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社会

ノーベル経済学賞受賞者曰く『男女の格差は家庭内で始まってる』

リプリパ編集部

今年のノーベル経済学賞は、アメリカ人経済学者でハーバード大学教授のクローディア・ゴールディン氏が受賞しました。長年の研究により、労働市場における男女格差の主な原因の究明や、女性の役割の変化の観察を通じて、女性の労働市場動向に関する理解を促進させたことが高く評価されました。

IT業界で働く女性に限らず、一体何がどんな状況にあって、なぜそれが問題なのかを正しく知ることは、非常に重要なことです。今回は、ゴールディン氏の研究成果をヒントに、私たちが今直面している課題について考えてみましょう。もちろん、男性の皆さんもどうぞ、最後までご一緒に!

明らかになった、家庭内における無償の責任分担の差

ゴールディン氏の研究内容は、ハーバード大学の受賞ニュースで概要が説明されています。また、書籍は日本語に翻訳されて出版されているので、いくつかポイントを拾ってみましょう。

Amazon.co.jp: なぜ男女の賃金に格差があるのか 電子書籍: クラウディア・ゴールディン, 鹿田昌美

ゴールディン氏は、アメリカ人女性の収入と仕事の成果に関する記録を何世代にもわたって地道に追跡し、男女賃金格差の変遷を分析してきました。その研究成果のひとつが、労働と給与の男女格差は生物学的な差ではなく、育児や介護という無償の責任分担の差に起因するという指摘です。つまり、女性の雇用機会が少しぐらい増え、給与水準が高くなったところで、家庭内にある不平等が原因で、仕事で十分なパフォーマンスが出せない構図にあることを示しています。『これらの不平等は、家庭内で生じる不平等である』という指摘は、男性にとっては非常に厳しい研究結果です。

また、彼女は社会が発展するにつれて、女性の社会進出とキャリアは妊娠・出産・子育ての影響を受け、「U字型」になることを示しました。20世紀から21世紀にかけて、男性の労働参加率は比較的安定していた一方、女性は経済や文化的価値観の変化の影響で大きく変わりました。実際、新型コロナウイルスのパンデミックによるリモートワークが普及した結果、子育てや介護に追われる女性たちの働き方も、柔軟性が高まったと指摘しました。

しかし、彼女はまた、急速な社会の変化には職場も追いついていないことにも言及しています。受賞の記者会見で語った、『妊娠しているというだけでなく、妊娠する能力があるというだけで、女性が解雇される可能性があったのは、それほど昔のことではありません』という言葉もまた考えさせられる、非常に含蓄のある話でした。

「目隠し選考」と、それが浮き彫りにすることとは

ゴールディン氏が2000年に発表した論文『Orchestrating Impartiality(公平性の編成)』の内容は、日本でも多くのメディアでも取り上げられました。今回のノーベル経済学賞受賞よりも、こちらの方をご存じの人も多いかもしれません。

これは、クラシック音楽の演奏者を選定する時に、カーテンで隠した「ブラインドオーディション」方式で実施した研究成果です。容姿で判断できないようにした結果、それまでは圧倒的に男性が選ばれていた状況が一変し、女性が大幅に増えました。この事実は、クラシック音楽業界だけでなく、社会に大きな衝撃を与えました。このアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)は、無意識であるが故に根が深いとも言えます。

ブラインドオーディションの様子は、『クレッシェンド 音楽の架け橋』という映画の中でも描かれます。これは、イスラエルとパレスチナから集った若者たちで結成される「和平オーケストラ」の葛藤や友情、恋愛を描いた、実話ベースの物語です。メンバー選考は、演奏者の性別や容姿、人種に合否が左右されないだけでなく、経験や経済格差までもが浮き彫りになります。今まさに、中東で起きている残酷な現実も相まって、何重にも複雑な感情を抱かずにはいられません。

Crescendo – Official U.S. Trailer – YouTube

世界各地で上がる声と、起きていない変化

ジェンダー不平等は、国や社会によっても状況が異なる複雑な問題です。グローバル化やIT化、スマートフォンやソーシャルメディアの普及によって、その現実や違いがよりはっきりと見えるようになりました。いくつかの国の状況を見てみましょう。

アイスランドは、世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップ指数で14年連続世界1位という、世界で最も男女格差が少ない国です。そんなアイスランドですら、今年の10月24日、48年前と同じ日に「女性の終日ストライキ」が実施され、男女の賃金格差と性暴力への抗議を示すために、首相や女性閣僚も含め、多くの人々が参加しました。

▼Women across Iceland, including the prime minister, go on strike for equal pay and no more violence | AP News
https://apnews.com/article/iceland-women-strike-equal-pay-970669466116a2b1a5673a8737089d46

アメリカでは、ゴールディン氏たちの活動もあり、男女平等へ向けた社会的要請がはっきりと可視化されました。しかし、同一労働・同一賃金や指導的地位へのキャリアパスなど、多くの課題が残っています。人種や宗教、格差もあるだけでなく、人々の意識や背景が異なる複数の国が集まった「合衆国」であるため、問題は非常に複雑です。来年2024年には大統領選挙が予定されていますが、女性の大統領候補者が登場するのはまだまだ先のようです。

中国を逆転して人口1位となったインドは、身分制度と貧富の格差、多言語・多民族の影響が濃く、男女差別も深刻な社会問題です。近年、世界的大手IT企業のトップには、軒並みインド系の人たちが就任していますが、全員男性です。女性の医療や教育へのアクセスを実現することが、途上国を脱する大きなインパクトと責務を持っているため、女性の活躍が期待されています。

そして、我が日本はと言えば、ジェンダーギャップ指数では146カ国中125位と先進国の中で最下位(ちなみにインドは127位)。女性の健康など、労働や教育以外の分野における性差を十分に認識した政策が策定されていないのが現状です。アンコンシャス(無意識)どころか明確な差別や格差の例として、例えば複数の大学医学部の入試で、女性の受験生だけが意図的に点数を低く操作されていたことが明るみになったのは、ほんの数年前の出来事です。それでも、一部の先進的な企業が自社の状況を積極的に開示し、具体的に改善していこうという姿勢を示していることは、一つの希望かもしれません。

変化は重要で興味深く、だから女は面白い!

ノーベル賞の授賞式は現地時間の12月10日、ストックホルムで開催されますが、経済学賞は女性の受賞者が最も少なく、1969年の同賞創設以来、ゴールディン氏が3人目です。『経済学者にとって変化は重要であり、変化は興味深い。だから、男は退屈で、女は面白いのだ』―ゴールディン氏はこう語っています。

リープリーパーでは、女性エンジニアについての話題を複数回紹介してきました。今回は、女性一般を取り巻く社会の状況にスポットを当ててみましたが、エンジニアである前に、女性であるというだけでハンディを背負わざるを得ない現実が、他の人にとっても問題ないはずがありません。

会社であれ、家庭であれ、誰かが無理や我慢をしなければならない状況では、その人の本来の能力が十分に発揮できません。パートナーやメンバーとの良好な関係を長期に築くのも難しく、持続可能でもありません。改善されるべき課題があるのなら、そこには現代のテクノロジーで解決したり、サポートできることがあるはずです。

そんな、女性には特有の身体的・精神的な課題をITテクノロジーで解決したりサポートしてくれるのが、FemTech(フェムテック)!もちろん、パートナーやチームメンバーとしての男性にも関わる重要な話なので、皆さん、次回もお見逃しなく。

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