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DX

ビジネスをプロセスとして見える化するBPMが、今なぜ重要なのか?

リプリパ編集部

BPM(ビジネスプロセスマネージメント)をご存じですか?今回は、今のビジネスで非常に重要な要素の一つである、BPMの基礎に触れてみましょう。仕事の種類に関係なく、業務を効率化・最適化するには、このBPMの視点が不可欠です。

BPM(ビジネスプロセスマネージメント)とは?

似たような略語がいくつも登場するので、一つずつ見ていきましょう。まずは、BPMから(1分間の拍数を示す音楽用語も同じ略号ですが、そちらは忘れてください)。

BPMとは、ビジネスプロセスの継続的な監視、管理、最適化を目的としたアプローチです。企業活動は、さまざまな「業務プロセス」によって構成されています。例えば、見積を取って発注先を選定し、契約書を交わして発注する。納品時期と配送ルートを検討し、工場や倉庫の稼働状況と調整する。販促キャンペーンを企画し、実施計画を練る。販売数や売上を集計する。これら、開始から終了まで、一連の業務プロセスを分析して見える化し、改善したり自動化する管理手法をBPMと呼びます。

なぜ、BPMが重要なのか?

BPMは、プロセスの効率や品質を向上させることを目的とし、ITを利用して持続的に監視・分析・改善します。では、このBPMがなぜ重要なのか?その主なポイントを整理してみましょう。

BPM(ビジネスプロセスマネージメント)のアドバンテージ

効率の向上BPMは業務プロセスを明確にすることで、無駄を減少させ、効率を向上させます。もちろん、売上確保や経費削減にも直結します。
柔軟性の確保変化するビジネス環境に迅速に対応するために、業務プロセスを簡単に変更・最適化できる環境を整備します。
顧客満足度(CS)の向上より快適で上質なサービスを迅速に提供することで、顧客の期待を超えるサービスを実現できます。
コンプライアンスの遵守組織には透明性と説明責任が問われる現代。プロセスを明確にして管理し、規制への適合や内部統制を強化します。
イノベーションの促進プロセスの見直しや最適化を通じて、新しいアイデアや改善策が生まれやすい文化を醸成します。

BPMが必要とされるようになった背景とは?

BPMが必要になり、重要視されるようになった歴史的な背景や経緯を踏まえると、より立体的に理解できるはずです。

産業構造の転換18世紀半ばから19世紀の産業革命以降、大量生産・大量消費の時代が到来し、組織内の業務プロセスの効率化や標準化が求められるようになりました。
総合的品質管理と
プロセスの再構築
1980年代から1990年代初頭に掛けて、製造現場だけでなく全社で品質向上に取り組む「総合的品質管理 TQM」や、業務プロセス全体の抜本的な見直しと再構築である「BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)」という概念が生まれました(後者はこの後解説します)。
IT技術の発展1990年代後半から2000年代に掛けて、情報技術の発展と普及が加速し、BPMの概念が確立しました。ITを使ったプロセスのモデリングや自動化が可能となり、一層BPMを導入しやすくなりました。
グローバル化国境を越えた企業間の競争が激化する中、短期間での市場への対応や業務効率化が必須となり、BPMの重要性が一層高まりました。
DXの推進近年、BPMは、創造的破壊としてのDXの中核を担う要素として注目されています。

関連記事もご覧ください。

BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)とは?

BPMと、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)は、いずれも、組織の業務プロセスの最適化や効率化を目指す点は共通しています。しかし、アプローチや焦点、そして目的において以下のような違いがあります。

BPM(ビジネスプロセスマネージメント)の主な特徴

  • スケールと範囲:小さなスケールで継続的な改善を追求する
  • リスク:継続的かつ段階的なアプローチを取るため、リスクは相対的に低い
  • 期間:長期的な視点での取り組みが必要
  • テクノロジーの使用:プロセスのモニタリングや管理に、テクノロジーを積極的に活用

一方、BPRは、組織の根本的な業務プロセスを大胆に再設計することを目的としたアプローチです。既存のプロセスや構造を一度無視して、最も効果的なプロセスをデザインすることを目指します。組織の状況や目的に応じて、BPMとBPRを、適切に選択・組み合わせることが必要です。

BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)の主な特徴

  • スケールと範囲:再構築により、大規模な変革を目指す
  • リスク:大きな変革や劇的な改善を目指すため、リスクが高いこともある
  • 期間:短期間で大きな成果を目指す
  • テクノロジーの使用:再設計の初期段階では、必ずしもテクノロジーの使用が中心ではない

近年のBPMに関するトレンド

近年のBPMに関するトレンドにも触れておきましょう。これらの潮流を踏まえ、ユーザーのビジネス環境や課題に合わせて、最適なBPMの導入や適用を考えることが重要です。

クラウドベースの
BPMツール
クラウド環境の普及に伴って、クラウドベースのBPMツールが増えています。SaaSとして、導入コストの削減や、リモートワーク環境でのスムーズなプロセス管理を実現しています。
RPAとの統合ノーコードツールの一つであるRPA(ソフトウェアロボットによる自動化)の導入が進む中、BPMとRPAの統合が求められています。単純作業を自動化するだけでなく、ビジネスプロセス全体が最適化できます。
顧客満足度の最適化BPMを通じて、エンドユーザーや顧客体験(CX)を最適化する取り組みが増えています。顧客対応のプロセスを見直すことで、顧客満足度(CS)の向上を目指し、エンゲージメント(親密度)を高めています。
AIとBPMBPMの分野でも、最も熱い注目を集めているのがAIです。AI技術の進化により、ビジネスプロセスの分析や予測、最適化が進んでいます。過去のデータから、最適な業務フローをAIが提案するような応用が期待されます。

BPMやBPRで活躍するのがビジネスアーキテクト!

BPMやBPRに関する取り組みは、多くの場合「ビジネスアーキテクト」と呼ばれる専門家が中心となって進みます。その役割は、ビジネス戦略の設定や業務プロセスの設計・最適化、各ステークホルダーとのコミュニケーションなどを担います。

以下のような専門家たちや上層部との連携が不可欠です。

  • プロジェクトマネージャー:BPMやBPRの取り組みをプロジェクトとして管理し、目標達成をサポート
  • ビジネスアナリスト:ビジネスの要件やニーズを分析し、それを基にした業務プロセスの改善を提案
  • ITアーキテクト:技術的側面からビジネスプロセスの実装や自動化をサポート
  • 経営層:BPMやBPRの取り組みにおける戦略的方向性を決定し、必要なリソースやサポートを提供

ERP(エンタープライズリソースプランニング)とは?

もう一つ、似たような略語ですが、ERP(エンタープライズリソースプランニング)があります。BPMとは異なる概念ですが密接に関連しているので、概要だけでも一緒に理解しておきましょう。

BPMとERPは、補完的な関係にあります。ERPを導入する前に、まずBPMで、業務を実行するプロセスの洗い出しや設計、最適化を進めておきます。そして、プロセスを具体的にサポートするための実際のツールやシステムとして、ERPで効果的に運用するフローが効率的です。ERPは多くの場合、組織のコアな業務プロセスをサポートしているので、ERP導入時のカスタマイズの範囲やコストを削減できます。

BPM(ビジネスプロセスマネージメント)の主な特徴

  • 目的:ビジネスプロセスの分析や設計、実装、モニタリング、および最適化するための方法論やツールを提供する
  • 利点:業務の効率化、プロセスの可視化、業務の改善や最適化、変更への迅速な対応など

ERP(エンタープライズリソースプランニング)の主な特徴

  • 目的:組織内のさまざまな業務領域(財務や人事、製造、供給鎖、顧客関係など)を統合的に管理するためのソフトウェアシステム
  • 利点:データの一元化、組織全体の情報の透明性、業務の自動化、意思決定の迅速化など

ただし、ERPサービスを使えば自動的にBPRができるわけではないことには注意しましょう。どちらも、ビジネスの効率化や最適化を追求する上で、重要な役割を果たしますが、両者を適切に連携・活用することで、組織の高い競争力が期待できます。


ますます変化が激しく、高速に、複雑化して先行きが不透明な現代は、VUCAとも呼ばれます。テクノロジーの進化に限らず、サードパーティーCookie規制や、新型コロナウイルス後のニューノーマル、世界情勢の影響など、次々と変化は押し寄せます。その変化に対応するためのDXが叫ばれている中、BPMやBPRは中心的な役割を担っていて、プロセスの効率化や自動化を実現するためのツールとして重要視されています。次回は、BPMをグラフィカルに表示する記法BPMNや、ローコード・ノーコード開発プラットフォームとの関係を見てみましょう。

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