他律的・自律的な組織の違いとは?成功するチームマネージメント術
今の仕事、楽しいですか?プロジェクトは、スムーズに進んでいますか?
チームの性格を示す「他律的」「自律的」というキーワードがありますが、リープリーパーでは、アジャイル開発と相性がいい自律的チームを推奨しています。
今回の記事では、両者の違いを理解して特徴を活かすことで、組織の生産性やイノベーションを高める方法を詳しく解説します。チーム状態を診断できるチェックリストもあるので、最後までお見逃しなく。
他律的チームと自律的チームの違いとは?
まず注意しておくべき点は、チームの運営方法としての「他律的」「自律的」というアプローチは、組織や目的によっても向き不向きがあるので、優劣を示すものではないこと。リープリーパーでは、自律的なチームによるアジャイルなアプローチを推奨しているため、その視点からの解説だという点はご注意ください。
- 他律的チーム:外部からの指示やルールに従って動く、中央集権型の管理体制
- 自律的チーム:メンバーが主体的に意思決定し、柔軟に対応するフラット型組織
他律的・自律的なチームの診断チェックリスト
この両者の違いは、今、自分がいるチームに当てはめて考えるのが最もわかりやすいはず。以下の10の設問に「はい・いいえ」で答えてみてください。
- チームの意思決定には、上層部以外も参加できる。
- ルールやマニュアルはあるが、状況によっては例外も認められる。
- メンバーの役割は必ずしも固定されておらず、柔軟に変更される。
- 突発的な問題が発生した時も、最短の時間で対応できる。
- 会議や承認プロセスが最小限で、迅速な意思決定が可能だ。
- 個々のメンバーが主体的に行動することが奨励されている。
- 改革や新しいことへの積極的な挑戦が推奨されている。
- チャレンジした結果が失敗でも、そこから学べる文化がある。
- KPIなどの指標はあるが、柔軟に改善・変更の余地がある。
- チーム内での情報共有が自由で、透明性が確保されている。
さて、結果はどうでしたか?「はい」が多いほど、自律的な傾向にあるチームだといえます。この結果を元に、チームや自分自身にどのようなアプローチが必要か検討しましょう。
BANI時代に求められる自律的チームの重要性
現代のビジネス環境は、BANI(脆弱、不安、非線形、理解不能)と呼ばれる不確実な状況が特徴です。先の変化が全く予測不能で、前例が参考にならないため、組織も個人も不安に満ちています。その解決策として、自律的なチームとアジャイルな手法がますます重視されています。
自律的チームの特徴
- 迅速な意思決定:予測不可能な変化にも素早く対応できる
- 柔軟な対応力:組織全体の適応力やレジリエンス(回復性)が高まる
- メンバーの成長促進:個々のスキル向上が組織の競争力につながる
- 持続的なイノベーション創出:新しいアイデアを生み出し、実行しやすくなる
- 高いエンゲージメント:メンバーが組織に対して主体的に貢献する意識が強くなる
自律的チームを構築するためのステップ
前述のチェックリストの結果、意識しなくてもすでにある程度、自律的な環境が整っていたチームもあるでしょう。その場合は、範囲やスピードを拡げてフィードバックも得ながら、よりよい効果が得られるように引き続き進めていきましょう。
一方、他律的なチームが自律的なチームへと転換するには、かなりハードな改革が必要です。組織体制や歴史、文化、慣習など、さまざまな壁が立ちはだかるのは当然で、ボトムアップとトップダウン、両方からのアプローチが必須。
繰り返しますが、他律的チームが悪い・古いわけではありません。むしろ他律的な管理・運営でなければ進行が難しい組織やプロジェクトはあり、どちらの方が特徴を活かして結果が出せるかが重要です。
検討の結果、自律的なチームへと変化することが必要であれば、後はリーダーの決断次第。目的を意識し、チームの規模や時間軸ごとに、可能な範囲と手法で進めていくことが必要です。
自律的チームを構築するポイント
- ビジョンとゴールの共有:チームが向かうべき方向性を明確にし、メンバーと共有
- 心理的安全性の確保:意見を自由に言える環境を整え、挑戦を推奨する文化を醸成
- 継続的な学習とスキル向上:必要なスキルをチーム全体で学び、実践する機会を提供
- 意思決定プロセスの明確化:個々の裁量を尊重しつつ、適切なガイドラインを設定
- 評価制度の最適化:チームの成果を公平に評価し、報酬やインセンティブを調整
- ツールとサービスの活用:効果的なプロジェクト管理ツールを導入し、業務効率を向上
規模や時間軸に応じた自律的チームへの移行
小規模チーム(10人以下)/初期
- オープンな意識と言動で、情報共有を促進
- メンバーに裁量を持たせ、フラットな意思決定の文化を醸成
- メンバー同士の貢献を認め、小さな成功体験を繰り返して蓄積
- チーム内での振り返りを習慣化し、学習する組織文化を形成
- リーダーは意志決定層(の一部)とやり取りし、下地を形成
中規模チーム(10〜50人)/中期
- アジャイル手法を取り入れ、スプリントを短縮
- 継続的なフィードバック文化を構築
- 権限移譲をさらに進め、メンバーの裁量をプラス
- メンター制度を導入し、リーダーシップを分散
- 役割の流動性を高め、多様なスキルを活用
大規模チーム(50人以上)/後期
- リーダー層自身がマインドセットを変革し、継続的に学習
- OKR(目的と結果 Objectives and Key Results)フレームワークを導入し、チーム目標を明確化
- 自律的なサブチームを形成し、階層構造を最適化
- コミュニケーションツールを活用し、情報の透明性を確保
- 部門間のコラボレーションを促進し、全体を最適化
アジャイルな自律的チームとして
他律的なチームと自律的なチームには、それぞれメリットとデメリットがあり、対立するものではありません。これは、ウォーターフォール開発とアジャイル開発にも、それぞれの特徴やメリット・デメリットがあるのと似たような関係です。
組織の持続的な成長を促進するには、戦略的なアプローチが求められます。リープリーパーは、激しい変化に適応できるアジャイルな自律的チームを推奨しています。
BlueMemeも、最初からメンバー全員が自律的なわけではありません。経験が浅く自分で判断することが怖い若い世代や新卒入社の新人もいれば、厳しい管理下での働き方に慣らされていた中途入社の人もいます。アジャイル開発の経験と知識を活かし、顧客企業の組織変革を支援していく中で、私たち自身も、自律的なチームとしてのアップデートを繰り返しています。
私たちの経験とノウハウを、御社の成長に活かしてみませんか?どうぞお気軽にご相談ください。


