を考えていて、ちょっと乱暴な言い方をすると、チームの勝ち負けにはあんまり興味を持ってませんでした。

― そうなんですね!ちょっと意外のような、でも納得できるような…

伊東:「チームとして結果を出していこう」といった目標ではなく、「自分が成長すれば結果的にチームも勝つ」といった優先順位というか。監督が自らおっしゃってました。『長くこのチームで活躍することは、決していいことじゃない。ここで圧倒的な結果を残して、次の世界に行け。ダメだったら諦めて、辞めろ!』って。なので僕も、チームプレーはあんまり意識してなかったんです。

― 限られたチャンスで何とかアピールしないと、次がない。残酷な見方をすると「商品見本市」なわけですからね。とはいえ、団体競技である以上、チームの雰囲気がギスギスすると、その日だけじゃなくて将来のゲームにも影響しそう。長いペナントレースを戦い続ける上で、バランスが難しいですよね。

伊東:そうですね。その辺りは、やっぱり今の仕事とは違うかなって気がします。今だと、できないことは周りの人にお願いします。でも、プロ野球選手だった当時は、『ちょっと怪我してて守備の時に痛いんで、無理です』『バッティングの調子が悪いんで、他の人に出てもらっていいですか?』なんて、とても言えませんでしたから。

― 『わかった、登録から外しておくからゆっくり休め。そして、永久にずーっと休んどけ!』って言われるだけ(涙)。

伊東:そう。代わりに出た若手選手がたまたまその試合でいい結果を出せば、自分の怪我が治って戻ってきた時には、もうポジションがなくなってたり、チャンスが消えて終わるんです。だから仕事も、自分に与えられたチャンスはとにかく、できます!って宣言して、もう無理矢理でもどういう手を使ってでも、とにかくやり切るのも一つです。

― 仕事で大事なことは、品質の前に『とにかく終わらせること』だとも言われます。

伊東:はい。でも、蓋を開けて『やっぱり、できませんでした…』だと周囲に迷惑を掛けるから、早く助けを求めるのも必要です。つい無意識に『自分でできます!やります!』って言っちゃいそうになるんですけど、そこはあんまり口にしないようにしてます(笑)。

いいチームと結果が出ないチームの違いとは?

― 好成績を収めるいいチームとなかなか結果が出ないチームの違いって、どこにあるんですかね?

伊東:チームにとっての課題を的確にズバって言える、「リーダーシップを持ったキャプテンがいるかどうか」でしょうか。ただキレ散らかしてるだけのキャプテンもいましたけど、やっぱり選手だけじゃなくてチーム全体からも信頼されてなかったです。チームの勝ち負けの責任は、最終的には監督が背負うんですが、監督だとちょっと距離が離れるんで。

― なるほど。やれと指示を出すボスと、一緒にやろうと先頭に立つリーダーとでは、役割は違いますからね。

伊東:チームにとってダメなところを本質的に指摘できる。そして、そのキャプテンの指示をフォローできる人が、他にちゃんといる。そういう役回りがしっかりと機能してバランスが取れてるのが、いいチームかなって思います。

― リーダーシップと言えば、メンバーと指導者との距離感ってどう考えてますか?これもよく言われることですけど、冷静に決断する必要に迫られる以上、選手たちとは食事を共にしない監督もいれば、密にコミュニケーションを取るタイプの指導者もいますよね。

伊東:人それぞれと言えばそのとおりなんですが、管理する人がちゃんとメンバーそれぞれの特徴を捉えて、適切な距離や方法でコミュニケーションを取るのがいいんじゃないでしょうか。仕事上だけの接点がベストな人もいれば、食事や飲みに行って楽しくできる人もいるし。自分がされて嫌なことは、当然したくないですし。

― 耳の痛いことでも冷静に見つめて、具体的な改善策を提示できる距離感。しかも、何でもイエスで聞き逃すだけじゃない、場合によってはミスや警告も指摘してサポートしてくれる参謀が、ちゃんと周りにいるリーダー。

伊東:確かに、組織の強さは、個人の能力に依存する部分が多いと思います。野球ならドラフト会議やトライアウト、企業なら採用やインターンシップで、いいプレーヤーを引っ張ってこれらるかどうか、フロントの役割も重要です。それと同様に、優秀なキャプテンが現場には不可欠です。チーム全体を俯瞰的に見てフォローできる人がいるチームは、やはり強いなって思います。


チームやメンバー、その時の状況によってもいろいろと違うとはいえ、個々のプレーヤーとしてのより高い目標達成、チームとしての成果、矛盾やリスクもパワーに変えるリーダーシップを持つキャプテン、そしてファンやオーディエンスとのエンゲージメント。どれも仕事にも通じますね。一般の人も全員、実は毎日が試されているトライアウトなのだとも言えそうです。

決してメジャーではないコミュニティーの限られた範囲での関係は、やっぱりファンとプレイヤーの距離が近いですし、その関係が信頼を生むんでしょうか。皆さん、リープリーパーのフォロー、シェアやコメントもぜひお願いします!

そして、トークは後半戦へ。

この記事でインタビューをした方

伊東 貴行 
元プロ野球選手
父親と兄が野球好きだったことで、幼少期から野球を始める。
23歳からは独立リーグで、プロ野球選手として2年間プレーをした。 今は仕事ではなく趣味として野球を続け月に1回は都内のバッティングセンターでストレス発散をしている。

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