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テクノロジー

DXはもう手遅れ!組織と個人はどうする?―宗像仙人だより 002

リプリパ編集部

前回に続いて、テクノロジーについて無頓着な現代人に、ひと言もの申さずにはいられない元ITコンサル「宗像仙人(仙さん)」に話を聞いてみました。『どこかの誰かの、ただの妄言では?』などと侮ることなかれ!現代のさまざまなテクノロジーは、決して単独で存在するのではなく、それらが複合的に組み合わせられることで、爆発的なブレイクスルーを生み出しています。つまり、私たちにも、複眼的・多層的なモノの見方が必要です。テクノロジーに貪欲な、先人の叡智に素直に、時に懐疑的に、耳を傾けて損はありません。

破壊まではしたくない…日本のDXはもうすでに手遅れだ

編集部
編集部

前回は、コンサルティング企業ガートナーのハイプサイクル(期待と落胆、普及、安定の移り変わり)のグラフを見ながら、今後、注目されるテクノロジーの話を聞きました。私たちの仕事や生活に大きな影響を与えるテクノロジーは、全部を詳しく理解しておく必要はなくても、ある程度ざっくりとでも、全体の傾向やトレンドを知っておかないと、企業や自治体、個人もヤバいぞ、と。そのためには、社会人の学び直しであるリカレント教育が重要だという話でしたね。

宗像仙人
宗像仙人

そう。生きとる限り、日々、勉強。

先進テクノロジーのハイプサイクル 2022年
先進テクノロジーのハイプサイクル 
出典:Gartner(2022年8月)
編集部
編集部

ただ、こういったテクノロジーの重要性だとか、教育・学習の必要性に気付くのって、リソースが潤沢な大企業でしょ?小回りが効く中小じゃなくて。古くはパソコンの普及やインターネットの登場、スマートフォンのブレイクまで、新しいテクノロジーの可能性やリスクにいち早くリーチできるのは。

宗像仙人
宗像仙人

いいや。俺の経験だと、一部上場ですら、気がついてないとこはあんまり気付いてなかったし、その状態のまま無駄に何年も過ぎた。今も、まだ気付いてないところもあるやろ。

編集部
編集部

本当ですか!?じゃあ、DX―それも「和風DX」とでもいうか、日本のDXについてはどんな風に見てますか?

宗像仙人
宗像仙人

もう手遅れやろ。取り返しのつかんとこまで遅れた。

編集部
編集部

やっぱり、仙さんらしく、バッサリそういうか…でも厳しいな、前回の話からの流れだと、自社や社員の分析や評価を通じて課題の炙り出しはできるものの、現実にはそれを実施しようとしても手遅れってのは。だったら、やっても無駄ってことじゃないですか!

宗像仙人
宗像仙人

そういうこと。アルビン・トフラーが「第三の波」を書いたのが40年以上前。そして、ジェレミー・リフキンが「限界費用ゼロ社会」を書いたのが8年前。いろんな本を読んだけど、社会の変化に、本当に気付いた人はあんまりおらんかった。もちろん、俺が説明してもわからない。そんなこんなで、この20年よ。

第三の波 (中公文庫 M 178-3) : アルビン・トフラー, 徳岡 孝夫 | Amazon

限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭 | ジェレミー・リフキン, 柴田裕之 | Amazon

編集部
編集部

来るべき未来社会の姿をいろんな識者が予測して、全てがその通りになっているわけではないにしても、その答え合わせとしての現実が今だと。

宗像仙人
宗像仙人

そう。大企業に限らず、日本の企業の99.7%を占める中小企業にも話をしてきた。商工会議所や市議会の超党派グループでも、いろいろ説明してきた。でも、誰も『あなたたちはもう手遅れで救えません』とか、当事者たちの前ではいえんよな。そうこうしている間に、新型コロナウイルスよ。今さらちまちまDXなんかいっても、『こいつら本当に分かっとんのか!?』と、つい思ってしまうわけ。

DXを、自然災害と同じ感覚で捉えている経営者も

編集部
編集部

そもそもDXの本質って「破壊的な創造—ディスラプティブなクリエーション」っていわれてるじゃないですか。でも、いろんな報道なり、識者の見解、個人の書き込みなんかを見ていると、日本のDXって、本当に進んでるのか、よくわからないと感じることも多いんです。結局、今やっていることを完全に捨ててまで、新しく作り替えるほどのことは、実はしたくない組織が多いんじゃないか?って。いわば「DX仕草」とでもいうような、「やってる感」というか。そこはどうですか?

宗像仙人
宗像仙人

それも要は、前回の最初に話した、テクノロジーが影響する未来という全体図がわかってないからよ。

編集部
編集部

リープリーパーのブランドコンセプトは、「新しいミライへと飛躍する人たちのためのメディア」です!「リプリパ」の愛称でヨロシク!

宗像仙人
宗像仙人

だって日本人の考え方や気質って、今までの戦争を見ればわかるじゃろ。

編集部
編集部

戦争の話、好きですよね。マーケティングでもよく使われていますけれど、ロシアがウクライナに侵攻した2022年の2月以降は、ちょっと安易に使うのをためらいますが…。

宗像仙人
宗像仙人

戦争じゃなかったら、地震や台風みたいな自然災害か。その時は皆でがんばるけど、それが3年も経ったら忘れるじゃん?

編集部
編集部

コミュニティーの結束を高める要素の一つが、「悲劇としての物語の共有」だといわれています。あ、その意味では私、一部の人にとっての日本のDXって、自然災害と同じレベルで捉えているような印象を持つことありますよ。何というか、『こうなったのって誰のせいでもないよね、大変だったけど、時間が経ったら、また皆で何とかやってけるよね』みたいな…。

宗像仙人
宗像仙人

そう!だから、俺が今まで、有志に声を掛けて定期的に開いてきた「経営勉強会」に参加してた課長職クラスでも、『自分の世代が大丈夫か?』ばっかり気にしてる人も多かった。

編集部
編集部

自分が逃げ切れるから、あとは知らないってヒドいな。現場の若手にとっては、たまったもんじゃないですね。

「創造的な破壊」のためには、上の世代は消え去るべき?

編集部
編集部

でも、世の中は相変わらず、DXって掛け声を聞きますよね。実際、経営者ってどうしたらいいんですか?

宗像仙人
宗像仙人

DXに本気で取り組む覚悟がないんやったら、今あるものを金に替えられるうちに替えて、隠居生活するしかないな。

編集部
編集部

後は遺産をどうやってできるだけ残し、どうソフトランディングさせるかみたいな?逃げ切れる人はいいでしょうけど、若い世代には絶望やな。

宗像仙人
宗像仙人

俺は経営者たちには昔から、『50歳以上の人は、もうリタイアしてください』っていってきた。だって、世界がそうやってきたわけだ。どこの歴史を見ても、戦争をやって一番最初に戦地に出て行くのは誰よ?若者やろが。

編集部
編集部

好きやな、バトルフィールド。

宗像仙人
宗像仙人

東南アジアは、革命や戦争で上の世代が居ないから、人口構成から見て若い世代が多い。近頃話題になることも増えたグローバルサウスにしても、医療が発達してない時代に多産多死だったことが長く続いてきた。

編集部
編集部

人口のトップは中国からインドへシフトし、チャイナリスクをヘッジした先がベトナムやマレーシアになってますもんね。

宗像仙人
宗像仙人

アフリカで都市部以外でも今スマホを使えてるのは、電力や通信インフラが発達してなかったからこそ、爆発的に普及したともいえる。とにかく、どこも日本と違って、いわれる老害になるような人たちがおらんわけじゃん?

編集部
編集部

逃げ切れる世代が居座っていたら、ますます世代間格差って広がるし、若い人たちが挑戦したいマインドになるはずがないですよね。上の世代が居ないからこそ、若い世代が伸び伸びやれるっていう可能性。既存インフラがなかったからこそ、新しいテクノロジーが浸透するっていう話と同じ構図じゃないですか。

宗像仙人
宗像仙人

そうやろ!?

編集部
編集部

と、他人事のように聞いてるわけにいかず、私自身の居場所もなくなるわけですが。今年の2月、経済学者でイエール大学助教授の成田悠輔氏が『高齢者は集団自決すべき』と発言して、世界レベルの問題提起になったのも思い出しますよ。

宗像仙人
宗像仙人

年金問題にしても、フランスやドイツ、北欧を見たらわかるじゃん。70代と10代の、どっちが限られた国家予算を使うんだって闘争。世界の先進国で、それが起こってるわけ。

編集部
編集部

あの抗議行動も凄かったですね。でもちょっと羨ましさすら感じるほど。

宗像仙人
宗像仙人

みんなそういう世界で起きていることを見ながら、自分で考えていくと。

編集部
編集部

仕事のチームや個人の家族単位のミクロから、国家や世界レベルのマクロまで、文明や世代間の衝突が起きるのもわかる。でも、願わくはそれは、新たな創造へと至る闘争の過程であってほしいですけどね。


『日本のDXはもう手遅れだ』という厳しい指摘をする仙さんの発言に対しては、ちょっとだけ希望的な反論をしたい気もありました。ただ、妙に納得もしてしまっていたというのが、正直なところでした。「日本」という主語が大きすぎるきらいはあったので、大企業と中小企業、都市部と地方、製造業や物流、インフラなど、それぞれの具体例(できればベストプラクティスとしての成功例!)をみながら、話をしたいところでした。

このトークは、希望は失わずにまだまだ続きます。

この記事の内容は、個人的な見解や感想であり、リープリーパー編集部や運営組織を代表するものではありません。

この記事でインタビューをした方

宗像仙人 / Sennin Munakata 
テクノロ爺

量子コンピューターやAI、常温核融合など、テクノロジー全般に関心が尽きない元ITコンサルタント。趣味も幅広く、万年筆やアルコールから、軍事研究、最新アニメ番組のチェックまで。福岡県宗像市のオススメは、沖ノ島と道の駅。

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リープリーパー(略称:リプリパ)編集部です。新しいミライへと飛躍する人たちのためのメディアを作るために、活動しています。ご意見・ご感想など、お気軽にお寄せください。
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