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とある小売りの現場にDXの真の姿を垣間見た―宗像仙人だより 007

リプリパ編集部

テクノロジーは、凄い設備の施設や遠い未来にあるとは限らず、私たちの日常生活や身近な場所に使われています。もちろん、「中の人」にならない限り、どこにどんな技術が使われているのか詳しく知ることはできません。ただ、変化の様子は肌感覚として知ることができます。そんな話を、テクノロ爺こと宗像仙人さんと繰り広げてみました。

前回までの記事も、ぜひ併せてお読みください。飛び出したいろんなキーワードは、結構、これまでしてきたいろんな話ともつながっていますから。

スーパーマーケットのトライアルは、小売りDXのショールームだ!

宗像仙人
宗像仙人

こないだもまたトライアルに行ったよ。やっぱりあの店は凄い。

編集部
編集部

読者の皆さんに説明しておくと、トライアルは、「リテール(小売り)DX」を掲げているディスカウントストアチェーンです。本社は福岡市にあります。

▼TRIAL -トライアル-
https://www.trial-net.co.jp/

編集部
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最近、小売りチェーンでは、いろいろな自動化・無人化の仕組みが広がってますよね。イオンは、専用のスマホ風デバイスを自分でカートにセットして、そのまま会計までできたり。タブレットを使ったスマートレジもよく見ます。私たちが訪れたトライアルは、専用カートの手前中央部分にセンサーがあって、商品のバーコードを読ませるお買い物スタイルです。

宗像仙人
宗像仙人

そこまでは、他でもよくある。

編集部
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DXを標榜するトライアルが凄いのが、店内に設置されたカメラやセンサー、デジタルサイネージ、決済など、いろいろなテクノロジーが、各店舗で総合的に導入されている点。そんな様子を、テックフェチな客である私らが、勝手に熱く注目しているというわけです。

宗像仙人
宗像仙人

地域限定なら、Amazon Goに対抗できるのはトライアルじゃないか?と密かに思っとったけどね。

編集部
編集部

先に、アメリカ現地のAmazon Goが閉鎖されるとは思わなかったなぁ。治安とか商習慣とか、いろんな条件もあったみたいですが、間違いなく次の展開があるでしょうね。

宗像仙人
宗像仙人

トライアルは、買い物にも行くけど、店のいろんな仕組みを見に行くのも楽しい。

編集部
編集部

Webサイトを見たら、いつの間にか、九州だけじゃなく四国を除く日本各地に進出してるし。

宗像仙人
宗像仙人

俺がいつも行くのは、福岡市と北九州市の間、宮若市にあって巨大倉庫みたいなトライアル宮田店。レクサスを製造しとるトヨタ自動車九州宮田工場の近くやけん、トヨタの従業員さんたちが昼夜を問わず3交代で常に来客がある。

編集部
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だから、最高のロードテストの場になっているという(クルマ絡みなだけに…)。

アジャイルに実装とテスト、アップデートを繰り替えさねば

宗像仙人
宗像仙人

トライアルはいくつも形態があって、宮田店は大規模店の「スーパーセンタートライアル」。

編集部
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他にも「TRIAL GO」というコンビニ風なスマートストアとか、中規模店や、食料品や医薬品、ディスカウントストアに特化した店舗とかいろいろ。立地やビジネスの関係で、細かく最適化されてるんですね。

宗像仙人
宗像仙人

宮田店は、商品の認識は、カメラに読ませたバーコードと、カートに入った商品の重さで判断しとるっぽい。カミさんは、いろいろ試したいけど、まだ度胸がないんだって。

編集部
編集部

ショッピングを装った負荷テストのお客…警備員さんの注目を集めない程度にね(笑)。

宗像仙人
宗像仙人

コンパクトな「TRIAL GO」は、RFIDタグ(ICタグ)で商品管理して、レジを通るだけで会計できるみたいやね。AI顔認証カメラで夜中でもアルコール類を買えるようにしたり、マーケティングやオペレーションでもどんどん進化しよる。

編集部
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ICチップ入りの商品タグは、UNIQLOとかでもすでに導入されてるみたいです。もちろん、無人のセルフレジや、スマートチェックアウトができますよね。棚に付いた値札もスマート化すれば、売れ行きや時間、季節で自動的に値下げして売れやすくもできるし、廃棄や在庫も減らせる。

宗像仙人
宗像仙人

後は、さっきのAmazon Goの例やないけど、防犯対策と商品管理やな。バーコードとか重さとか、客の倫理観や常識とか、何か一つに頼り切るのもいかんけど、シールの一部に入るぐらい小っちゃくなれば、より正確やし、コストダウンにもなる。

編集部
編集部

そういえば最近、無人スーパーとかで、値段の安いもやしを一旦認識させといて、後でそれを和牛にすり替えて商品点数だけは帳尻を合わせて誤魔化すような、不届き者がいるんだって!

宗像仙人
宗像仙人

とにかく、何かの仕組みを変えるには、店舗のセンサーや設備、商品のタグ、レジの仕組み、人の導線、商品の受発注、在庫管理、物流、売上管理とか、全部関係するからな。

編集部
編集部

さらに他にも、人材教育や広告戦略、防犯対策、電力コストとか、いろんなことがつながってますからね。

宗像仙人
宗像仙人

そう。どの業界も、深刻な人手不足は人手じゃ改善できん。だったら、システム全体を見直して、テストして、現場で試し、短い期間で作り変えていかんとならん。それができるところが、生き残っていくやろね。

編集部
編集部

トライアルって、元々IT企業なんですよね?

宗像仙人
宗像仙人

そう。自分たちが小売りのシステムを開発して、その通りやったらちゃんと儲かったっていう話よ。他所がやるより、自分たちでやってみる方がノウハウも溜まるし。

編集部
編集部

店舗自体が、一つのショールームであり実践と実験の場になってます。自分たちでやってることの結果がそのまま実績になるってのは、強いですよね。いちユーザーとしては、取得された自分の情報の取り扱いという、セキュリティー面がちと気にならないわけではないです。キョロキョロし過ぎる私たちの様子は、もうフラグが立てられてる可能性もありますけど…。

宗像仙人
宗像仙人

取引先やろうかね、時々、スーツ姿のビジネスマンの一団が説明受けながら店内を動いてるのとか見る。とにかく、凄いよあそこは。わざわざ行く価値はある。

コロナ禍で増えた無人店舗が、働き手不足で徐々に広がる予感

編集部
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無人店舗といえば、コロナ禍の期間中から、気がついたら街中に冷凍餃子の自動販売機が凄く増えたんですよ。福岡市内に限らず、県外も、それも繁華街じゃなくて住宅地にもポツンとあったり、よく見掛けます。売ってる商品も、仙さん好きそうな酒のつまみとか、肉とか、種類も豊富。もちろん24時間営業。

宗像仙人
宗像仙人

冷凍技術が進んだから、ものすごい種類の自動販売機が日本中どこ行ってもあるやろ。肉や魚、刺身から、何でも。

編集部
編集部

自動販売機なら、コンビニやスーパーマーケットが近くになく、ガラケーしか使ってない高齢者でも使えますね。巡回販売に来てくれる軽トラックが頼りになってる地方とかも、助かるはず。

宗像仙人
宗像仙人

子育て世代や介護してる家族とかも。ひょっとすると、現金が使えるのも、当面は逆に強みかもしれん。

編集部
編集部

コンビニを縮小したような駅なかのコーナーとかでも、完全に無人のところが出てきてますもんね。都内だと、KINOKUNIYA目白駅店は無人店舗みたいです。駅の構内だから24時間営業じゃないけど、行ってみたい。

宗像仙人
宗像仙人

ある意味、ATMといっしょやな。後は補充だけすればよくて、誰か人が張り付いている必要はない。商品管理や売上もデータで取れる。B2CのECじゃなく、B2Bでモノが輸送できなくなる危機が迫る物流の2024年問題も、いずれは配送の自動化が導入されていくやろうし。

編集部
編集部

都心も地方も、働く側の人がいないという点では似たような状況だもんなぁ。すべてのコンビニが、大きな自動販売機化するようなイメージですかね。

宗像仙人
宗像仙人

税金対策の出店という面もあるみたいやけど、出店や閉店したり、営業時間を変えたり、商品を替えたりの自由度も高い。とにかく、完全な無人の小売店舗が一般化するまで、もう10年も掛からんと思う。

編集部
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その柔軟性と持続性を後ろで支えるのが、恐らくローコード・ノーコード開発基盤で作られたシステムなわけですね。

宗像仙人
宗像仙人

覗いたわけじゃないけど、それは間違いないやろね。


人が居ないなら、システムで何とかするしかありません。しかし、これは必ずしもマイナスにはならない、と。自動化・効率化・内製化することで、本当に必要な所に人材という貴重なリソースを割り振ることができます。また、変化にも迅速に対応できる柔軟性・拡張性が実現します。

これは、小売りの現場もソフトウェア開発も同じだということを垣間見ました。が、実は店舗だけの話じゃなかったんです!その話は次回へと続きます!!

この記事の内容は、個人的な見解や感想であり、リープリーパー編集部や運営組織を代表するものではありません。

この記事でインタビューをした方

宗像仙人 / Sennin Munakata 
テクノロ爺

量子コンピューターやAI、常温核融合など、テクノロジー全般に関心が尽きない元ITコンサルタント。趣味も幅広く、万年筆やアルコールから、軍事研究、最新アニメ番組のチェックまで。福岡県宗像市のオススメは、沖ノ島と道の駅。

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