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ツール・ド・フランスに見る、運動不足な私たちにも身近なIT技術

kotobato

春から夏のヨーロッパは、自転車ロードレースのお祭りシーズンです。最も知られているのが、これから始まるツール・ド・フランス(Le Tour de France)。実はこのレースにはさまざまなデジタル技術が使われ、自転車ロードレースやプロスポーツだけでなく、アマチュアのワークアウトにも不可欠な技術となっています。普段、自転車に乗っていない人にも役立つ情報があるので、運動不足気味な方も含め、2回の連載をどうぞ最後までお付き合いください。

世界最高峰の自転車ロードレース ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは、世界最高峰ともいわれ、1903年に第1回が開催されて最も歴史と権威がある自転車ロードレースです。コースは毎年変わり、今年は7月1日(土)に、フランス南西部に隣接するスペインのバスク地方ビルバオをスタート。総走行距離3,404kmにわたるさまざまな地形を駆け抜け、7月23日(日)パリのシャンゼリゼ大通りでゴールします。女子選手の大会は7月23日(日)から30日(日)まで、956kmで競われます。

▼Discover the route of the 2023 Tour de France – #TDF23 – YouTube

世界各地から参加するのは、8人編成のチーム単位です。今年はワールドチームが18、プロチームが4の、合計22チームが参加します。23日間の日程は、平坦ステージ、山岳ステージ、タイムトライアルステージなど、21のステージで分かれています。今年が特徴的なのは「史上最も山の多い大会」といわれていること。レーサーが登る坂道の合計を示す総獲得標高が、56,266mもあります。箱根駅伝ファンにも見応えがあるレースになりそうです。

ツール・ド・フランスは、ジロ・デ・イタリア(イタリア 5月)、ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン 8~9月)と共に、ヨーロッパで開催される3大自転車レース「グランツール」の一つとなっています。これらの自転車ロードレースは、FIFAワールドカップサッカーやオリンピック、Formula 1カーレースと並ぶ、世界的なスポーツイベントでもあります。トップサイクリストたちの熱い戦いを、世界中のファンが沿道とオンラインで観戦します。

ツール・ド・フランスでも使われているあの技術

このツール・ド・フランスには、さまざまなIT技術が使われています。まずは、私たちが普段の生活でも使っているテクノロジーやプラットフォームから見てみましょう。

やはりライブストリーミング中継は見逃せません。今年、日本では、スポーツテレビ局J SPORTSが全21ステージをライブ配信します。開幕当日の7月1日 (土) 日本時間19時の第1ステージは、YouTubeチャンネルやニコニコ生放送、AbemaTV、ケーブルテレビでも無料配信されるようなので、スタートの興奮だけでも要チェックでしょう。

もちろん、開催までの準備やレースの様子は、TwitterやInstagram、Facebook、YouTubeなど、ソーシャルメディアで展開されます。古くは、新聞の販売拡大に使われたりラジオの生中継が導入されるなど、メディアコンテンツとしても大いに注目を集めてきた、国際的な人気スポーツイベントならではです。

Bluetoothヘッドセットが使われているのも一般的です。プロのサイクリングレーサー用のインカムは、わざわざボタン操作するプッシュトゥートークではなく、チームメンバーとリアルタイムにコミュニケートして、戦略を立てたり安全を確認したりが可能です。

選手の位置は、GPS(衛星測位システム)でトラッキングされています。実際に使われているのは、複数の国や地域が運用し、GPSよりもさらに精度の高いGNSS(全球測位衛星システム)ですが、チーム間の手に汗握る駆け引きが地図上でわかるのも、この仕組みのお陰です。

また、レースの周辺に目を向ければ、デンマークのテレビ放送では、インタラクティブなアバターを使ったVRでレースが解説されていました。5年後の今年は、よりリアルタイムに臨場感を持って再現されることに期待も高まります。

TV 2 Denmark Tour de France 2018 studio – YouTube

あなたも自宅からツール・ド・フランスに参加できる!

2020年、新型コロナウイルスのパンデミックで、ほとんどの屋外イベントが中止または延期されるという、前代未聞の危機的な状況の中で実施されたのが、バーチャルなツール・ド・フランスでした。

Jump On Zwift Hub. Jump Into Zwift. – YouTube

使われたのは、Zwift(ズイフト)というインドアサイクリングのプラットフォームです。スポーツスタートアップとしても、急速に人気を拡大しています。

Zwiftを使うには、自分が持っている自転車の後輪下にローラー付きデバイスをセットし、フィットネスバイク化します。そして、専用アプリを通じてペダルの回転数や速度がリアルタイムに計測されることで、画面上のアバターが連動して動く仕組みです。秀逸なのは、路面の傾斜や風圧(先頭か他のサイクリストの後ろかで変わる!)も、ローラーへの負荷として反映されること。また、ローラーだけでなく、傾斜や風を再現する専用の拡張デバイスまで販売されています。世界中のトップサイクリストやプロアスリートたちも、日々のトレーニングに利用しています。

隔離と非接触な生活が続く中で、健康と体力維持、ダイエットのためとはいえ一人で黙々とワークアウトを続けるのは、孤独でストイックな時間でした。Zwiftでは、細部までリアルな3D空間が再現され、24時間いつでも、世界中のライバルたちと競い合い、時に励まし合いながら一緒にライドできます。オンラインゲームのようなサイクリングコミュニティーとして、楽しくトレーニングが続けられます。

もちろん、今年のツール・ド・フランスでもバーチャルな大会が開催されます。一部のコンテンツは日本語にローカライズされていますし、日本の自宅から参加するのもいいかもしれません。

ワークアウトする人には、トラッカーも大人気

ツール・ド・フランス以外にも目を向けると、Zwiftに並んでサイクリストたちに人気なのが、Strava(ストラバ)です。これは、自分の活動をシェアし合うスポーツソーシャルネットワークで、パリやボストン、ロンドンマラソンでも使われました。ただしこちらは、犬の散歩から草原のトレイルラン、スイミングなど、幅広いアクティビティーに対応しているのが特徴です。

アスリートはあなたの中に Strava – YouTube

最近のスマートフォンには、センサーで計測した歩数や移動距離、速度、ルート、建物の階数などを表示してくれる機能があります。活動量計(アクティビティートラッカー)の専用デバイスやウェアラブルデバイス、専用アプリと併用することで、血圧や体重など、さらに詳細な分析結果が表示できます。もちろんこれらの技術は、各種のアウトドアおよびインドアスポーツ、オリエンテーリングや山岳トレイルなど、プロだけでなくアマチュアにも使われています。

▼Nike Run Clubアプリ
https://www.nike.com/jp/nrc-app

形から入る人には、スポーツ大会をきっかけに、ウェアやシューズ、キャップ、デバイスを揃えたり、アカウントを作ってみるのはいいかもしれませんよ!


人間が生まれながらに持つ知性の一部を拡大する道具として、パーソナルコンピューターを「知的自転車(Wheels for the Mind)」と称したのは、Appleの創業者スティーブ・ジョブズでした。基礎や理論はともかく、とにかくまず乗ってみる。転びながらでも学習を繰り返して、能力を拡張する自分の一部にしていく。他者と競い合うと同時に、自己ベストにチャレンジする。自転車ロードレースの魅力は、道具と人間とが一体化した人馬一体ならぬ、ひたむきな「人車一体」の姿かもしれません。

次回は少しギアを上げて、バーチャルなツール・ド・フランスはデジタルツインだという話や、実はいろんな先端テクノロジーのチャレンジの場になっているということをご紹介しましょう。

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リプリパ編集兼外部ライター
企画制作や広告クリエイティブ畑をずっと彷徨ってきました。狙って作るという点ではライティングもデザインの一つだし、オンラインはリアルの別レイヤーで、効率化は愛すべき無駄を作り出すため。各種ジェネレーティブAIと戯れる日々です。
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