ローコード・ノーコード

ローコード開発の普及で人気急上昇は意外なエンジニア職○○○!?

kotobato

ローコード・ノーコード開発プラットフォームの普及が進む中で、実は、意外な職種が注目を集めて、求人や年収も増えている動きがあります。それが、テスター。

従来、テストは開発プロセスの一部、ともすると「ついでのタスク」的に位置づけられていました。それが、ローコード開発の導入で、その役割や重要性が大きく変化しています。ローコード開発におけるテストの役割の変化、テストの自動化・効率化、エンジニアとしての存在価値、そしてローコードとAIの融合によるテストの未来などについて考察してみましょう。

ローコード開発におけるテストの役割の変化

ビジュアルプログラミングにより、手作業でコードを書かなくてもソフトウェアを開発できるローコード開発プラットフォームは、いわば「ソフトウェア開発の民主化」。ビジネスユーザーや非エンジニアなど、高度な専門知識がなくても、自分の手元で開発できる環境を提供しています。内製化による効率化や、DX人材の確保・育成の切り札と期待されています。

しかし、ソフトウェアとは永遠に未完成で、リリースした瞬間がもう次のリリースのスタート。品質を確保し続けるには、定期・不定期のテストが不可欠です。テストは、従来のプロセスでは開発エンジニアが担当するタスクでしたが、ローコード環境ではテスターの役割がより重要になっています。

というのもテスターは、後述するようにローコードとAIでさらにシステムが高度化・複雑化する環境で、ビジネス要件を理解したユーザー視点が求められるからです。リリースの頻度に合わせてテスト回数が増える中、ただバグを見つけて報告するだけではなく、ユーザー体験(CX)を向上させる重要な役割を担う存在へと進化しています。

例えば、OutSystemsやSalesforce、kintoneなどのローコード開発プラットフォームでは、ユーザーがアプリケーションを構築するプロセスに、テストの自動化機能が組み込まれています。テスターがより戦略的な役割を果たすことは、開発プロセス全体の効率化にもつながります。

▼OutSystems | 株式会社BlueMeme
https://www.bluememe.jp/outsystems/index.html

テストもローコードとAIでさらに自動化・効率化

ソフトウェア開発で徐々にローコードに拡がるのに伴って、テストプロセスも自動化される傾向にあります。開発ツールに組み込まれた機能だけでなく、より強力な外部の専用サービスを使うメリットもあります。

ここでも重要な新機能が、AI連携。AIを活用したテスト自動化ツールは、テストケースの生成や実行、結果の分析を迅速に処理できます。テストの実行頻度と精度が増し、早期にバグを発見できるため、開発サイクル全体の短縮やコスト削減にも寄与します。

  • 自動テストケース生成:アプリのコードや仕様を解析し、自動的にテストケースを生成して、手動の手間を削減。必要なテストデータも生成し、データの整合性やバリエーションを確保して、テストの質を向上。
  • テスト結果の予測分析:過去のテストデータを基に次回のテスト結果を予測し、リスクの高い部分を特定して、優先的にテストを実施。また、アプリの変更履歴やバグの発生頻度を分析し、どのテストを優先的に実施すべきかを提案。
  • 自然言語処理による仕様書の生成:自然言語処理技術を使って、ビジネス要件や仕様書からテストケースを自動生成し、テストの整合性を保つ。
  • 異常検知と自動修正提案:テスト中にリアルタイムでフィードバックを提供し、テストプロセスの改善点を提案して、効率的なテストを実現。異常を検知したら、過去のデータを参照して自動的に修正を提案し、迅速な問題解決を支援。
  • ユーザー行動のシミュレーション:実際のユーザー行動を学習し、リアルなシナリオに基づいたテストを実施して、より実践的な結果を得る。
  • テストのカバレッジ分析:コードのカバレッジを分析し、まだテストしていない部分やリスクの高い部分を特定して、テストの網羅性を向上。
  • チーム間の知識共有の促進:テスト結果やバグの情報を分析し、チーム内での知識共有を促進するレポートやダッシュボードを自動生成。

人間のテスターとしての存在価値とは?

ここまでテスト専用サービスがカバーしてくれると、もはや人の存在は不要のようにも思えます。しかし、人間としての存在価値は依然として重要です。

人間のテスターは、直感や経験に基づいた判断を下すことができ、自動化ツールやAIだけでは捉えきれない、微妙なユーザー体験を評価する視点が求められます。例えば、仕様としては間違いではなくても、何となくUXに違和感や使いづらさを覚えるようなことは、一般的によくある話。操作性やUIデザインに関するフィードバックは、人間としてのテスターの主観的な判断が重要な要素となります。

また、テスターは開発チームと密接に連携し、ビジネス要件やユーザーのニーズを理解することで、より効果的なテスト戦略を考える立場です。特に、開発と運用を区分けしないDevOpsが前提となるローコード開発環境では、テスターが開発エンジニアと協力してアプリケーションの設計段階から関与できます。

つまり、人間のテスターは単なる「バグハンター」や品質保証役ではなく、テストの観点からのフィードバックを早期に提供し、開発プロセス全体の品質を向上させる職種です。プロダクトの成功に貢献する重要なメンバーとして積極的に関与することで、ビジネス価値を創出することに貢献できます。

テスターを含む、人間としてのエンジニアの価値については、また後日、考察してみましょう。

ローコード+AI時代におけるテストの未来とは

ローコード+AIによって自動化・省人化が進み、非エンジニアでもシステム開発やテストに関われるようになります。高度なスキルを持つ人材でなくてもいいので、属人化も減らせ、人件費や教育、事業継承・拡張の点でも有利に。

そして、開発からテスト、修正のリリースサイクルが短く高速になる一方で、ローコード開発やテストツールが判断できなかったり見落とすエラーを、人が判断する重要度が上がります。矛盾するようですが、こちらはむしろ属人化する「匠の技術」の世界です。

つまり、これからのテスターはビジネスも深く理解した、より戦略的な役割にシフトできる—というより、ビジネス価値を最大化するためには、そうならざるを得ません。

では、実際のところ、テスターはエンジニアのキャリアとしてどのぐらい人気なのか?求人や年収といった、生々しい実態は?次回はその辺りをリサーチしてみます。

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リプリパ編集兼外部ライター
企画制作や広告クリエイティブ畑をずっと彷徨ってきました。狙って作るという点ではライティングもデザインの一つだし、オンラインはリアルの別レイヤーで、効率化は愛すべき無駄を作り出すため。各種ジェネレーティブAIと戯れる日々です。
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