博士課程学生の国際誌論文チャレンジ日記-投稿と査読、リバイス編
皆さん、論文のリジェクト(却下)についてご存じですか?
バイオインフォマティクスの研究者である筆者も、ついに論文を投稿したものの、リジェクトの洗礼を受けました。その過程で、初めての査読コメントをもらい、リバイス(修正)作業まで経験できました!
今回は、そんな山あり谷ありの道のりを振り返ってみます。一般の皆さんにも、研究者がどのように論文に取り組んでいるかを、少しでも理解してもらえると嬉しいです。
濃厚な5ヶ月間を過ごして
一般に論文は、大きく分けて以下のようなステップを踏みます。
投稿→初回判定→査読→校正刷り→出版
ジャーナル(学術雑誌)に投稿された論文の原稿は、まず編集者(エディター)によって読まれます。この段階で、仕様を満たしているか、査読に回す価値があるかが判断されます。
この後、詳しく説明していきますが、この5ヶ月間は以下のような状況でした。
| 5月 | 初投稿!→リジェクト1 |
| 6月 | 投稿2→リジェクト2 |
| 7月 | 投稿3→リジェクト3…目標を再設定! |
| 8月 | 初の査読コメント! |
| 9月 | アクセプト待ちのドキドキ |
投稿前の論文の準備については、5ヶ月前の記事で紹介したので、ぜひ合わせてお読みください。9月中旬現在、リバイス版を提出して、今まさにアクセプト(採択)の結果を待っているところなので、とてもドキドキしています。研究職の皆さんには、私のリアルな経験が参考になったら幸いです。
そもそもバイオインフォマティクスって何?
改めて、私の研究分野について簡単に説明させてください。バイオインフォマティクスって聞いたことありますか?これは、生命科学とコンピューターサイエンスを融合させた、めちゃくちゃエキサイティングな学際的研究分野なんです。膨大な生物学的データ(ゲノム、タンパク質、遺伝子発現など)を計算機でガンガン解析して、生命現象の理解を深めることを目指しているんです。
で、この分野のトップジャーナルにはどんなものがあるかというと、以下のとおりです。これらのジャーナルは、インパクトファクター(IF)がとても高くて、採択されるのは本当に難しいです。
- Nature系列:Nature Biotechnology、Nature Methods、Nature Computational Science
- Cell系列:Cell、Cell Systems、Cell Genomics
- 専門誌:Genome Research、Nucleic Acids Research、Bioinformatics、Briefings in Bioinformatics
- 学際誌:Science、PNAS
インパクトファクター(IF)って何?
インパクトファクター(Impact Factor, IF)も、研究職以外ではあまり耳馴染みがない用語でしょう。これは学術雑誌の影響力を測る指標の一つなんです。どういう指標かというと、過去2年間にその雑誌に掲載された論文が、翌年にどれだけ引用されたかの平均値を示しているんですね。
例えば、IF=10の雑誌だったら、掲載論文が平均して10回引用されるってことです。で、一般的にIF>10は高インパクト、IF>20になると超高インパクトとされています。
投稿からリジェクトの洗礼へ!(2025年5月~7月)
2025年5月上旬:最初の挑戦
初投稿の日!満を持して、最初の目標ジャーナル(ジャーナル1)に論文を投稿したんです。Nature系列のような、IFが10を超える高難度のジャーナルでした。指導教員から『まずは高いところから狙え!』というアドバイスをもらって、えいやっと投稿しました。
5月下旬:最初のリジェクト
投稿から約3週間。毎日メールボックスを開くたびにドキドキしてたんですが、ついにその日が来ました。
“We regret to inform you…”
ああ、来ちゃった…査読に回る前の段階で、エディターによるデスクリジェクトでした。論文の新規性や重要性が、そのジャーナルの基準に達していないって判断されたみたいです。
5月下旬~7月初旬:リジェクトの連続
気を取り直して、次のジャーナル(ジャーナル2)にすぐに投稿しました。結果は?6月下旬にリジェクト。さらに7月初旬、ジャーナル3にも投稿。これもなんと数日でリジェクト!
3連続のリジェクト。しかも全部、査読プロセスに回る前の段階でした。この時期は心を無にしていました。でも戦略を見直すことにしました。
7月中旬:戦略の転換
ここで作戦変更です!一段階IFを下げて目標を再設定することにしました。
選んだのは、イギリスに出版社があるジャーナル(ジャーナル4)。私の研究分野では十分に評価の高い雑誌に投稿することにしました。
ジャーナル毎に、雑誌のフォーマット要求(字数とか、図表の数とか)が微妙に異なるので、その都度変更するのは面倒臭いですが頑張ります。
ついに来た!初めての査読コメント(8月中旬)
そもそも査読プロセスって何?
論文の査読(ピアレビュー)は、研究の質を保証する、めちゃくちゃ重要なプロセスなんです。
冒頭で大まかな流れを簡単に説明しましたが、投稿された論文は、まずエディター(編集者)が初期審査をします。そこで雑誌の基準を満たしていれば、その分野の専門家(査読者)に送られます。査読者は論文を詳細に検討して、科学的妥当性や新規性、重要性とかを評価してコメントを返してくれます。
待望の査読コメント
ジャーナル4に投稿してから約1か月。ついに!ついに査読者からのコメントが返ってきました!
査読に回った!(8月末)
もう、この瞬間の喜びは言葉にできません。4回目の挑戦で、やっと第三者の専門家に論文を読んでもらえたのです。
査読者は2名。コメントは基本的にポジティブな内容でした!論文の新規性や手法の独創性について肯定的な評価をいただいて、嬉しかったです。もちろん、改善すべき点もたくさん指摘されましたけど、それらは全部、論文をより良くするための建設的な提案でした。
Major Revisionって何?
査読結果は、実は4つのカテゴリーに分類されます。」
- Accept(採択):そのまま掲載可能(これは奇跡!)
- Minor Revision(軽微な修正):小さな修正で採択可能
- Major Revision(大幅な修正):追加実験や大幅な書き直しが必要
- Reject(却下):採択不可(これは悲しい…)
で、私の場合はどうだったかというと、明記はされていなかったんですが、コメントの内容からMajor Revisionに相当すると判断しました。追加実験とか解析の拡張とか、論文構成の改善とか、相当な作業量が必要だったんですね。
査読コメントの内容(抽象化して説明)
具体的なコメント内容は言えないんですが、大きく以下のような指摘がありました。
- 実験条件の拡張:異なる条件下での検証の必要性
- 実験条件の妥当性の証明に関する検証
- 手法の一般化:より広範な適用可能性の検証
- 技術的詳細の追加:手法の理論的背景の詳細な説明
- 再現性の検証:得られた結果が別の解析でも再現するかどうかをチェック
どれも「なるほど!」って思う的確な指摘で、論文の質を高めるために本当に必要な改善点でした。今回、査読者の方々にはとても丁寧に見てもらえました。
リバイス作業の過酷な3週間(8月~9月)
〆切はたったの3週間!
査読コメントが返ってきたことに、喜んでばかりもいられません。というのも、リバイス版の提出〆切まで約3週間しかないんです!
計算系の研究では、追加実験のために大量のコードを書いて、時間のかかる計算を実行して、さらに論文の修正とコメントへの回答書作成も必要です。
これは過酷なスケジュールでした。
リバイス作業の実際
1. ひたすらコードを書く
複数の追加実験が必要だったので、並行してコード開発を進めました。で、ここで大活躍したのがClaude Codeなんです!
Claude Codeを使うことで、通常なら1週間かかる実装を、何と1日で完成させることができたんです!特に、複雑なデータ処理パイプラインの構築とか、統計解析スクリプトの作成とか、もう本当にその威力を実感しました。
2. 計算機での実験実行
実装したコードを使って、大規模な計算実験を実行しました。GPUを24時間フル稼働させて、ひたすら結果を待つ日々。エラーが出れば修正して、また再実行。この繰り返しです。
3. 指導教員とのフィードバック
追加実験の結果が出るたびに、指導教員と議論しました。「この結果はどう解釈する?」「論文にはこう反映させた方がいいかな?」といった感じで。責任著者である指導教員の的確なアドバイスは、本当にリバイス作業の道標となりました。
4. 作図と論文修正
新しい実験結果を反映した図表を作成しました。
5. 査読者への回答書作成
すべてのコメントに対して、丁寧に回答する必要があります。これはとても重要なルールです。その理由は、以下のとおりです。
- 査読者は無償で時間を割いてくれている(本当にありがたい!)
- 建設的な批判は論文の質を高める(これは間違いない)
- 誠実な対応が信頼関係を築く(これが大事)
回答書では、まず査読者への感謝を述べ、各コメントに対して以下のように回答しました。この作業も、かなりの時間を要しました。でも、査読者の方々への感謝の気持ちを込めて、一つ一つ丁寧に書きました。
- 「おっしゃる通りです」と、指摘への同意や理解を示す
- 「こういう風に対応しました」と、実施した内容を具体的に説明
- 「論文のどこをどう修正しました」と明記
実は幸運だった査読者の指摘
実は、追加実験の結果は、多くが好ましいものでした。査読者の指摘に従って実験を拡張したら、何とより強固な結論を導くことができたんです。これは読者のコメントが的確で建設的だったことの証明でもあります。査読はすごいなと思いました。
今回の経験から学んだこと
1. 初めての研究者体験
人生で初めて、論文の投稿→リジェクト→査読→修正という研究者として必要な一連の作業を経験できました!これは博士課程の重要なマイルストーンだと感じました。
2. リジェクトは当たり前、試行数が大事
4回の投稿で3回リジェクトされました。でも、これは珍しいことじゃないんです。むしろ、リジェクトが当たり前だと受け入れることで、精神的な耐性がついたと感じます。
今回一番嬉しかったのは何か?それは、リジェクトを繰り返した末に、初めて査読コメントが返ってきた瞬間です!自分の研究に対して第三者の専門家からフィードバックを受けられたことに、まだアクセプトされていないのに本当に大きな達成感を感じました。「やっと研究者の仲間入りができた!」って感じた瞬間でした。
3. 査読とリバイスを経て論文は「完成」する
実は、提出時点では論文ってまだ未熟だったんです。査読者からの指摘を受けて初めて、「あ、ここが弱点だったのか!」「ここをもっと改善すべきだったのか!」という点が明確になりました。
リジェクト→査読→修正という高難度で過酷な作業を経ると、より「論文がアクセプトされてほしい!」という気持ちが強くなります。単に論文を書くだけじゃなくて、この過程を経ることが大事です。
4. AIの活用は必須!
修正作業の高速化において、AIの活用は本当に重要でした!実装の作成や実験計画の立案、執筆の場面で全面的に活用したんです。特にClaude Codeは、まるで優秀な共同研究者のように、アイデアを形にする手助けをしてくれました。
これからの研究者にとって、AIツールを使いこなすことは間違いなく必須のスキルになるでしょうね。
そもそもアクセプトって何?
改めて、論文がアクセプト(採択)されるって、どういうことか?これは、その研究が科学的価値があると認められることです!アクセプトされると、こんなことが起きます。つまり、アクセプトは研究の「終わり」じゃなくて「始まり」でもあるんですね。
- 正式な学術記録として永続的に保存される(すごい)
- 世界中の研究者が読んで、引用できるようになる
- 研究者としての実績となる(大事)
- 新たな共同研究のきっかけになる
- 議論とネットワークが生まれる
今後の展望
2025年9月中旬現在、リバイス版を提出して、今まさに結果を待っているところです。うまくいけばアクセプト。だめならまた別の雑誌に挑戦。正直、めちゃくちゃ頑張ったので、できればアクセプトされたいです!
もしアクセプトされれば、めでたく出版を経て、世界中の研究者に読んでもらえます。自分の研究が誰かの役に立って、新しい発見につながるかもしれない。そう考えると、ワクワクが止まりません。
これから論文執筆に挑戦する研究職の方々へ。リジェクトされても落ち込まないでください!それは通過点に過ぎません。粘り強く挑戦を続ければ、必ず道は開けます。私が保証します!そして、周りの皆さんも、研究職のこういった地道な取り組みをぜひ応援してください。
次回は、願わくばアクセプトの報告ができることを祈りつつ、引き続き研究に邁進していきます。
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