量子コンピューターを学ぶYouTube番組と最近の量子ニュース4選
今回の記事では、量子コンピューターの概念を分かりやすく解説したビデオと、日々変化し続ける量子コンピューター業界の最新ニュースを紹介します。量子コンピューターについて全く知らない人からある程度知っている人まで、幅広く楽しめるソースをセレクトしたので、ぜひチェックしてみてください。
1.【対談】ヨビノリ×藤井先生
短時間で量子コンピューター研究の最新トレンドを理解(18分)
量子コンピューター研究の最前線【学術対談】
最初に紹介するのは、YouTubeチャンネル『予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」』(通称:ヨビノリ)に投稿された、ヨビノリたくみさんと大阪大学の藤井啓祐教授との対談です。
ヨビノリチャンネルは、主に大学の数学や物理の解説ビデオを配信していて、2023年5月現在でチャンネル登録者数は98万人を超えています(筆者もチャンネル登録してビデオを見ています!)。難しい数学や物理の概念をわかりやすく、面白く解説する講義がメインですが、それだけでなく、研究者との対談も豊富です。
このビデオでは、量子コンピューティングの研究において、世界をリードする研究者の一人である藤井先生と量子コンピューター研究の最前線について対談しています。
▼大阪大学大学院基礎工学研究科藤井研究室
https://quantphys.org/wp/qinfp/
また、これ以外にも量子コンピューターや量子力学のビデオも公開されています。量子コンピューターについてわかりやすく、かつ本格的に学びたい人にとって、おすすめのチャンネルです!
量子コンピューターの二大巨頭と対談しました
2.【対談】茂木健一郎×藤井先生
わかりやすい解説と面白いディスカッション、初学者に特におすすめ(90分)
【トップ研究者が90分解説 量子コンピューターの全て】2050年までに世界は激変/日本は米中に追いつける/量子コンピューターをビジネスに生かせ/新しい量子ネイティブの時代
次に紹介するのは、YouTubeのPIVOT公式チャンネルに投稿された、脳科学者茂木さんと前述の大阪大学藤井先生の対談です。
量子コンピューターの原理から最新の開発動向、将来への期待まで、茂木さんが藤井先生にあらゆる角度で質問する形式で進んでいきます。特に日本国内の話は、理化学研究所の国産量子コンピューターなど、深掘りされています。時間は約90分と少し長めですが、量子コンピューターに詳しくない一般の人が見てもわかりやすく、面白い内容でおすすめです。
リープリーパーで量子コンピューターの原理について触れた記事もぜひご覧ください。
3.【プレスリリース】量子コンピューターの実用化を早める 新たな量子計算アーキテクチャを確立
一万程度の中規模な物理量子ビット数でも高精度な量子エラー訂正を実現(2023.3.23)
後半紹介する2つは、専門的な内容内容です。このプレスリリースは、前述のビデオに出演された大阪大学の藤井先生のチームと、富士通の共同研究の成果に関するニュースです。記事では、量子コンピューターの実現に不可欠な、量子エラー訂正に必要な物理量子ビット数を大幅に低減することが可能になったと発表されています。
従来のコンピューター(古典コンピューター)では、エラーの修正に誤り訂正符号が使われますが、量子コンピューターではそのプロセスがはるかに複雑で、100万以上の物理量子ビットが必要とされています。
報告された手法では、1万物理量子ビットあれば、古典コンピューターにおける最高性能の約十万倍に相当する、64論理量子ビットの量子コンピューターを構築することが可能になったそうです。このレベルの量子コンピューターになると、スーパーコンピューターでもシミュレートが難しい計算が可能になります。古典コンピューターの計算性能を超える量子コンピューターの実用化を加速する、高効率位相回転ゲート式量子計算アーキテクチャを確立した、と報告されています。
[用語解説]
物理量子ビット:量子コンピューターで直接操作される、基本的な情報の単位。特定の物理的システム(超電導回路方式、イオントラップ方式、光方式など)で実装される。物理量子ビットは環境ノイズや操作エラーの影響を受けやすく、その状態は時間とともに消えてしまう可能性がある。
論理量子ビット:複数の物理量子ビットから構成される、エラー耐性のある情報の単位。量子誤り訂正を通じて、物理量子ビットの群から論理量子ビットが形成される。つまり、物理量子ビットのエンコードとデコードを通じて、環境ノイズや操作エラーから保護された安定した量子状態を実現する。
4.IBMが東大・シカゴ大に1億ドル、クリシュナCEO「10万量子ビット実現へ知見活用」(2023.05.21)
このニュースで報告されたのは、IBMが東京大学とシカゴ大学に今後10年間で計1億ドルを投資するという内容でした。これは、IBMが掲げた、2033年までに10万量子ビット量子コンピューター実現を前進させるための取り組みです。10万量子ビットというのは、正確には前述の用語解説で紹介した、物理量子ビットのことです。
東京大学は、量子コンピューティングに関連するアルゴリズムとアプリケーションの研究開発、ハードウェアとサプライチェーンの基礎を築いていく部分を担います。またシカゴ大学は、量子通信を量子コンピューティングに導入する取り組みと、量子向けミドルウェアを改善する取り組みを主導していくそうです。
IBMのこれまでのロードマップでは、2025年に4,159量子ビット、その後は、2026年以降に1万〜10万量子ビットと発表されていました。これが今回の発表で、期限が明確になったことを示します。
10万物理量子ビットが実現すれば、前述の誤り訂正機能を搭載することができ、スーパーコンピューターを上回る計算が可能になるでしょう。
量子技術の研究領域でのさらなる発展に向けた協力について
量子コンピューターについての豊富な学習素材とニュース
今回の記事では、量子コンピューターに関する対談ビデオや最新ニュースを紹介しました。もちろん、これらの内容は一部に過ぎず、量子コンピューター業界は日々急速に進化し続けています。リープリーパーでは今後も、皆さんが量子コンピューターについての理解を深め、その進化を追い続ける手助けになる記事を提供していきます。これからもご期待ください。
理人様 見ず知らずの者に温かいアドバイスをありがとうございます。 生物学の中だけ…
Soさん、ご質問ありがとうございます。 博士課程で必要な生物学の知識は、基本的に…
貴重な情報をありがとうございます。 私は現在データエンジニアをしており、修士課程…
四葉さん、コメントいただきありがとうございます。にんじんです。 僕がこの会社この…
面白い話をありがとうございます。私自身は法学部ですが哲学にも興味があります。 ふ…